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不健全と不健康
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顔を洗う時に鏡の中の自分の短い髭に一喜一憂する年頃。
同級生の女子が変に自分のおっぱいを意識しだしたり、英語の授業でおっぱいとイチゴ畑というとんでもないものがリーダーに載っていたりする逃げられない極悪状態。それが、主人公の一日。さかる前の獣のようなのから、帰るなりさかりまくっているヤンキーたちは朝も昼も夜も目障りに自分の回りにいる。
自分の回りっていうか、この彼の回りにだ。左耳にささやくようにキスをし笑って別れるまでフランス映画のように終わるのを待つしかない。
「じゃね」と、両者が手をふる。
「マモちゃん、お帰り」と言われたが、護は無視した。
その無視はいつも自分の心に懺悔するようにチクチク痛むのですぐに「帰りました」と帽子を取って頭を下げるのだ。
「マモちゃんはいつも礼儀正しいね」と、笑ってくれる。それを確認したら玄関に飛び込んで鍵をかけ直して自室に閉じ籠るのだ。
女どもはなぜそういう手合いが好きなのか解らない。
護はといえば、体育の授業が今度から大嫌いな早朝練習も込みでの授業になるらしいことで陰鬱だった。
「マモちゃん、体ふにゃふにゃだね」が、だれていると言われたが最後、初日から目をつけられてしまった。
「受け身が出来ていない」と一二、三度と、どんどん遠目に確実に強めに投げられたため、背中と手のひらに畳のあとが赤く残ってじんわり痛くて、ちょっと布団の中で泣いてしまった。
夢の中で小学校の護が一人走っていた。
かけっこが遅くて、居残りで帰りが遅くなったのだ。
鞄のランドセルには国語と英語の辞書分いつもより重たかったし、武器になりそうなものは突き出た算盤の袋だったのでとても貧弱だった。
車がクラクションをならしっぱなしで追いかけてくる。
一方通行の通りは堀でどこにも逃げ込みができない。逃げ込みができたらそれがアウトだ。変質者に車に乗せられちゃうんだ。
『最近不振な車が学区内をうろついています。なるべく一人で帰らないように』なるべく暗くならないうちに。なるべく人通りが多い場所を。の、ままだ。
「どっこいせ」
ボンネットをへこますほど落ちたのは子泣き爺ではなく交通安全のよだれ掛けをしてある地蔵菩薩。めっこり重さでへこんでいた。それで止まればよかったのに少しブレーキが遅いのでガラス面の方へも、ごろりと転がっていった。
「おーい、引かれてないか」
「転けてないし、ちょっと足を捻っただけだ」
「当たったか」
「石?車?」
その時のお兄さんの犯人取り押さえの様子はとても生き生きしていた。『ヤンキーって何で無抵抗な人間にここまでするんだろう』っておもうほど他人事にみえた。
そのあと警察の人が来て、突然怖くなって泣いた。
「お兄さんが連れていかれちゃったらどうしよう」と泣き続けた。僕を助けてくれたお兄さんが犯罪者になったらどうしようと。半身ノーパンのレンタカー変人を捕まえに来た警察官に説明と懇願しても「調書を録るからね」とは取り合ってもらえなかった。子どもとしては、無力で泣いた。
目が覚めてなぜあの夢を見たのかと思ったが答えはでなかった。
「俺ね、鬼なんだよ、ほら、髪の毛で隠れているけれど、角が生えてるんだ。だから、どんな仕打ちもなんてことはないさ」
といっていたが、地蔵が呪ったらどうしてくれようかという怪奇な話題の方が町内会の年寄りから発せられ盛り上がったみたいで、護は、ほんとうに居たたまれなかったんだ。
「子どもを守るのに罰当たりが先とは何事か! 」の自治会長の言葉でもう何でもない穏やかな風景になったのだ。
同級生の女子が変に自分のおっぱいを意識しだしたり、英語の授業でおっぱいとイチゴ畑というとんでもないものがリーダーに載っていたりする逃げられない極悪状態。それが、主人公の一日。さかる前の獣のようなのから、帰るなりさかりまくっているヤンキーたちは朝も昼も夜も目障りに自分の回りにいる。
自分の回りっていうか、この彼の回りにだ。左耳にささやくようにキスをし笑って別れるまでフランス映画のように終わるのを待つしかない。
「じゃね」と、両者が手をふる。
「マモちゃん、お帰り」と言われたが、護は無視した。
その無視はいつも自分の心に懺悔するようにチクチク痛むのですぐに「帰りました」と帽子を取って頭を下げるのだ。
「マモちゃんはいつも礼儀正しいね」と、笑ってくれる。それを確認したら玄関に飛び込んで鍵をかけ直して自室に閉じ籠るのだ。
女どもはなぜそういう手合いが好きなのか解らない。
護はといえば、体育の授業が今度から大嫌いな早朝練習も込みでの授業になるらしいことで陰鬱だった。
「マモちゃん、体ふにゃふにゃだね」が、だれていると言われたが最後、初日から目をつけられてしまった。
「受け身が出来ていない」と一二、三度と、どんどん遠目に確実に強めに投げられたため、背中と手のひらに畳のあとが赤く残ってじんわり痛くて、ちょっと布団の中で泣いてしまった。
夢の中で小学校の護が一人走っていた。
かけっこが遅くて、居残りで帰りが遅くなったのだ。
鞄のランドセルには国語と英語の辞書分いつもより重たかったし、武器になりそうなものは突き出た算盤の袋だったのでとても貧弱だった。
車がクラクションをならしっぱなしで追いかけてくる。
一方通行の通りは堀でどこにも逃げ込みができない。逃げ込みができたらそれがアウトだ。変質者に車に乗せられちゃうんだ。
『最近不振な車が学区内をうろついています。なるべく一人で帰らないように』なるべく暗くならないうちに。なるべく人通りが多い場所を。の、ままだ。
「どっこいせ」
ボンネットをへこますほど落ちたのは子泣き爺ではなく交通安全のよだれ掛けをしてある地蔵菩薩。めっこり重さでへこんでいた。それで止まればよかったのに少しブレーキが遅いのでガラス面の方へも、ごろりと転がっていった。
「おーい、引かれてないか」
「転けてないし、ちょっと足を捻っただけだ」
「当たったか」
「石?車?」
その時のお兄さんの犯人取り押さえの様子はとても生き生きしていた。『ヤンキーって何で無抵抗な人間にここまでするんだろう』っておもうほど他人事にみえた。
そのあと警察の人が来て、突然怖くなって泣いた。
「お兄さんが連れていかれちゃったらどうしよう」と泣き続けた。僕を助けてくれたお兄さんが犯罪者になったらどうしようと。半身ノーパンのレンタカー変人を捕まえに来た警察官に説明と懇願しても「調書を録るからね」とは取り合ってもらえなかった。子どもとしては、無力で泣いた。
目が覚めてなぜあの夢を見たのかと思ったが答えはでなかった。
「俺ね、鬼なんだよ、ほら、髪の毛で隠れているけれど、角が生えてるんだ。だから、どんな仕打ちもなんてことはないさ」
といっていたが、地蔵が呪ったらどうしてくれようかという怪奇な話題の方が町内会の年寄りから発せられ盛り上がったみたいで、護は、ほんとうに居たたまれなかったんだ。
「子どもを守るのに罰当たりが先とは何事か! 」の自治会長の言葉でもう何でもない穏やかな風景になったのだ。
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