【完結】悪役令嬢はヒロインの逆ハールートを阻止します!

桃月とと

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3 デート

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 休日、アリスがあちこちで攻略キャラとデートしているのを度々見かけた。

「あの特待生、勉強しなくていいのかしら」
「また別の方と歩いてらっしゃいますわ」
「俺なんて全然相手にされねーのに! やっぱ身分と顔かよ~」

 ゲーム内のアリスは、ゲーム内のメルみたいな嫉妬に狂った女子以外からとても可愛がられていた。平民ながら努力家で勤勉で素直で優しく、なにより可愛らしい彼女に、学園中が少しずつ好感度を上げていったのだ。一方、こちらのアリスは学生や教師、食堂のおばちゃんに至るまで満遍なく白い目で見られている。

 私はアリスを見る度に、隣にジルがいたらと不安になるのだが、夏休みを前にしてついに2人が一緒にいるところを見てしまった。
 剣の訓練場の中で2人っきりで何やら仲良く話をしていて、つい物陰に隠れてしまった。

「剣ってこんなに重いんだぁ。全然持てないよぅ」

 ああ、イラっとする。なーにが持てないよぅ、だ! お前は光魔法使いなんだから剣だの弓だの関係ないだろ!

「そうか? メルは上手いこと振り回すんだがな」

 突然名前が出てきてビックリする。

(なんで隠れたりしたのかしら) 

 私は絶対にこの逆ハールートを成功させるつもりはない。なら隠れてないで潰しに行かなきゃ!

「あら、ジルも剣の訓練?」

 さも今来たかのように振る舞う。

「なんだ。メルもか?」
「まあね」

 よかったら一緒にする? って言いたいのに言えない……。その一言がまだ私には難しい。

「ねぇジル~! これって持ち方こうでいいのぉ?」
「あら。アリス様もいらしたの?」
「ひどぉい! ジルの側にいたのに気づかないふりなんて」

(じゃあテメェから挨拶しろや!)

 おっといけない。あまり思考を自由にしすぎると口から出てしまう。

「なんか一度剣を習ってみたかったんだと」
「あら。剣術より先にするべきことがたくさんあるかと思うけど……」

 ゲームでは休日の度に様々なパラメータを上げることができた。勉強をして知能を、運動をして体力を、魔術を使って光魔法を。それに加えてアルバイトをしてお金を稼いだりもできる。もちろん、攻略キャラとデートをして好感度を上げるのも大切だ。

(まあ好感度を上げるのはデートするのが1番確実で手っ取り早いけどね)

 それがうまくいかないから、これだけ毎週毎週デートに時間をかけてるんだろうな。
 私が簡単に確認できる攻略対象はジルと第二王子だけだが、ジルはおそらく今日が初めてのデートだし、第二王子は休日、高確率でリーシャと一緒にいる。ゲームと違ってあのカップルはとても仲がいい。少なくともこの2人は攻略が遅れていると言って問題ないだろう。

「お前、勉強してねーの?」
「え、いや……」

 一瞬何か考えて、急に顔を手で隠した。

「……そうなの難しくって! でも平民の私なんて誰も取り合ってくれないし……」

 シクシクと泣くフリを始めた。ああ、この次何を言うのかわかったぞ。

「ねぇジル。勉強教えてほしいな」

 上目遣い、潤んだ瞳でジルを見つめた。アリスは当たり前だがヒロインだ、圧倒的に可愛い。ピンクの髪にピンクの瞳。小柄で華奢だ。大抵はこの見た目だけで落ちるだろう。

「ん~悪りぃけど俺は適任じゃねーよ。ほら、ダグラスがいいんじゃねーか? あいつ勉強得意だし」

 ダグラスも攻略キャラだ。宰相の息子でインテリキャラ。しかしあの泣き落としによく耐えたなジル! 偉い! 明らかに困り顔になっている。

「えーでもぉ……ジルがいいなぁ。ジルの部屋行ってみたいし!」
「なっ!」
「いやそりゃダメだろ」

 私がキレるより前にジルがハッキリと断ったのにビックリしてしまった。

「え?」

 それはアリスも同じようだ。

「いや流石に男子寮に女子連れてったら大目玉くらうわ。親父にどんな目にあわされるかわかったもんじゃねーし」

 悪いな! と寄り付く島もなく再度断った。

 
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