「alive」

第三章【正体】

第8話【予定】

3分経過。

玖炉「ではハーリィさん、蓋を開けてみてください」

おそるおそる蓋を開くと、ふわりと漂う白い湯気。
少し目を細めて中を覗くと

ハーリィ「これが…かっぷらあめんなのですね…！」

驚きに目を丸くする。

玖炉「では、どうぞ」

ハーリィは箸を取ると麺を掬い上げた。
始めてみる麺を不思議そうに眺めると、そっと口に運んだ。

玖炉『どうだハーリィ……この世のソウルフードは……！』

ハーリィの頬が小さく動き、それはまるで小動物を回想させた。そして飲み込むと

ハーリィ「とても美味です、頂点というのも頷けます」

玖炉はよし！と手でガッツポーズを取った。

ハーリィ「お湯を注ぐだけでこの美味しさ…素晴らしいです」

玖炉「ははっそんな大袈裟な」

ハーリィは意外と食いしん坊だということが最近わかってきた。夜起こされ何を言われるかと思うと、お腹が空いた。と云われることが多々ある。
ハーリィはスープまで飲むと、ふぅ、と一息。

ハーリィ「ご馳走様でした。」

玖炉「いや早いな。」

ハーリィ「え」

食べ初めてから2分経ったか？
尋常ではないスピードだった。
彼女はどうやら自身の食べる速さを自覚してないらしく、首を傾げていた。








それにしてもすることがない。
学校から出された課題も全て、終わらせた。

玖炉「することないなぁ…」

辺りを見回すと1つの物に目がいった。

玖炉「久しぶりに弾いてみるかな」

そう、ピアノだった。
ハーリィはピアノの元に近寄る玖炉を見ると、すぐさま駆け寄ってきた。

ハーリィ「弾くのですか？玖炉？」

玖炉「暇だしね、ちょっと調律しなきゃな……」

ハーリィはソファーに座り、調律をする玖炉を待っている。

玖炉「こんなもんかな、よし」

玖炉は椅子に腰掛け、鍵盤に指を当てる。

玖炉「どんな曲がいい？明るいとか、暗いとか、」

振り向き、問いかける。

ハーリィ「玖炉が……得意とする曲でお願いします」