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11 悪役令嬢
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私はゆっくりと席を立った。もうこれ以上、アリスと話しても無駄だろう。
この部屋の様子は、別室から見聞き出来ている。彼女の狂気は伝わっているだろうし、私の役割は終わりだ。
アリスは、この世界を自分に都合よく考えすぎていたのだ。ゲームはゲーム、現実は現実。いくらゲームと同じことが多々起こっていたとしても、あくまでもこの世界に暮らす人々の意思が働いていることを忘れてはいけない。モブだって心を持って生きている。攻略キャラクターだって、ゲームに出ていない一面もある。悪役令嬢だって幸せになりたい。
彼女はこれから現実を見るだろう。
「あんたの事言ってやるんだから!!!」
私は黙ってアリスを見つめる。
「前世の記憶があって、本当は悪役令嬢だって言ってやる!」
「どうぞ」
そうして、精一杯彼女の望むような顔をした。
「そんなこと、信じてくれる人が貴女のこれからの人生に現れるといいですね」
「ひっ!」
彼女の反応からすると、きっちり悪役令嬢の邪悪な笑顔が出来たようだ。さっきの彼女の狂気に満ちた笑顔よりは怖くないと思うが。
そうして彼女を残し、ゆっくりと扉を閉めた。
アリスとの面会から戻ると、攻略キャラクター達がわらわらと寄ってきた。
「だ、大丈夫だったかい?」
エドワードはそれはそれは不安そうな表情をしていた。今回彼が一番怖い思いをしているのだから当たり前かもしれない。
「全然なんともありませんわ」
「メル……1人で行かせて悪かったな」
今度はジルだ。彼女は私を指名する前は攻略キャラクター達に合わせろと騒いでいたのだ。それだけは絶対にさせるつもりもなかったが、彼らも嫌がったそうだ。
「会わなくて正解だよ。相変わらず支離滅裂だったから」
それを聞いて、全員がため息をついた。
「そんなに我々は思わせぶりだっただろうか……」
「いいえ! 誠意を持って丁寧に対応していただけですわ!」
リーシャが息巻く。実際彼らの対応は当たり障りのないものだった。平民だからと見下すことはなく、あくまでも対等の関係である同級生の女の子として扱っていた。ただ……
「皆様、もう少し押しに強くなってくださいませ」
「そうするよ……」
はあ。と再度全員でため息をついた。
アリスは結局、あのまま自分は世界のヒロインだという主張を変えなかったため、塔へ幽閉されることになった。一国の王子に害を与えたのだから死刑もあるかと思ったのだが、彼らの最後の恩情でそれだけはなくなった。
だがきっと彼女は二度とその塔から出てくることはないだろう。
私はというと、ジルといい感じになったことだし、このままこの関係をまとめてやると気合いを入れていたのだが……。
「メル! 君の髪に似合う飾りを用意させたんだ。よかったら貰ってくれないか?」
まさかのエドワードからの猛アタックが始まってしまったのだ。私のタックルに惚れてくれたらしい。
(タックルか~我ながら色気がないわ……)
「メル~! 今度2人で遠乗りに行こうぜ!」
ジルも負けじと張り合ってくれるのは嬉しいが、なんせ心の準備が足りない。
「悪役令嬢らしく、2人を手玉に取ってみたらどう?」
「やめてよ! 私じゃ役不足だわ」
リーシャが茶化してくる。
バタバタとしているが、今人生で初めて自由を感じている。私もなんだかんだ意識をゲームに縛られていたんだと気が付いた。
「ジル! 遠乗りはもちろんあの湖よね?」
これからは本当に自由だ。
この部屋の様子は、別室から見聞き出来ている。彼女の狂気は伝わっているだろうし、私の役割は終わりだ。
アリスは、この世界を自分に都合よく考えすぎていたのだ。ゲームはゲーム、現実は現実。いくらゲームと同じことが多々起こっていたとしても、あくまでもこの世界に暮らす人々の意思が働いていることを忘れてはいけない。モブだって心を持って生きている。攻略キャラクターだって、ゲームに出ていない一面もある。悪役令嬢だって幸せになりたい。
彼女はこれから現実を見るだろう。
「あんたの事言ってやるんだから!!!」
私は黙ってアリスを見つめる。
「前世の記憶があって、本当は悪役令嬢だって言ってやる!」
「どうぞ」
そうして、精一杯彼女の望むような顔をした。
「そんなこと、信じてくれる人が貴女のこれからの人生に現れるといいですね」
「ひっ!」
彼女の反応からすると、きっちり悪役令嬢の邪悪な笑顔が出来たようだ。さっきの彼女の狂気に満ちた笑顔よりは怖くないと思うが。
そうして彼女を残し、ゆっくりと扉を閉めた。
アリスとの面会から戻ると、攻略キャラクター達がわらわらと寄ってきた。
「だ、大丈夫だったかい?」
エドワードはそれはそれは不安そうな表情をしていた。今回彼が一番怖い思いをしているのだから当たり前かもしれない。
「全然なんともありませんわ」
「メル……1人で行かせて悪かったな」
今度はジルだ。彼女は私を指名する前は攻略キャラクター達に合わせろと騒いでいたのだ。それだけは絶対にさせるつもりもなかったが、彼らも嫌がったそうだ。
「会わなくて正解だよ。相変わらず支離滅裂だったから」
それを聞いて、全員がため息をついた。
「そんなに我々は思わせぶりだっただろうか……」
「いいえ! 誠意を持って丁寧に対応していただけですわ!」
リーシャが息巻く。実際彼らの対応は当たり障りのないものだった。平民だからと見下すことはなく、あくまでも対等の関係である同級生の女の子として扱っていた。ただ……
「皆様、もう少し押しに強くなってくださいませ」
「そうするよ……」
はあ。と再度全員でため息をついた。
アリスは結局、あのまま自分は世界のヒロインだという主張を変えなかったため、塔へ幽閉されることになった。一国の王子に害を与えたのだから死刑もあるかと思ったのだが、彼らの最後の恩情でそれだけはなくなった。
だがきっと彼女は二度とその塔から出てくることはないだろう。
私はというと、ジルといい感じになったことだし、このままこの関係をまとめてやると気合いを入れていたのだが……。
「メル! 君の髪に似合う飾りを用意させたんだ。よかったら貰ってくれないか?」
まさかのエドワードからの猛アタックが始まってしまったのだ。私のタックルに惚れてくれたらしい。
(タックルか~我ながら色気がないわ……)
「メル~! 今度2人で遠乗りに行こうぜ!」
ジルも負けじと張り合ってくれるのは嬉しいが、なんせ心の準備が足りない。
「悪役令嬢らしく、2人を手玉に取ってみたらどう?」
「やめてよ! 私じゃ役不足だわ」
リーシャが茶化してくる。
バタバタとしているが、今人生で初めて自由を感じている。私もなんだかんだ意識をゲームに縛られていたんだと気が付いた。
「ジル! 遠乗りはもちろんあの湖よね?」
これからは本当に自由だ。
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