白薔薇のお兄さん3

ふしきの

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恋の踏み台かひとめぼれか

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まっつんは聞くところによると、中間期末続けて成績がさらにがた落ちしたらしい。
あの、ちょっと剃りこみ彫りのスキンヘッドはそこまで問題にもされない学校だったらしいけれど、いかんせん、学校が別になってからすぐにというわけにはいかないのだが、隣の塀の向こうにある共学高校に出入りはかなり緩いっていうのが、進学校クラスを持つ古いだけの学校の重みだったわけで、今も平気にまっつんが「真面目学校って、本当にスゲェ、マジで紙パックの牛乳と豆乳しか売ってない」って年代物の自動販売機を観ていたりする。(クラブ棟じゃなくて)「実験室棟で騒ぐなよ」って愚痴るのが護だった。

わからねぇのがたくさんあったから書き出して提出して見せたら、うちのばあちゃん先生が「中学から使っている辞書に載っていないのは辞書が古いんだよ」って怒られたんだ。で、「あたしゃ、ハムレットしか勉強してこなかったから隣の若い先生に繋いでおいた、って勝手に行けってさ」
 高校で言う通行手形(紹介状持ちのお札)を見せてきたときにはもう飲み終わっていた。普通に200mlが少なく感じるのはいつもが、500のペットボトルを持ち歩くからだ。
「もいっこ」
「腹壊すぞ」


「松茂政重です」名字と名前はかなりの猛者だったが、「kawaii」とちょっとばかりやんちゃな英語教師がこっちには滞在しているので、コミコンの時の綺麗でごっすいお姉さんに構われてでれまくったあの状態に戻っていた。
「なんか、面白い単語ねぇ、これって」
「あ、この本です」
「な、なんで、ガキがPBじゃない装丁原書持っているの、え、マジであたしこの回読んでないわ」
「借り物ですから大事にしてます」
「ちょ、コピーしていい」
「ダメですよ」
「研究書物は……え、ダメ?じゃ、貸してよ」
「又貸しは嫌です」
「じゃあ」
 一緒に読めばいいじゃないですか。は、外野の意見でしたが、「読むペースが違う」のをグッと押さえて、教員らしく「そうね、そうしましうか、くさかいりまさおくん」「先生、僕のお名前ひとつも合っていませんよ」


 って、ことがあった話を笑ってしていた。
「梨々香さんは? 」と、ゆずがのほほんと聞こうとするのをチカが目で『ヤメロ』と訴えていたが、嫁の方はぼんやりと「仕方ないなぁ、っていうか逃げられないなぁって感じよ」って、笑うのです。「彼がそう言ったのよ」と、付け加えて。
「オーガンジーのレースであって、刺繍糸の品番で統合して、持っていた編み物王子のパターン編みの本が紙袋から落ちたときにね。何かシンパシーに近かったの。だって、私の好みじゃなかったし。逆に本気で敵だと思ったわ。先越しの早さに。でも、趣味と仕事が重なったときまた、であったのよ。後楽園ホールで。こっちが逆に下げずまれる感覚の中で普通に普通の格好をしてきて礼儀正しかったのよ。で、趣味でしかお金儲けできていない私にひい祖父さんの仲間内から見合いがきたのよね、チカちゃん」
「むかし、中段蹴りするたまにうちにきていたお姉さんが梨々香さんだから、逃げられんって思ったんだよね。でも目を見たら笑っているし、何より恋愛なんかしたことないし! 」
「ホント、あのときは早合点ですぐ少女恋愛脳で怒る人で、ビックリしたのはこっちだったよ」
「あ、あの、コンビニ、あれは僕が悪いのです、僕が優柔不断だったのはたしかでした。僕は、この人と合意の上で付き合っていますし」


「と、友達は知っているの」
「まだ正式に言っていないので知らないと思います」
「たっくんに寄生した女豹は」
「チカ先生のサインを貰ったあと、たっくんとは電車が違うからって会場で別れたそうです。僕は学校が違うので深くは知りませんが」
 その後転売騒ぎと騒動はまた別の話で。
「女は不死鳥よ」
 は、誰の声だったのでしょうか。


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