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「レミリア・ディーヴァ! 君との婚約は破棄させてもらう! 君の醜悪さには耐えられない!」
(なんとまあ予定通りに……)
レミリアはため息をつきたい所だったが、この台詞の続きがあることを知っているので大人しく待つことにした。
「この国の未来の聖女への数々の所業、とても許されるものではない! よって国外追放とする!」
マリロイド王国の王太子アルベルトは、声高に宣言した。そしてそばに居る淡いピンク色の髪の毛を持つ少女の肩を引き寄せる。
「だ、だめだよアル……」
そう言って小声で呟く少女の口は、勝利を確信して口角が異常に上がっていた。なんとも意地の悪いその表情を見たレミリアを含めた学園の生徒達は声を顰めながら、
「どちらが醜悪なんだか」
「この国の先が思いやられる」
などと話してはいたが、自身の発言に高揚しているアルベルトには聞こえない。
「俺と君は真実の愛で結ばれているんだ! 誰に遠慮する事はない!」
そう言って、ユリアの頬を優しく撫でた。彼女はポッと顔を赤らめる。とても自身を見せるのが上手い。
「なんとか言ったらどうだ!」
「なんて顔だ! 反省するフリもできないのか!」
「我が家の面汚しめ!」
「ユリアに謝罪しろ!!!」
口々にレミリアを罵るのはアルベルトの取り巻き達である。王太子の従者に宰相の息子、レミリアの実弟それから騎士団長の息子……この国の未来のトップ達だ。
少し前までは王太子とユリアを取り合っていたが、ユリアに選ばれなかった今となっては彼らの応援団である。
「はぁ~~~」
ここでやっと、レミリアは大きく息を吐くことができた。
今、レミリアの予定通りにコトが進んでいる。だがしかし、これでもコウならないよう、かなり頑張ってきたのだ。自分の過去の努力を思うと、どうしてもため息が出てしまう。
レミリアはこの世界の事を生まれる前から知っていた。ここは彼女の前世の世界で流行っていた乙女ゲーム『ラブマリ』の世界だ。レミリアはこの世界の悪役令嬢として転生した。おそらくヒロインであるユリアもそうだろう。あまりにも手際良くこの国の王太子達を落としたのだから。
自身が悪役令嬢として生まれ変わったと気がついたのは10歳の時だった。この国の王太子アルベルトとの婚約が決まったその日、彼女は前世の記憶を取り戻した。
「ヤバいじゃん……」
そしてどんどん自分が前世の人格と混ざり合っていくのを感じた。
ゲーム内でのレミリアには、地下牢行き、修道院送り、鞭打ちに国外追放まで、悪役令嬢にも様々なルートが用意されていた。
(処刑がないだけマシだと思うべき?)
しかし周りを魔物の森に囲まれているこの国にとって、国外追放は死刑と同義語であった。
ヒロインが誰とくっつくかによってレミリアの運命は変わったが、どのルートでも婚約破棄は決まっている。
とりあえず保険として、アルベルトの婚約者として精一杯努力を重ねた。厳しい妃教育も、婚約者としての公務も、アルベルトのために書類仕事まで引き受けた。献身的に彼を裏から支えたのだ。お陰で彼の評判も上がり、次期王としての立場を確立していった。
(ここまで恩を売っておけば、いざという時少しは助けてくれるでしょ!)
なんと言っても彼は攻略キャラクターの中で1番権力がある。何かあっても多少の融通は効くだろう。
それに加えて魔術を猛勉強した。これはどのルートになったとしても必須だった。地下牢や修道院から脱出する為の魔術、鞭の痛みを消す魔術に回復術……それから追放先の魔物の森でも生きていけるようにありとあらゆる魔術を。
15歳で名門の魔術学園に入学し、いよいよヒロインが登場してからは、より一層注意して生活した。関わらなければ虐めたと言われる事はないだろうと、彼女から逃げ回った。
「私が平民だから無視するのですね!?」
「この学園内では生徒は平等だ! そんなこともわからないのか!?」
この辺は相手の方が上手だった。いくらでも平民という身分を盾に難癖をつけてきたのだ。そしていつも攻略キャラクターの側におり、レミリアはいつも注意や苦言を呈される立場になった。
(うっぜ~~~!)
関わらなければ無視されたと騒ぎ、親切に接すれば馬鹿にされたと泣く。そしてその度にアルベルトや他の攻略キャラから叱責されるのだった。
(どないせぇっちゅーんじゃ!)
ストレスだらけの3年間だった。
(こりゃダメだな)
学園が始まって1年が経った頃にはもう、レミリアは自身の断罪ルートを覚悟した。アルベルトも他の攻略キャラもヒロインに夢中なのは明らかだったからだ。
だから備えることにした、来るべきその日の……その後の自分の人生の為に。
アルベルトとの未来はすっかり諦めていたが、彼女は在学中も婚約者として立派に立ち回った。せめて攻略キャラ以外からの評価だけは確保しておこうと思ったのだ。これに関してはうまくいった。どうやらヒロインが関らない部分なら、世界に対して十分にゲームと違う変化を与えることができるようだった。
彼女の成績や魔術に関してもそうだった。そして歴代でもトップクラスの成績を残し、あとは卒業式のみとなったその前夜祭で、予定通り断罪イベントが発生した。
(なんとまあ予定通りに……)
レミリアはため息をつきたい所だったが、この台詞の続きがあることを知っているので大人しく待つことにした。
「この国の未来の聖女への数々の所業、とても許されるものではない! よって国外追放とする!」
マリロイド王国の王太子アルベルトは、声高に宣言した。そしてそばに居る淡いピンク色の髪の毛を持つ少女の肩を引き寄せる。
「だ、だめだよアル……」
そう言って小声で呟く少女の口は、勝利を確信して口角が異常に上がっていた。なんとも意地の悪いその表情を見たレミリアを含めた学園の生徒達は声を顰めながら、
「どちらが醜悪なんだか」
「この国の先が思いやられる」
などと話してはいたが、自身の発言に高揚しているアルベルトには聞こえない。
「俺と君は真実の愛で結ばれているんだ! 誰に遠慮する事はない!」
そう言って、ユリアの頬を優しく撫でた。彼女はポッと顔を赤らめる。とても自身を見せるのが上手い。
「なんとか言ったらどうだ!」
「なんて顔だ! 反省するフリもできないのか!」
「我が家の面汚しめ!」
「ユリアに謝罪しろ!!!」
口々にレミリアを罵るのはアルベルトの取り巻き達である。王太子の従者に宰相の息子、レミリアの実弟それから騎士団長の息子……この国の未来のトップ達だ。
少し前までは王太子とユリアを取り合っていたが、ユリアに選ばれなかった今となっては彼らの応援団である。
「はぁ~~~」
ここでやっと、レミリアは大きく息を吐くことができた。
今、レミリアの予定通りにコトが進んでいる。だがしかし、これでもコウならないよう、かなり頑張ってきたのだ。自分の過去の努力を思うと、どうしてもため息が出てしまう。
レミリアはこの世界の事を生まれる前から知っていた。ここは彼女の前世の世界で流行っていた乙女ゲーム『ラブマリ』の世界だ。レミリアはこの世界の悪役令嬢として転生した。おそらくヒロインであるユリアもそうだろう。あまりにも手際良くこの国の王太子達を落としたのだから。
自身が悪役令嬢として生まれ変わったと気がついたのは10歳の時だった。この国の王太子アルベルトとの婚約が決まったその日、彼女は前世の記憶を取り戻した。
「ヤバいじゃん……」
そしてどんどん自分が前世の人格と混ざり合っていくのを感じた。
ゲーム内でのレミリアには、地下牢行き、修道院送り、鞭打ちに国外追放まで、悪役令嬢にも様々なルートが用意されていた。
(処刑がないだけマシだと思うべき?)
しかし周りを魔物の森に囲まれているこの国にとって、国外追放は死刑と同義語であった。
ヒロインが誰とくっつくかによってレミリアの運命は変わったが、どのルートでも婚約破棄は決まっている。
とりあえず保険として、アルベルトの婚約者として精一杯努力を重ねた。厳しい妃教育も、婚約者としての公務も、アルベルトのために書類仕事まで引き受けた。献身的に彼を裏から支えたのだ。お陰で彼の評判も上がり、次期王としての立場を確立していった。
(ここまで恩を売っておけば、いざという時少しは助けてくれるでしょ!)
なんと言っても彼は攻略キャラクターの中で1番権力がある。何かあっても多少の融通は効くだろう。
それに加えて魔術を猛勉強した。これはどのルートになったとしても必須だった。地下牢や修道院から脱出する為の魔術、鞭の痛みを消す魔術に回復術……それから追放先の魔物の森でも生きていけるようにありとあらゆる魔術を。
15歳で名門の魔術学園に入学し、いよいよヒロインが登場してからは、より一層注意して生活した。関わらなければ虐めたと言われる事はないだろうと、彼女から逃げ回った。
「私が平民だから無視するのですね!?」
「この学園内では生徒は平等だ! そんなこともわからないのか!?」
この辺は相手の方が上手だった。いくらでも平民という身分を盾に難癖をつけてきたのだ。そしていつも攻略キャラクターの側におり、レミリアはいつも注意や苦言を呈される立場になった。
(うっぜ~~~!)
関わらなければ無視されたと騒ぎ、親切に接すれば馬鹿にされたと泣く。そしてその度にアルベルトや他の攻略キャラから叱責されるのだった。
(どないせぇっちゅーんじゃ!)
ストレスだらけの3年間だった。
(こりゃダメだな)
学園が始まって1年が経った頃にはもう、レミリアは自身の断罪ルートを覚悟した。アルベルトも他の攻略キャラもヒロインに夢中なのは明らかだったからだ。
だから備えることにした、来るべきその日の……その後の自分の人生の為に。
アルベルトとの未来はすっかり諦めていたが、彼女は在学中も婚約者として立派に立ち回った。せめて攻略キャラ以外からの評価だけは確保しておこうと思ったのだ。これに関してはうまくいった。どうやらヒロインが関らない部分なら、世界に対して十分にゲームと違う変化を与えることができるようだった。
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