タコのグルメ日記

百合之花

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Ⅲ章 ヘスペリオス洞穴

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さて、邪魔者を片付けたところで、死体を遠くに投げ飛ばす。
これは獣が寄ってくるのを少しでも避けるためだ。
今も血のにおいに誘われたのか、血吸い鳥がやってきた。
ちょうどいいから今日の朝ごはんとして、捕まえておく。
後で食べよ。
それよりも今は怪我した少女の怪我をどうにかしないといけない。

「・・・飲ますのは無理か。」

寝ているので飲ますのは無理。
飲ますよりも直接つけたほうが手っ取り早いっちゃ早いので、好都合である。
手甲を脱がして、メープルシロップを塗りつける。

「・・・っ!」

苦声が漏れる。
やっぱり痛いのか。
でも気にせずにヌリヌリ。
どうせ痛むのだからゆっくりやっても同じことである。

「たっ!?
うっ!?つぅぁっ!?」

苦悶の声が狭い小屋に響くが気にせずヌリヌリ。
彼女の両腕がべとべとになったところで一回置いておく。
あとは10分ほどで傷がふさがるはず。

『なんかエロかったね。』
「お前はほんとそればかりだなっ!?」

いや、たしかにこう・・・官能的ではあったのだが!

「さて、目覚めるまでにご飯でも作っておこうか。」
『もてなすの?』
「いや。単純に僕の朝ごはん。
魚をおかずにと思ってたんだけどね。
釣れなかったし、どうしようかと思ったんだけど血吸い鳥が3匹も手に入ったから、これをおかずに食べる。」

ちなみにあれからがんばって人間の口部分にタコとしての口を持ってきた。
それを見てまたもやグリューネが自分の世界に入ったのは余談。
これで僕も普通のお店でご飯を食べれるというものである。

あ、ちなみにこの世界にテイクアウトは無い。
食器が高いためそのまま盗まれたりする可能性が高いために。
食器とは外食店にとってはある種のアピールポイントであり、ステータスだ。
日本でも高級な和食店では上等な漆器、特に輪島塗りの漆器が使われていたりとそうした「見栄」がこの世界にもあり、下手をすれば日本よりもそこが重視される。
看板や店員の愛想などよりもまずは食器を見ろ!と言われるほどだ。

食器の素材は基本的に土器が多く、ごくごくたまに漆器も流通している。
漆器の方が高級とされ、ひとつにつき10万ルピーなんて当たり前の世界である。
我が家の食器は漆器。
しかしさすがに食器の一つ一つに10万以上もかけられるほど余裕があるわけでは無かったので、手作り漆器である。
いまやそこそこのプロなんでは?と嘯いてみたり。実際はそうでもない。
ただ、見た目だけならプロにも負けない気がする。

『・・・自覚が無いって怖いわね。』
「・・・?」

ぼそりとつぶやくグリューネを無視して、血吸い鳥を捌くことにする。
まずは苦しまないように止めをさしていき、ぶん回す。
遠心力で血が強制的に抜かれ、その後に皮を剥ぐ。
その後に水に浸す。
こうすることで鳥の体に含まれる余分な鉄分が抜けて、あっさりとするのだ。
そのままだと鉄臭くてあまり美味しくない。
このように調理すると一気に美味しくなる動物がいるのでまだまだこの森は食べつくせない。
なかなかどうしてグルメ魂に火をつけてくれるものである。

「箱からデカミミズを取ってきて。」
『はいはい。』

動物の養殖も初めてみた。
その1つがデカミミズ。一番楽そうだった。
こいつもまた調理しないと土臭くて食えたものではないのだが、体を切り開いてほぼ泥しか入ってない内臓を取り除くとあら不思議。
まるでカルビのような赤々しい美味しそうなお肉に見える。
これを焼肉よろしく焼いて食べるとこれがなかなか美味しい。
というかかなり美味しい。
デカミミズのステーキである。
ほんとに大きく、直径5センチ、長さ60センチ強という大きさで、すごく食べ応えがあり、餌は土と、調理した際に出る生ゴミ。
その辺の山菜っぽいのも時折混ぜたりしながらミミズ専用の木箱に入れてある。
土を入れてある木箱なので腐食防止のため、漆仕様という贅沢な養殖箱。
最近ようやく安定して殖えてきたところだ。


『今日は何を作るの?』
「ミミズの肉詰め煮込み。」

ミミズの頭を切り取り、それを適度な大きさにぶつ切りにしていく。
そして泉で中身を洗い流す。
そこに水につけておいた血吸い鳥を包丁で叩いてミンチにした後、ミミズの皮肉に詰め込んでいく。
さいごに入り口、出口を血吸い鳥の腿の骨を使って縫いとめれば完成。
これを焚き火でじっくり煮込むのだ。
煮込む際に使うのは泉の水と塩、そしてメープルシロップ。
甘じょっぱいタレで煮込むイメージである。

美味そうな香りが小屋を満たす。
それが切欠だろうか?
少女が起きて来た。

「・・・ふあ・・・良い香り・・・あの・・・ん?あれ?なんで手がべとべとに?これ何?・・・甘いし。」
「おや、起きたの?
・・・ふむ。
ご飯にする?お風呂にする?
そ・れ・と・も。
私にする?」
「は?」

・・・マジトーンで返すなよ。
恥ずかしいじゃないか。

「・・・こほん。さて、さっそくだけど君は今の現状を理解してる?」
「えと・・・確か黒い虎に襲われて、それでここは・・・」
「ここは君達冒険者が勝手(・・)に避難所としてる僕の家。」
「そ、そういえば・・・あ、なるほど。ここに付いたとたん、安心して意識を失った――って、え?
僕の家?」
「そう僕の家。」
「えと・・・君はここに住んでるの?
でも誰もいないって・・・」
「いないわけないでしょうに。常識的に考えなよ。
中を見れば生活観あふれることくらい分かるし、そもそも誰も居ないってこと誰が何を根拠に言い出したことさ?
誰もいないところに家が建つわけないでしょ。」
『ほんと馬鹿よね。人間って。』
「・・・えと・・・そんなの私に言われても・・・お父さんが言ったから・・・」
「俺は悪くない、ヴァン先生が悪いんだ、ヴァン先生が言ったからってことかい?」
「は?ヴァン先生?」
「・・・ちくせう。このネタも通じないか。まぁ通じたら通じたて怖いが。
ま、とりあえずだ。
傷が治るには当然体に蓄えられた栄養を消耗する。おなかが減っているだろう?」

その言葉を聞いて等々に空腹であることを自覚したのか、おなかを鳴らしながら少女は顔を赤らめた。

「食べ物でも食べたらどう?」
「えと・・・もらってもいいの?」
「なんで君にあげるのさ。
自分で狩ってきなよ。」
「今までの文脈的にそう勘違いしてもおかしくないよねっ!?」

人の家に半ば強引に押しかけておいて飯も分捕るとはなんてふてぇやろうだ。
なんてのは冗談で。
空腹の人間を目の前にしてこちらが美味しくご飯をいただくというのは少々気まずい。
子供というわけでもないし、ここは飯くらい分けてあげよう。
起きてこなければ良かったのに。なんてことは思っていない。


「冗談だよ。晩御飯は別で作ろうか・・・ま、それはともかくまだご飯が出来るまで時間がかかる。それまで名前くらいは教えてもらいたいな。」
「あ、はい。
わ、私はホリィ。」
「そう。僕はタコ。
そして隣の彼女が・・・」
『グリューネ・ドドリアよ。どっちでも好きに呼んでもらってかまわないわ。』
「タコさんにドドリアさん?ドドリアさんは亜人ですか?いや、今は関係ないか。
えと・・・その、ここは貴方達の家・・・ということなの?」
「そうだよ。変態的なお姉さん。」
『そうよ。えろてぃかるなお姉さん。』
「な、なにっ!?その呼び名っ!?」
「いや、そんな体のラインを強調する貴方のことだから変態的かと思って。」
『同じく。私はえろてぃかるだと感じたけれど。』
「そんな変な名前で呼ばないでっ!!
私にはちゃんと名前があるのっ!第一、これは確かにその・・・えっちな形だけどちゃんと機能的なのっ!!」
「そうか、それは悪かったよ、変態的なホリィさん。」
『ごめんさい、えろてぃかるなホリィちゃん。』
「わざとやってるわねっ!?」
「わざとじゃないと出来ないでしょ?逆に。
何をこの子は言ってるのか・・・」
『まさかこれを本気でやってるとでも?
天然ってやつかしら・・・それともただのお馬鹿さん?』
「あれっ!?私が責められてる!?」

と、そろそろミミズの肉詰め煮込みが仕上がるころだ。
煮すぎると堅くなって微妙に味が落ちる。

「そろそろかな。ちょっと待ってて。話はご飯を食べながらゆっくりと。」

ご飯を食べながら話を聞いたことをまとめると彼女達は結構有名な冒険者で親子のコンビとして多少は名が知られていて、今回は先ほどの男達に嵌められたとのこと。
興味が無かったしどうこうするつもりも無かったので、その辺に関する話は詳しく聞かずに早々に切り上げて、彼女達に恩を売る作業に入る。
肉詰めの味は一言で言うなら「ミミズの肉を噛んだ瞬間に口の中に広がるのはそう、ほとばしる肉汁、旨みが染み出た肉汁であり、その量はまさに汁物同然でじゅるじゅると音を発てて飲み込むことが出来るほど、しかしその肉汁は舌を流れいく間に十二分に肉の味を感じさてくれた、それはさておき肉自体にもちゃんと旨みはあるが、鳥としての淡白な味に脂が乗ったミミズの肉が交じり合う、それはあたかもお互いがお互いの欠点を補うがごとしで、鳥のあっさりとした味にボリュームを与えてくれるミミズの脂が乗った肉、ミミズの脂がのった肉にあっさりとした鶏肉の味を混ぜることで濃いものを食べたとき特有のしつこさを紛らわせることが出来、口の中の唾液と交錯し舌に味を伝えるのはコンソメに近いジャンクフードのような杜撰な味、されどその味は決して悪いというわけではなく、実に味わいがいがあるパンチを聞かせる杜撰さとでも言えばいいだろうか、すなわちジャンクフードのようなコンソメのような味がしみこんだ肉を噛み噛みと噛みしめている、そういう表現がぴったりな料理」である。
もといたまにはこんなものもいいか?と思わせるがっつりとしたもので、後に残るメープルシロップの甘みが後味の悪さを緩和していた。
味の濃い物、脂っこいものが好きな人ならばまず食べてみたいと思わせてしまうであろう一品。

「さて、君は助かった。これは僕のおかげだ。そこに異論は無いね?」
「は、はい。えと・・・お金ならそこそこ持ってますけど・・・いくら――」
「ああ、お金は要らないから安心して。」

無茶難題を投げかけられるとでも思ったのだろうか?びくりとした彼女を安心させるために笑顔を浮かべたのだが、逆に不安を濃くする表情をしたホリィちゃん。

『タコ、貴方すっごいあくどい笑顔になってるわよ。』
「おっと・・・、ひさしぶりだったから表情部分の筋肉の動かし方を間違えちゃった。」
「?」

怪訝がる彼女を安心させるように今度こそ良い感じの笑顔を見せる。
すると胸を隠しだすホリィちゃん。

『今度はすっごいいやらしい感じの笑顔になってる。』
「・・・やっぱり無表情が一番だね。」
もう笑顔にはならないでおこう。
普通に間違える。

「け、怪我を治してもらったのは感謝してるけど、か、体は売らないし、私にそういう趣味(レズ)はない!!」

椅子から立ち上がって後ずさるホリィちゃん。
目線はちらちらとドアのほうへ向いている。
逃げられるとメープルシロップを使った損だ。
6時間以上かけた集大成を使わせておいてそれはちょっと以上に無念だ。
早く誤解を解こう。

「ああ、勘違いだよ、ホリィちゃん。
僕が君にしてもらいたいことは簡単だ。」
「あなたの上で腰を振るだけとかなら断るよっ!!」

顔を真っ赤にしながらそんなことを言うホリィちゃん。
・・・やっぱりこの子は天然なのか?それともお馬鹿?
どっからどうみても僕は女にしか見えないと思うのだが、まぁそれはいい。
とっとと恩を売って追い出そう。
あ、でも途中で死なれたら困るし、お父さんがまだ帰ってきてなかったな。

「僕が君に要求するのは1つだけ。ここに人がすんでるから誰も来ないようにと言い含めて欲しい。」
「へ?
・・・そんなことでいいの?」
「じゃあ腰を振ってくれるの?」
「ふ、振らないわっ!!」
「だったらそれでいいじゃないか。あとはのんびりお父さんを待っていれば良い。」
「え、でも・・・傷を治してもらったのに・・・」
「それがこっちにとって一番良いんだよ。」

最後にニコッと笑って話を終わらせようとしたのだが、またいやらしい笑顔をしてしまったらしい。
彼女が一歩下がった。
こんちくしょうめ。
しばらく人の姿をとってなかったから特に難しく感じる。

と、このとき。
たまたま。
たまたまなのだろう。
人の姿を取るのが久しぶりでこけてしまった。
重心の位置などがタコのときと違い、なおかつ久しぶりで人間としての動かす筋肉が弱まっていたのもあるのだろう。
筋肉は使い続けないと劣化していくと聞くし。
そしてこけた僕は彼女にのしかかり、その年の割にはかなり大きめな胸をワシ掴みに。
そして顔はにやけ顔。
普通ならば表情は行動に連動して変わるものだが、あいにくとちゃんとした表情筋ではない僕の顔はそう都合よく動いてくれない。
にやけながら女の子の胸をワシ掴みにするという画が出来上がった。

「よしっ!なんとか取って・・・」

そしてタイミング良く、いや悪く?
父親は帰ってきて早々娘を襲っている不届き者を叩ききろうと瞬時に剣を抜き、されど僕が身を守るために反射的に反撃をしてしまって気絶する父親。
そしてその父親を見て、さらには自分の胸をにやけ顔をしながらもまれたことによって彼女もふんがーっ!!といきり立ち、相対。
なんとか誤解を解き、なだめて、今日という日は終わったのであった。

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