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ヲナシテ吉となる
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うすぼんやりと覚えているのは、ヘルメットを被っていて良かったということ。
寝て起きたら劇薬投与という指示の言葉にちょっと興奮したこと。
「吉って名前は最後の保険だよ」っていうひいじいちゃんの言葉にいまも腹はたつけれど、実際、不自由がない体に戻ったところでもう忘れた。
棒付きの飴を咥えてぼんやりと外を見ていた。
学校はいつ来てもつまらない。
けれど、そこでしか出会うことのない偶然もあった。
『あの子だ! 』
足取りは軽かった。
いつにもまして目付きの悪い糞ガキは、全然背が伸びていない。親が見込んだ大きめの制服にゆとりがありすぎなのがチャームポイントだが、観ている変態も同じか。
「お帰り」
と言ってみると、小学生の癖が抜けないのか
「ただいま」
と返ってきた。
ビックリした猫のような顔が面白い。
「またね、ゆっずん」
と耳元で呟く女子が消えたときに、その嫌なものを見る目に笑って答えた。
「こっちの耳、俺、あんまり声が聞こえなくてね」
「そうですかー」
「また、疑っている」
「このまえのあれ、嘘教えてくれた人には疑りも深くなります」
「大人が正直なことを言うと思ったら大間違いだよ、だから、辞書があるんだぞ」
「僕には高校生も大人には入っていないと思います」
あははは、と笑う。
「悪い大人は沢山いるから、今のうちに慣れとけよ」
「制服! どうして他のみんなと違うの」
「ダブっているから」
「ダブっている…から? 」
「新しい制服に変えるなんてモッタイナイじゃん」
「恥ずかしくないの……目立つし」
「何でよ? 」
それを聞かれる方が何で? という問いに、護は答えられなかった。
寝て起きたら劇薬投与という指示の言葉にちょっと興奮したこと。
「吉って名前は最後の保険だよ」っていうひいじいちゃんの言葉にいまも腹はたつけれど、実際、不自由がない体に戻ったところでもう忘れた。
棒付きの飴を咥えてぼんやりと外を見ていた。
学校はいつ来てもつまらない。
けれど、そこでしか出会うことのない偶然もあった。
『あの子だ! 』
足取りは軽かった。
いつにもまして目付きの悪い糞ガキは、全然背が伸びていない。親が見込んだ大きめの制服にゆとりがありすぎなのがチャームポイントだが、観ている変態も同じか。
「お帰り」
と言ってみると、小学生の癖が抜けないのか
「ただいま」
と返ってきた。
ビックリした猫のような顔が面白い。
「またね、ゆっずん」
と耳元で呟く女子が消えたときに、その嫌なものを見る目に笑って答えた。
「こっちの耳、俺、あんまり声が聞こえなくてね」
「そうですかー」
「また、疑っている」
「このまえのあれ、嘘教えてくれた人には疑りも深くなります」
「大人が正直なことを言うと思ったら大間違いだよ、だから、辞書があるんだぞ」
「僕には高校生も大人には入っていないと思います」
あははは、と笑う。
「悪い大人は沢山いるから、今のうちに慣れとけよ」
「制服! どうして他のみんなと違うの」
「ダブっているから」
「ダブっている…から? 」
「新しい制服に変えるなんてモッタイナイじゃん」
「恥ずかしくないの……目立つし」
「何でよ? 」
それを聞かれる方が何で? という問いに、護は答えられなかった。
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