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OUT OF DAYS
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しおりを挟む「……それは俺も知らない。だからっ! ホントにっ! なんか、女性問題で社長ともめた結果、ってことしか知らない」
ついでに、増本や鈴谷には言ってもよかったんじゃないかと今頃気付いたが言わない方が寿命が長く続きそうなので黙秘した。
「室長は知ってた、よね?」
「多分。と言うより、俺は室長と最高顧問との関係の方がよくわからないよ。どうしてあんなところに最高顧問ホットラインの番号なんかがあったんだろ」
そんな最高顧問だが、どこからどうやって手に入れたのか、既に二度、瀬崎の個人所有の携帯電話に近況を伝える為電話を掛けてきてくれている。ここがほぼ圏外だからだが、瀬崎が確実に携帯電話に対応できるエリアに居る時に。見計らっているのか? と言うようなタイミングだがおそらく何度もかけてくれているのだろう、アレで結構マメな人なんだなぁと思う反面、意図的に相手のことを隠している様子だとか、全てがオープンではないことは確かだ。
「あー それは私も疑問」
話題のすり替えに成功して瀬崎が短く息をついたのと同時に、ドアが開いて増本が帰ってきた。手にはホルダーに入ったコーヒーが三つと、持っていったはずの議事録。
「増本さーんっ 聞いてくださいよ、この人、私たちにウソついてたんですよー!」
「う、ウソなんかついてないですって!!」
「強いて言うなら黙ってたんですよぅ! このことっ」
己のパソコンを指差して喚く鈴谷に、コーヒーを机に置いた増本がどれどれと覗き込む。厄介ごとを放り投げて回避したと思っていたらブーメランのごとく帰ってきて、しかも後頭部を直撃したような気分。折角最近増本が優しくなったように感じていたのに、元の木阿弥どころかさらに状況が悪化している。
黙って三秒画面を見つめて、徐(おもむろ)に顔を上げた増本の笑顔が怖い。
「じゃ、説明してもらいましょうか」
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