87 / 163
第二部 元悪役令嬢の学園生活
29 中ボス
レヴィリオの暴走事件からしばらく経った。制服の袖も短くなり、ちょっとした貴族派との小競り合いはあるものの、おおむね穏やかな日々が過ぎていく。かと言って私達はゆっくりしてはいられない。次の夏季休暇ではレヴィリオ妹救出作戦以外に、大きなイベントが待ち構えているのだ。
「あの村ってそろそろ見つかってるかな」
「そうね。剣術大会後に情報が入ってくるはずだから」
学生街にある騎士団の駐屯所の備品を整理しながら、楽しく夏休みの計画を立てたいところだが、私達の青春は一旦お預けだ。
この世界にインターネットはないので最新情報が入ってくるまでに時間がかかる。一応情報通の侍女エリザや、王都の屋敷にいる使用人達にはあらゆる情報を流してもらう様にしているので、極端に遅くなることはないと思うが……。
「あ~モヤモヤする! 早く連絡来ないかな」
それは突然現れた新種の魔獣だった。キノコの様なシルエットのその魔獣は瘴気を撒き散らし、それに触れた様々な生き物を苗床にして増殖していったのだ。そしてとある村がそのキノコ型魔獣の瘴気に飲み込まれ、村人全員が苗床にされてしまった。長く苗床として使う為か、全員生きたままの状態で眠らさせており、良くも悪くもそのおかげで、原作では死人が出る前に解決する。
「村名……やっぱ載ってなかったよねぇ?」
「ないない! 領の名前すら出てなかったわ」
唯一、『西の森』という単語だけは出てきた。王都から西側にある森なんてヒントにもならないくらい存在する。残念ながらそれ以上場所に関して詳細な記載がなかったので、前世の記憶というアドバンテージを生かして事前に阻止とはいかなかったのだ。歯痒いが、どうしようもない。
「解決方法がわかってるだけでも良しとしましょう」
「そうだね……」
新種の居場所も倒し方もわかっているから、その後はスムーズにことを進められる。今はただ待つしかない。
「リディアナ様! そんな! 我々がやりますので!」
私に気がついた駐屯所の救護係が慌てて駆け寄ってくる。別に今に始まった事ではないのに毎度大慌てさせてしまって少々申し訳ない。
学園内で大怪我する生徒は滅多にいない。なにかあっても医務室を利用するので、私の出番は全くない。その為治癒魔法の訓練が全く出来なくなってしまったのだ。
師匠である伯父の教育方針が、数をこなせ! 経験を積め! という方法だったので、全く治療魔法を使わない日が続いてどうにも落ち着かない。だから駐屯所で私も働くことにしたのだ。勝手に。公爵令嬢はやりたい放題出来ていい。駐屯地では毎日しっかり兵士達が訓練をしているので、それなりに怪我人はでる。軽傷ばかりだが……。
「社畜根性今世にまで持ち込まなくてもいいんじゃん?」
「いやぁぁぁ! ちょっと自分でも感じてたから言わないでぇぇぇ」
たまにある休日にソワソワして結局家でも仕事しちゃうのと同じなのかもしれない。……でも治癒魔法を強化させて困ることはないし……。
「外の訓練場行ってきたら? 怪我人作ってくれたらあたしの訓練にもなるし」
人の事は言えないが、これが未来の聖女が言うセリフ? 最近じゃ二人で怪我人の取り合いになっているのだ。兵士達の古傷も治療し終わってしまった。古い傷跡も綺麗になることが確認でき、レヴィリオ妹の治療方法も固まってきたのは良い収穫だった。
二人で話をしているだけじゃ時間がもったいないし、言われた通り兵士達の訓練に参加することにした。今日は学園が休みなので、レオハルト達も来ている。色々ごちゃごちゃと理由を並べていたが、つまりは私と一緒にいたいのだ。避けているわけではないのだが、何かと忙しくてかまってあげていないからだろう。
「あら、怪我人作りに来たの?」
「アイリスに頼まれてね」
ルイーゼの軽口に軽口を返す。
「まあなんてことを!」
予想通りアリアに叱られるも、本気でないのはわかっているので笑ってはぐらかす。ルイーゼも兵士達の訓練に参加しに駐屯所に来ており、アリアは軽食の差し入れに立ち寄ってくれたのだ。
「あなた達仕事熱心ねぇ」
(やっぱり社畜根性抜けないのかなぁ)
自分で無理やり仕事を作ろうとしているのだからどうしようもない。ルイーゼが声をたてて笑っていると、彼女の兄ヴィルヘルムが気が付いてこちらへやってきた。アリアが急に大人しくなるのを私もルイーゼも気づいている。
「やあやあ皆様おそろいで。男性陣は頑張ってますよ」
少し離れたところで、レオハルトとジェフリーが剣で打ち合いをしている。汗もかいているので長い間頑張っているのだろう。フィンリー様は別の場所でルカと一緒に、最小限の魔力で強度のある土壁を作る実験をしているらしい。
「殿下もジェフリー殿も剣術大会へ向けて準備万端ですね!」
「フィンリー様は?」
「フィンリー、剣術大会にはあまり興味がなさそうなのよね。魔法禁止だからかな」
すでに冒険者の感覚なのか。確かに一番実践訓練を好むのはフィンリー様だった。レオハルトは王族の嗜みとしての剣術の訓練を受けているが、フィンリー様は生きるために剣術を学んでいた。
(実践大好きって感じなのよね~冒険者になれば、なにがなんでも勝てればいいわけで……)
強い人との試合は楽しみのようだが、試合の勝ち負けにこだわりはないようだ。あくまで経験を積みたいのだろう。ちなみにジェフリーは単純に武器を扱うのが好きで、ルカに関してはできるだけ刃物には関わりたくないのは明らかだった。
「アリア嬢、いつも美味しいものをありがとうございます」
「ひゃっ……はい……!」
アリアはヴィルヘルムに揶揄われているようだが、とても幸せそうな表情をしている。ぽぉっと見たことのない顔で惚けているのだ。口なんて半開きのまま。まったく! アリアの気持ちを知っていてなんて悪い男なんだろう。まあアリアもこれが目当てでいつも差し入れに来るのだが。
「剣術大会、誰が勝ちそうなの?」
「殿下、ジェフリー様、フィンリーの誰かね」
ほぼ原作と同じか。ただ、原作ではレオハルトとフィンリー様の二強だった。ジェフリーは剣術に関しては一歩後ろにいたはずだが、どうやら今は生き生きと訓練しているようだ。一番腕の立つルイーゼが言うからそうなんだろう。
ルイーゼ曰く、全員がバランス型。実際魔獣討伐や戦地でも総合力が高い兵が重宝されるらしく、三人は最高の仕上がりになっているらしい。この辺りも原作と少々違う。
「単純にお強いのはどなたですの?」
我に返ったアリアが尋ねる。ルイーゼは悩むようにうーんと深く唸っていた。
「魔法も含めた総合力では殿下が一番かな。攻撃も防御も高レベルでバランスがいいわ。剣以外のあらゆる武器を魔法と一緒に使いこなす点で言うとジェフリー様がダントツね。器用なのよ。フィンリーは実践に強いわね。カンもいいし。対人戦はともかく、魔獣討伐に関しては経験を積んでいる分かなり差があると思うわ」
まあ全員私には勝てないけど! という言葉を残し、ルイーゼは兵士達の訓練へ戻って行った。私もルカに呼ばれたのでそちらに向かう。なかなか強度のある防御用の壁が出来たので、どの程度の魔法で吹き飛ぶか試したいそうだ。
「アリア、気をつけて帰ってね」
少し前に盗賊の一団が学生街を狙っているという情報が入ったのだ。嘘か本当かわからないが、この街を狙うなんて馬鹿にも程がある。確かにどの店も景気がいいし、富裕層ばかりが住んでいる。けど警備の手厚さを知っていれば、とてもこの街で仕事をしようなんて考えない。
「ええ。ですが白昼堂々出歩く盗賊もいないでしょう」
確かにまだ日も高いし、アリアのお付きも一緒だ。気をつけてね、なんて言ったが実際は心配はしていなかった……なのに……。
フラグを立てたつもりは全くなかったのだ。
その日は久しぶりにバタバタと治癒師としての仕事が入ってきた。
「アリア! アリア大丈夫!!?」
アイリスの叫び声に心臓が押し潰されそうになる。手に顔を埋め土埃にまみれたアリアが駐屯所の治療室に運び込まれてきたのだ。怪我をした五人の兵士と十二人の盗賊と一緒に。
偶然警戒中の兵士達が、盗賊団のねぐらを見つけて戦闘になり、一部が逃げ出して学生街にまで出てきてしまったのだ。
「アリア! どこか怪我を……!」
「だ! 大丈夫です! それより兵士の皆様を!」
「いいから!」
アイリスが急いで彼女の身体をチェックするも、何もない。すこぶる健康だわ。と呟いた。
「だから何もないと言ったのです! さあ早く!」
結局、盗賊十二人をボコボコにしたのはアリアだったことがわかった。大地の魔法で地面を崩落させ、さらにその崩壊した瓦礫の一部を風の魔法で操って盗賊達をタコ殴りにしたらしい。一部の盗賊が子供を人質に取ろうとした事にアリアがキレたのだと、大泣きしている彼女のお付きが話してくれた。
「アリア嬢のその思いっきりのよさ、好きですよ!」
駆けつけたヴィルヘルムの言葉に恥ずかしいやら嬉しいやらの感情でぐちゃぐちゃになり、その場にへたり込んでしまったのを勘違いした他の兵士が慌ててこちらに連れてきたそうだ。
「アリア、容赦ないもんね」
そう、流石は原作では中ボスクラスのアリアだ。自分が嫌悪する者を罰することに躊躇いがない。アリアにとって、彼女より弱い平民や子供は守るべき対象なのだ。それが貴族のあるべき姿だと教え込まれているから。きっと今回盗賊を殺してしまっていても一切後悔していないだろう。そういう点では一番強い。
「強いってなんだろうね~」
ルイーゼも同じような事を考えていたんだろう。誰かを守るために人を殺す日がくるかもしれない、考えないようにしていたが、その日が来た時、私達はアリアのように躊躇いなく力をふるえるだろうか。
「あの村ってそろそろ見つかってるかな」
「そうね。剣術大会後に情報が入ってくるはずだから」
学生街にある騎士団の駐屯所の備品を整理しながら、楽しく夏休みの計画を立てたいところだが、私達の青春は一旦お預けだ。
この世界にインターネットはないので最新情報が入ってくるまでに時間がかかる。一応情報通の侍女エリザや、王都の屋敷にいる使用人達にはあらゆる情報を流してもらう様にしているので、極端に遅くなることはないと思うが……。
「あ~モヤモヤする! 早く連絡来ないかな」
それは突然現れた新種の魔獣だった。キノコの様なシルエットのその魔獣は瘴気を撒き散らし、それに触れた様々な生き物を苗床にして増殖していったのだ。そしてとある村がそのキノコ型魔獣の瘴気に飲み込まれ、村人全員が苗床にされてしまった。長く苗床として使う為か、全員生きたままの状態で眠らさせており、良くも悪くもそのおかげで、原作では死人が出る前に解決する。
「村名……やっぱ載ってなかったよねぇ?」
「ないない! 領の名前すら出てなかったわ」
唯一、『西の森』という単語だけは出てきた。王都から西側にある森なんてヒントにもならないくらい存在する。残念ながらそれ以上場所に関して詳細な記載がなかったので、前世の記憶というアドバンテージを生かして事前に阻止とはいかなかったのだ。歯痒いが、どうしようもない。
「解決方法がわかってるだけでも良しとしましょう」
「そうだね……」
新種の居場所も倒し方もわかっているから、その後はスムーズにことを進められる。今はただ待つしかない。
「リディアナ様! そんな! 我々がやりますので!」
私に気がついた駐屯所の救護係が慌てて駆け寄ってくる。別に今に始まった事ではないのに毎度大慌てさせてしまって少々申し訳ない。
学園内で大怪我する生徒は滅多にいない。なにかあっても医務室を利用するので、私の出番は全くない。その為治癒魔法の訓練が全く出来なくなってしまったのだ。
師匠である伯父の教育方針が、数をこなせ! 経験を積め! という方法だったので、全く治療魔法を使わない日が続いてどうにも落ち着かない。だから駐屯所で私も働くことにしたのだ。勝手に。公爵令嬢はやりたい放題出来ていい。駐屯地では毎日しっかり兵士達が訓練をしているので、それなりに怪我人はでる。軽傷ばかりだが……。
「社畜根性今世にまで持ち込まなくてもいいんじゃん?」
「いやぁぁぁ! ちょっと自分でも感じてたから言わないでぇぇぇ」
たまにある休日にソワソワして結局家でも仕事しちゃうのと同じなのかもしれない。……でも治癒魔法を強化させて困ることはないし……。
「外の訓練場行ってきたら? 怪我人作ってくれたらあたしの訓練にもなるし」
人の事は言えないが、これが未来の聖女が言うセリフ? 最近じゃ二人で怪我人の取り合いになっているのだ。兵士達の古傷も治療し終わってしまった。古い傷跡も綺麗になることが確認でき、レヴィリオ妹の治療方法も固まってきたのは良い収穫だった。
二人で話をしているだけじゃ時間がもったいないし、言われた通り兵士達の訓練に参加することにした。今日は学園が休みなので、レオハルト達も来ている。色々ごちゃごちゃと理由を並べていたが、つまりは私と一緒にいたいのだ。避けているわけではないのだが、何かと忙しくてかまってあげていないからだろう。
「あら、怪我人作りに来たの?」
「アイリスに頼まれてね」
ルイーゼの軽口に軽口を返す。
「まあなんてことを!」
予想通りアリアに叱られるも、本気でないのはわかっているので笑ってはぐらかす。ルイーゼも兵士達の訓練に参加しに駐屯所に来ており、アリアは軽食の差し入れに立ち寄ってくれたのだ。
「あなた達仕事熱心ねぇ」
(やっぱり社畜根性抜けないのかなぁ)
自分で無理やり仕事を作ろうとしているのだからどうしようもない。ルイーゼが声をたてて笑っていると、彼女の兄ヴィルヘルムが気が付いてこちらへやってきた。アリアが急に大人しくなるのを私もルイーゼも気づいている。
「やあやあ皆様おそろいで。男性陣は頑張ってますよ」
少し離れたところで、レオハルトとジェフリーが剣で打ち合いをしている。汗もかいているので長い間頑張っているのだろう。フィンリー様は別の場所でルカと一緒に、最小限の魔力で強度のある土壁を作る実験をしているらしい。
「殿下もジェフリー殿も剣術大会へ向けて準備万端ですね!」
「フィンリー様は?」
「フィンリー、剣術大会にはあまり興味がなさそうなのよね。魔法禁止だからかな」
すでに冒険者の感覚なのか。確かに一番実践訓練を好むのはフィンリー様だった。レオハルトは王族の嗜みとしての剣術の訓練を受けているが、フィンリー様は生きるために剣術を学んでいた。
(実践大好きって感じなのよね~冒険者になれば、なにがなんでも勝てればいいわけで……)
強い人との試合は楽しみのようだが、試合の勝ち負けにこだわりはないようだ。あくまで経験を積みたいのだろう。ちなみにジェフリーは単純に武器を扱うのが好きで、ルカに関してはできるだけ刃物には関わりたくないのは明らかだった。
「アリア嬢、いつも美味しいものをありがとうございます」
「ひゃっ……はい……!」
アリアはヴィルヘルムに揶揄われているようだが、とても幸せそうな表情をしている。ぽぉっと見たことのない顔で惚けているのだ。口なんて半開きのまま。まったく! アリアの気持ちを知っていてなんて悪い男なんだろう。まあアリアもこれが目当てでいつも差し入れに来るのだが。
「剣術大会、誰が勝ちそうなの?」
「殿下、ジェフリー様、フィンリーの誰かね」
ほぼ原作と同じか。ただ、原作ではレオハルトとフィンリー様の二強だった。ジェフリーは剣術に関しては一歩後ろにいたはずだが、どうやら今は生き生きと訓練しているようだ。一番腕の立つルイーゼが言うからそうなんだろう。
ルイーゼ曰く、全員がバランス型。実際魔獣討伐や戦地でも総合力が高い兵が重宝されるらしく、三人は最高の仕上がりになっているらしい。この辺りも原作と少々違う。
「単純にお強いのはどなたですの?」
我に返ったアリアが尋ねる。ルイーゼは悩むようにうーんと深く唸っていた。
「魔法も含めた総合力では殿下が一番かな。攻撃も防御も高レベルでバランスがいいわ。剣以外のあらゆる武器を魔法と一緒に使いこなす点で言うとジェフリー様がダントツね。器用なのよ。フィンリーは実践に強いわね。カンもいいし。対人戦はともかく、魔獣討伐に関しては経験を積んでいる分かなり差があると思うわ」
まあ全員私には勝てないけど! という言葉を残し、ルイーゼは兵士達の訓練へ戻って行った。私もルカに呼ばれたのでそちらに向かう。なかなか強度のある防御用の壁が出来たので、どの程度の魔法で吹き飛ぶか試したいそうだ。
「アリア、気をつけて帰ってね」
少し前に盗賊の一団が学生街を狙っているという情報が入ったのだ。嘘か本当かわからないが、この街を狙うなんて馬鹿にも程がある。確かにどの店も景気がいいし、富裕層ばかりが住んでいる。けど警備の手厚さを知っていれば、とてもこの街で仕事をしようなんて考えない。
「ええ。ですが白昼堂々出歩く盗賊もいないでしょう」
確かにまだ日も高いし、アリアのお付きも一緒だ。気をつけてね、なんて言ったが実際は心配はしていなかった……なのに……。
フラグを立てたつもりは全くなかったのだ。
その日は久しぶりにバタバタと治癒師としての仕事が入ってきた。
「アリア! アリア大丈夫!!?」
アイリスの叫び声に心臓が押し潰されそうになる。手に顔を埋め土埃にまみれたアリアが駐屯所の治療室に運び込まれてきたのだ。怪我をした五人の兵士と十二人の盗賊と一緒に。
偶然警戒中の兵士達が、盗賊団のねぐらを見つけて戦闘になり、一部が逃げ出して学生街にまで出てきてしまったのだ。
「アリア! どこか怪我を……!」
「だ! 大丈夫です! それより兵士の皆様を!」
「いいから!」
アイリスが急いで彼女の身体をチェックするも、何もない。すこぶる健康だわ。と呟いた。
「だから何もないと言ったのです! さあ早く!」
結局、盗賊十二人をボコボコにしたのはアリアだったことがわかった。大地の魔法で地面を崩落させ、さらにその崩壊した瓦礫の一部を風の魔法で操って盗賊達をタコ殴りにしたらしい。一部の盗賊が子供を人質に取ろうとした事にアリアがキレたのだと、大泣きしている彼女のお付きが話してくれた。
「アリア嬢のその思いっきりのよさ、好きですよ!」
駆けつけたヴィルヘルムの言葉に恥ずかしいやら嬉しいやらの感情でぐちゃぐちゃになり、その場にへたり込んでしまったのを勘違いした他の兵士が慌ててこちらに連れてきたそうだ。
「アリア、容赦ないもんね」
そう、流石は原作では中ボスクラスのアリアだ。自分が嫌悪する者を罰することに躊躇いがない。アリアにとって、彼女より弱い平民や子供は守るべき対象なのだ。それが貴族のあるべき姿だと教え込まれているから。きっと今回盗賊を殺してしまっていても一切後悔していないだろう。そういう点では一番強い。
「強いってなんだろうね~」
ルイーゼも同じような事を考えていたんだろう。誰かを守るために人を殺す日がくるかもしれない、考えないようにしていたが、その日が来た時、私達はアリアのように躊躇いなく力をふるえるだろうか。
あなたにおすすめの小説
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
他小説サイトにも投稿しています。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。
秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。
「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」
第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。
着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。
「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。
行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。
「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」
「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」
氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。
一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。
慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。
しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。
「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」
これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――