ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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 パストリスの家に戻る四人――

 ラディッシュは家に入るなりパストリスの促しで、ラミウムを一先ず窓際のベッドに寝かせた。
 すると動けぬラミウムが自身を皮肉る様に、
「みっともない所を見せちまってぇ、済まないねぇ」
 自嘲気味の笑みを見せたが、ドロプウォートは「恥じる事はない」と言わんばかり、
「それだけの事を成したのでわぁ」
 靴を脱がそうとした途端、

『靴は良いんだよ!』

 弱っていながらも、いきなり声を荒げ、
「はぁ? 何を言ってますのラミィ???」
 キョトン顔のドロプウォート。
「体が休まりませんし、第一、彼女のベッドが汚れてしまいますわ」
 靴に再び手を伸ばしたが、

「構わないから放っといておくれぇ!」

 自ら起き上がる事さえ出来ない身でありながらの手前勝手。
 幼子の様な駄々こねに、ラディッシュとドロプウォートは悪い顔してニヤリ。

((そこまでイヤがられると逆にぃ♪))

 日頃の仕返しとばかり、
「ラディ! 暴れない様に肩を押さえていて下さいですわぁ♪」
「任されたぁ♪」
 ラディッシュは両肩を押え付け、
「ごめん、らみぃ~。でもぉ、ゆっくり休んで欲しいからぁ~」
 ニヤケ顔はそれだけでない事を物語り、

「ちょ、ラディ! お離しぃ!」

 無駄な抵抗を試みるラミウムの足下には、不敵な笑みを浮かべて近づくドロプウォートの姿が。
「ど、ドロプぅ! アンタも悪ふざけが過ぎるよぉ!」
 あがくラミウム。
 見ようによっては卑猥にも見える光景を直視出来ないパストリスは、

「はぁわわわわわわぁ…………」

 真っ赤な照れ顔を両手で覆い隠してはいたが、興奮気味にカッと見開いた両眼で鼻息荒く、指の隙間からガン見。

「こっ、この「むっつりパスト」ォ!」

 そうこうしている間にも、指一本一本が「みだらに蠢くドロプウォートの触手」はラミウムの靴へと伸びて行き、
「観念なさいですわぁ~♪」
「こっ、コラァ、お止めぇ! アンタ達ぃ覚えておいでぇ! 後でヒドイからねぇ!」
 恨めしそうにもがき続けたが、

「寝床でぇ靴を履いたままの、お行儀の悪いラミィがイケナイのですわぁ~♪」

 容赦なくスポンと脱がし、

『『『!!!』』』

 三人は驚愕した表情で固まり、続ける言葉を失った。
「チッ……バレちまったかい……」
 バツが悪そうに顔を背けるラミウムと、
「な、何なのですの……コレは……」
 冗談半分で脱がした靴を、思わず床に落とすドロプウォート。

 ラミウムの両足が足首から足の裏にかけて、打撲でもありえない程の黒ずみで、痛々しく変色していたのであった。
 ラディッシュは気付けなかった自身への怒りをぶつける様に、

「何で黙ってたんだよぉ、ラミィ!」
「ですわァ! 素人目から見ても、この様な状態で「平気でいられる訳」がありませんですわァ!」
「…………」

 必死の形相で詰め寄る二人から、顔を背けたままのラミウムが応えずにいると、
「やっぱりでぇすか……」
 パストリスの呟きに、

「パストォ!」

 ラミウムはバッと振り返り威圧を以って二の句を黙らせようとしたが、パストリスは怒鳴り声に身を縮めながらも、

「ぼっ、ボクは黙りませぇん! 例え「あの同人」みたいに剥かれてもぉ!」
「!」

 目元に薄っすら涙を浮かべ、

「これは「汚染の侵蝕」なんでぇす! 地世のチカラが浄化されていない、中世の領域に長く居過ぎた為のぉ!」
「「汚染の侵蝕ッ!?」」

 慄くラディッシュとドロプウォート。
 今から思えば、思い当たる節はいくつもあった。

「チッ」

 不機嫌に再び顔を背けるラミウムに、
「だからあんなに……」
「地面で寝るのをイヤがっていたのですわねぇ……」
 彼女の言っていた事が「単なるワガママ」から発せられた言葉だけではなかった事実を思い知らされる二人。
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