ぼくの大事なセンパイ

ふしきの

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第二章 リニューアルして無双夢想っぶり

幼女とセンパイ2

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「あらた、しゃま」
 日差しの向こうにみえる大きな人に、走っても走っても追い付かない。
 ふと、銀杏の葉が落ちているのをみたかのように振り向くと、
「まったくもって、君はおきゃんで、そそっかしい」
 と、転ぶ前に手をさしのべてくれる。
「目え覚めたか。どうした、おかん」
 少しばかりべそをかく顔に気がついたようなキリリとしている目は代わりのない目だったので、
「なんでもないよぉ」
「なんもなきゃ、出掛けるかぁ。こっちも一段落したところだ」
と、作業道具をしまい、勉強机から離れた。
「ほら、外行って空気吸おう」
「うん」
 紅葉立った手はいつの間にか大きくはなっている。けれども中途半端に中間の大きさ。違うのだ。


「ん、なに、おかん」
「んー」
「ちょっと待て」と言うまもなく、なんとかフラペチーノのなんとかの上にざらーっと砂糖とバニラ風味をいっぺんに注いで店内から出てきた。「ほら、コレ食い」
「ん」
「え、抹茶味の方? マジか」
「わたし、できるよ。ひとりで注文できるよ」
 渋る様子でやぶにらみしながらも、後ろの客が「遅っ」って言わせないぐらいの威風はあるのだが、どう見てもほのぼの系にしかみえないのは本人たちには気がついていない。
「買えた!飲む? 」
「いらん」
「なんで? 嫌い」
「わかった、一口な、げ、苦っ マジか、抹茶風味じゃね、抹茶じゃん」
「おこしゃま」
 といって、むせている頭をポンポンと背をのばして当てている様子はまさに『態度のメチャクチャ悪いクソガキと世間知らずの絵本の国から飛び出してきたお嬢様である』、妄想が現れるようなと目の保養というものではないだろうか。

「おかん、マジ、さっさと田舎に帰れ」
「や」
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