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第一部 悪役令嬢の幼少期
43.5 婚期 【第一部 番外編】
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私はダリア・オルデン。騎士団総長、グレン・オルデンの長女だ。弟が三人、妹が一人いるが、その弟の内一人は私の目の前で死んだ。
今年で二十二歳になる。貴族の娘の多くは二十歳までに婚約、もしくは結婚するので、当然、行き遅れと言われている。父の方は全く気にしていないようだが、母は肩身の狭い思いをしているのを知っていた。
「私は結婚に興味がありません。この国の騎士として生きていければそれで」
「あなたがそんな事言うから、妹のルイーゼまで似たような事を言うようになってしまったではないですか!」
とんだとばっちりだ。実際私は騎士団の給金で十分一人で生きていける。妹もその内そうなるだろう。二人ともそのくらいの実力はあるのだ。父もそれがわかっているからうるさく言わないのだと思う。
「それは違います。お父様は貴方達が嫁に行くのが寂しいのです。自分の側にずっといてほしいと思っているから言わないだけです」
まさかそんな。あの厳格な父が自分の娘だからと言ってそんな甘ったるい考えを持っているはずがない。
「どの道もう遅いですわ。今更私を望まれる方はいないでしょう」
「オルデン家の女がそんな弱気でどうするのですか!」
名門騎士の家系だ。これまで色んな話があったが全て立ち消えた。先方はいつも理由を曖昧に、今回の話はなかったことで……という断り方をしてきたが、実のところは私の愛想が悪い、可愛げがない、と言うのが大体の理由だということは知っている。私も私に可愛げを求める人間とは結婚したくないので、有ありがたいことだ。
だから戦場や魔物退治は嫌いじゃない。この時ばかりは皆私を頼ってくれる、認めてくれる、尊敬してくれる。
「男に生まれればよかったのです」
ルイーゼの友人、リディアナ嬢につい愚痴を漏らしてしまった。妹の命の恩人になんてつまらない話をと少し焦ったが、彼女はこの話題に食いついてきた。
「まあ! そんなことになったらダリア様はモテモテですわね!」
「確かに! お姉様が男性だったらお兄様達なんて目じゃありません!」
弟達にはたくさんの縁談が持ち込まれているが、どちらもまだその気にならないようだ。それも母の悩みの種の一つになっている。
「名門オルデン家の防御魔法の使い手で、人気の騎士団魔術部隊に所属していて……その凛とした佇まい……クールで自分をしっかり持っている意志の強さ……」
「そう言うと今お姉様がモテない理由が謎だわ」
「ダリア様のレベルに釣り合う殿方がいないんでしょう」
「私もお姉様が私より弱い相手と結婚したら嫌だわ」
「そんなこと言ったら一生結婚できないじゃない!」
妹達は楽しそうだ。でもなんだか気が晴れて、一緒に笑うことができた。
「だいたい二十二歳で行き遅れ認定なんて……皆そんなに生き急いでどうしたいのかしら」
「それは治癒魔法かけ放題のフローレス家だからこその意見ね!」
「そ……それを言われると……」
ルイーゼはいつの間にリディアナ嬢とここまで仲良くなったんだろうか。
「ダリア様はどんな方がお好きですか?」
「え……」
そんなこと、今まで考えなかった。自分は選べる立場にないと勝手に思っていたし、恋などしたことがない。若い頃は防御魔法を極めるのが楽しくて、それ以外にあまり興味がなかった。でも二人のわくわくした瞳に負けて、考えながら話してみる。
「えーっと、まず誠実な人がいいですね。……肉体的な強さは求めませんが、精神的に安定していると助かります。何か大切なものがある人がいいです。そう言う人は強いので」
なるほどなるほど、と二人がウンウン頷いている。
「では見た目は?」
「健康的な体型であればあとは特に……」
「えー! ここを考えるのが一番楽しいんじゃないですか!」
「いいえリディ! お姉様が言う健康的な体型は、騎士団が基準なのよ! なかなか貴族でもそこまで鍛えている人はいないでしょう」
「それじゃあ……」
どんどん話が膨らんでいく。いつもなら苦手な話題なのに、楽しいと感じてしまった。相手が子供だからだろうか。こんな風に気楽に語れるなんて……学生時代にもう少し友人達と軽口を叩き合うべきだったのかもしれない。
そうしてある夏の日、急に父から誘われてライアス領へ行くことになった。騎士団の仕事なのに珍しく母もついてきた。
「フレッド様とのお話が出ているのです」
行き道で母に告げられた。一瞬、なんのことか分からなかった。なんの話だって?
「ライアス家の皆様は私についてご存知なんですか?」
「全て承知の上とのことです」
正直信じられない。また愛想が悪いと振られるのがオチだ。今から気が重い。
「ダリア」
それまで黙っていた父が急に声をかけてきた。
「幸せになってもいいんだ。お前の弟もそれを望んでいる。私にはわかる」
「別にそれは関係ありません」
死んだ弟には婚約者がいた。親同士が決めたものだったが、二人はとても仲が良く、皆で結婚式を楽しみにしていた。だけど弟は死んでしまった。嘆き悲しむ弟の婚約者の声がいつまでも頭に響いた。
「お父様の言う通りですよ! 仇は私が打ちました! もう気にするのはおやめなさい。全く……そろいもそろって……!」
そうか。他の弟達もそうだったのか。自分達だけ幸せになる気になれなかったのか。
「私はもう二十二です。気になりませんか?」
フレッドに会っての第一声がこれだ。また可愛げがない発言をしてしまった。
「私はまだ十七です。気にされませんか?」
「それは別に」
「私もです」
フレッドは思っていたよりずっと穏やかな人だった。魔物の森があるライアス領の嫡子だ。それに飛龍も飼っている。氷石病で死にかけた上、今は後遺症と闘っていると言う話だ。もっと荒々しくて、自分を憐れんでいるタイプだと勝手に思っていた。大変失礼な想像だと反省した。
「生きた飛龍をこんなにマジマジと見たのは初めてです。いつもどう倒すか考えて……あ! 失礼しました……」
「あはは! 私も同じですよ! コイツら以外の飛龍は早く倒すに限ります」
そう言って優しく飛龍を撫でていた。私の発言を不快に思わなかったか不安になった。いつもは相手がどう感じようがどうでもいいのに。今回は違った。
城下街も案内してくれた。王都の綺麗に整った街とも、オルデン領のノンビリとした雰囲気とも全然違った。
「楽しい物があっちこっちから集まった街なんですね。入って見たいと思うお店がこんなにいっぱいあるのは初めてです」
「ではどこかご案内しましょう」
「武器屋がいいです。短剣が多く置いている店はありますか?」
しまった! また可愛げがない事を……。
「剣の専門店は多いのですが、短剣だとあっちの店がいいかもしれません」
嬉しそうにその店に連れて行ってくれた。
「魔物の森へ行ってみたいのですが」
翌朝朝食の席で告げると、辺境伯は目を見開き、辺境伯夫人は大笑いをし、フレッドと彼の弟のフィンリーはニコニコといつも通り微笑んでいた。
「あの……行き方を教えていただければ一人で問題ありませんので……」
どう伝えるのが正解かわからない。昨日フレッドがプレゼントしてくれた短剣の試し切りをしてみたかったし、何より魔物の森にどのくらい強い魔物がいるか確かめておきたかった。だが、母が額をおさえているのをみて、これが失言だったとわかった。
だから王都への出発前、心底驚いたのだ。
「ダリア嬢、私と結婚していただけませんか」
フレッドが私の前に跪いて結婚を申し込んでくれたことに。
こんなにも嬉しくて気持ちが昂ったのはいつ以来だろう。だからフレッドにも同じ気持ちになってほしかった。
「フレッド様、私と結婚していただけませんか」
同じように跪いて彼と視線を合わせる。こんなに緊張したのもいつ以来だろう。
「よろこんで!」
くしゃくしゃな笑顔で答えてくれた。母が泣いているのが見えた。
私は知らなかった。今この胸にある、淡くくすぐったい気持ちが、どんどんと大きくなっていくことを。どうかフレッドも同じ気持ちでいてほしいと思う日がくることを。
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「私は結婚に興味がありません。この国の騎士として生きていければそれで」
「あなたがそんな事言うから、妹のルイーゼまで似たような事を言うようになってしまったではないですか!」
とんだとばっちりだ。実際私は騎士団の給金で十分一人で生きていける。妹もその内そうなるだろう。二人ともそのくらいの実力はあるのだ。父もそれがわかっているからうるさく言わないのだと思う。
「それは違います。お父様は貴方達が嫁に行くのが寂しいのです。自分の側にずっといてほしいと思っているから言わないだけです」
まさかそんな。あの厳格な父が自分の娘だからと言ってそんな甘ったるい考えを持っているはずがない。
「どの道もう遅いですわ。今更私を望まれる方はいないでしょう」
「オルデン家の女がそんな弱気でどうするのですか!」
名門騎士の家系だ。これまで色んな話があったが全て立ち消えた。先方はいつも理由を曖昧に、今回の話はなかったことで……という断り方をしてきたが、実のところは私の愛想が悪い、可愛げがない、と言うのが大体の理由だということは知っている。私も私に可愛げを求める人間とは結婚したくないので、有ありがたいことだ。
だから戦場や魔物退治は嫌いじゃない。この時ばかりは皆私を頼ってくれる、認めてくれる、尊敬してくれる。
「男に生まれればよかったのです」
ルイーゼの友人、リディアナ嬢につい愚痴を漏らしてしまった。妹の命の恩人になんてつまらない話をと少し焦ったが、彼女はこの話題に食いついてきた。
「まあ! そんなことになったらダリア様はモテモテですわね!」
「確かに! お姉様が男性だったらお兄様達なんて目じゃありません!」
弟達にはたくさんの縁談が持ち込まれているが、どちらもまだその気にならないようだ。それも母の悩みの種の一つになっている。
「名門オルデン家の防御魔法の使い手で、人気の騎士団魔術部隊に所属していて……その凛とした佇まい……クールで自分をしっかり持っている意志の強さ……」
「そう言うと今お姉様がモテない理由が謎だわ」
「ダリア様のレベルに釣り合う殿方がいないんでしょう」
「私もお姉様が私より弱い相手と結婚したら嫌だわ」
「そんなこと言ったら一生結婚できないじゃない!」
妹達は楽しそうだ。でもなんだか気が晴れて、一緒に笑うことができた。
「だいたい二十二歳で行き遅れ認定なんて……皆そんなに生き急いでどうしたいのかしら」
「それは治癒魔法かけ放題のフローレス家だからこその意見ね!」
「そ……それを言われると……」
ルイーゼはいつの間にリディアナ嬢とここまで仲良くなったんだろうか。
「ダリア様はどんな方がお好きですか?」
「え……」
そんなこと、今まで考えなかった。自分は選べる立場にないと勝手に思っていたし、恋などしたことがない。若い頃は防御魔法を極めるのが楽しくて、それ以外にあまり興味がなかった。でも二人のわくわくした瞳に負けて、考えながら話してみる。
「えーっと、まず誠実な人がいいですね。……肉体的な強さは求めませんが、精神的に安定していると助かります。何か大切なものがある人がいいです。そう言う人は強いので」
なるほどなるほど、と二人がウンウン頷いている。
「では見た目は?」
「健康的な体型であればあとは特に……」
「えー! ここを考えるのが一番楽しいんじゃないですか!」
「いいえリディ! お姉様が言う健康的な体型は、騎士団が基準なのよ! なかなか貴族でもそこまで鍛えている人はいないでしょう」
「それじゃあ……」
どんどん話が膨らんでいく。いつもなら苦手な話題なのに、楽しいと感じてしまった。相手が子供だからだろうか。こんな風に気楽に語れるなんて……学生時代にもう少し友人達と軽口を叩き合うべきだったのかもしれない。
そうしてある夏の日、急に父から誘われてライアス領へ行くことになった。騎士団の仕事なのに珍しく母もついてきた。
「フレッド様とのお話が出ているのです」
行き道で母に告げられた。一瞬、なんのことか分からなかった。なんの話だって?
「ライアス家の皆様は私についてご存知なんですか?」
「全て承知の上とのことです」
正直信じられない。また愛想が悪いと振られるのがオチだ。今から気が重い。
「ダリア」
それまで黙っていた父が急に声をかけてきた。
「幸せになってもいいんだ。お前の弟もそれを望んでいる。私にはわかる」
「別にそれは関係ありません」
死んだ弟には婚約者がいた。親同士が決めたものだったが、二人はとても仲が良く、皆で結婚式を楽しみにしていた。だけど弟は死んでしまった。嘆き悲しむ弟の婚約者の声がいつまでも頭に響いた。
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そうか。他の弟達もそうだったのか。自分達だけ幸せになる気になれなかったのか。
「私はもう二十二です。気になりませんか?」
フレッドに会っての第一声がこれだ。また可愛げがない発言をしてしまった。
「私はまだ十七です。気にされませんか?」
「それは別に」
「私もです」
フレッドは思っていたよりずっと穏やかな人だった。魔物の森があるライアス領の嫡子だ。それに飛龍も飼っている。氷石病で死にかけた上、今は後遺症と闘っていると言う話だ。もっと荒々しくて、自分を憐れんでいるタイプだと勝手に思っていた。大変失礼な想像だと反省した。
「生きた飛龍をこんなにマジマジと見たのは初めてです。いつもどう倒すか考えて……あ! 失礼しました……」
「あはは! 私も同じですよ! コイツら以外の飛龍は早く倒すに限ります」
そう言って優しく飛龍を撫でていた。私の発言を不快に思わなかったか不安になった。いつもは相手がどう感じようがどうでもいいのに。今回は違った。
城下街も案内してくれた。王都の綺麗に整った街とも、オルデン領のノンビリとした雰囲気とも全然違った。
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「ではどこかご案内しましょう」
「武器屋がいいです。短剣が多く置いている店はありますか?」
しまった! また可愛げがない事を……。
「剣の専門店は多いのですが、短剣だとあっちの店がいいかもしれません」
嬉しそうにその店に連れて行ってくれた。
「魔物の森へ行ってみたいのですが」
翌朝朝食の席で告げると、辺境伯は目を見開き、辺境伯夫人は大笑いをし、フレッドと彼の弟のフィンリーはニコニコといつも通り微笑んでいた。
「あの……行き方を教えていただければ一人で問題ありませんので……」
どう伝えるのが正解かわからない。昨日フレッドがプレゼントしてくれた短剣の試し切りをしてみたかったし、何より魔物の森にどのくらい強い魔物がいるか確かめておきたかった。だが、母が額をおさえているのをみて、これが失言だったとわかった。
だから王都への出発前、心底驚いたのだ。
「ダリア嬢、私と結婚していただけませんか」
フレッドが私の前に跪いて結婚を申し込んでくれたことに。
こんなにも嬉しくて気持ちが昂ったのはいつ以来だろう。だからフレッドにも同じ気持ちになってほしかった。
「フレッド様、私と結婚していただけませんか」
同じように跪いて彼と視線を合わせる。こんなに緊張したのもいつ以来だろう。
「よろこんで!」
くしゃくしゃな笑顔で答えてくれた。母が泣いているのが見えた。
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