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第二章 恋におちたら
62 side哉
しおりを挟むほとんどにらみつけるように見つめられながら、哉は全く気にせずに紅茶を飲んでいた。
沈黙の均衡。言いたいことがあるのなら言えばいいのに、と思っていたら、目の前の少女が真一文字に結んだ口を開いた。
「つかぬ事をお伺いするんですけど、もしかしてお姉さまがそちらに泊まるのはもしかしてっ 初めてではない? とか?」
白いテーブルの上の両手を握りこぶしにして、真里菜が一気にそこまで言ってから、その手を頭に持って行ってぎゃーっと叫ぶ。
「違うくてっ じゃなくて! うわあぁ ダメだ、やっぱり私このヒト苦手。翠、あとよろしく」
「いや、よろしくされたくないんだけど。あくまでリナの想像だし」
「うそっ!? 夕べ同意してくれたじゃない。お姉さまのあの曖昧な答えとかカンガミてとか難しいこといいながら! ひどい、私ひとりのせいにするのね!! 私のこと捨てる気!?」
「捨てる捨てないで言うと、捨てる気」
飄々と紅茶を飲む翠に、逆毛を立てんばかりの様子の真里菜が食って掛かり、あっさりと切り返されている。
「ばかーっ ひきょうものーっ」
「おばかはどっちさ、直球ど真ん中ストレートでどうするの。どっちかっていうとボール球振らせてファウル返されるのを狙おうよ、次からは」
「次があると思う!?」
「あははー ないか。ボクとしてはさすがにそこら辺は危ない橋っぽいしナシの線ってことで、無言の答えがファイナルアンサーなカンジで受け取りたいんですけど。ボクはともかくリナは口軽いし」
「軽くないってば。やるときはお口チャックできる子よ? 私はっ」
小さな口を一文字にして横に手を動かしながらジェスチャーする真里菜を、四つの目が疑わしそうに見つめる。
「んもうっ なんなのよ翠までっ 私たちの大好きなお姉さまを窮地に立たせるようなマネするわけないでしょう!?」
二人の視線に真里菜がテーブルを叩きながら抗議する。
「キミのほうはともかく」
紅茶を一口飲んで、哉が真里菜を見て。
「キミのほうは俺としてはちょっと困る。だってキミは男の子だろう?」
視線を翠のほうへ動かす。
「ちょっとまって! あなたなんで気づいたの!? こう言っちゃなんだけど翠は五歳のときからずーっと女の子で通してきてるしある意味私より女の子度が高いのよ!?」
言い当てられてびっくりしている翠に代わって真里菜が小さな声で、けれども口調は怒鳴っているときのそれで返している。
それじゃあ大当たりって言ってる様なもんだよ、もうちょっとごまかして。と、でも言いたげな顔で、とっさのことに反応できなかった翠が大きなため息をついていた。
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