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第二章
2-14
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朝食後の片付けも終わり――
テーブルを囲み一息つく、ラディッシュ、ドロプウォート、パストリス、ターナップ、ニプルの五人。
お茶をすする「まったりモード」の中、
『さぁてぇ』
ターナップが、のそりと立ち上がり、
「俺ぁ、そろそろ行きあすぁ」
「お勤め、ですの?」
「そんな所でさぁあ、ドロプの姉さん。信者が待ってるんで」
笑みを残してダイニングから出て行こうとすると、
「なぁター坊ぅ、この村に本屋は無いのかぁ?」
まるで昔馴染みなニプルの物言いに、
「オイ、ちょっと待てぇ」
苦笑のターナップ。
「俺ぁ、オマエより年上なんだがぁ」
呆れ笑いで苦言を呈したが、
「細かいことを気にすんなよぉター坊ぉ、底が知れるよぉ」
「オメェは気にしろ」
困惑笑いですかさずツッコミもしたが、彼女はどこ吹く風で、
「家から本を持って来忘れちまってさぁ~」
「俺の話を聞いちゃいねぇ」
言うだけ無駄の虚脱を感じる中、
『『『読書ぉお?!』』』
驚愕したのはラディッシュ、ドロプウォート、パストリスの三人。
彼女の風貌、言動からは、決して結びつかない趣味なダケに。
自ら話を切り出しておいての、三人の意外そうな反応に、
「う、ウチが読書好きで、な、何が悪いのさぁ!」
ニプルが照れ臭そうに憤慨すると、ドロプウォートが戸惑いを露わに、
「あっ、「暗殺術の指南書」ぉとかぁ、でぇすのぉ?」
パストリスも動揺を隠せず、
「たっ、食べ物のぉが、「画集」ぅとかぁでぇすぅ?」
ラディッシュも何か言おうとしたが、怒られそうだったので口にしかけた言葉を呑むと、
「オマエ達が、ウチを「どう言う目で見てたか」よぉ~く分かったさ」
訝し気なジト目を返すニプル。
しかしすぐさま、困惑顔したドロプウォート達を小馬鹿にした笑みで見下ろし、
「まぁ「お子ちゃま」なオマエ達には、良さが分からない部類の本だろぅけどねぇ~」
「「「「?」」」」
疑問形の四人を前に、ニプルはドヤ顔で、
「「大人の恋愛小説」ってヤツさぁ」
真っ先に反応したのは「むっつりパストリス」。
『おっ、大人な恋愛小説ぅう!』
鼻息荒く、脳内に「良からぬ妄想(十八禁)」を描きながら、
「すっ、スゴイでぇす!!!」
何が「スゴイ」なのかは分からなかったが、凄いと言われたニプルも、
「だろぅ?」
自慢げな笑みを見せた。
しかし、
(本当は「乙女な恋愛小説(※白馬に乗った王子様的な内容)」なんだけど……)
後ろめたさも感じていた。
その場の勢いで嘘をついてしまった以上に「好きなジャンルを(若干)偽った」のが、愛読書たちに対する「裏切り行為」に思えて。
するとここで、
『ワタクシを差し置いて「愛読書が恋愛小説」などと聞き捨てなりませんわ!』
強い意志を持った眼差しで一歩前にドンと歩み出たのは、ドロプウォート。
その言動から、
『!』
とある事実に気付くニプルウォート。
向けられたライバル的眼差しに、
「へぇ~ウチと同類だったとは意外だねぇ~」
より強い「意志を持った眼差し」で以て跳ね返すと、返されたドロプウォートも負けじと、
「貴方の「荒い言動」を見ていれば、大した作家先生を贔屓にしていると思えませんでぇすわ♪」
「ほぉ~言ってくれるじゃない……ウチがァ崇敬する先生をつかまえてぇ!」
互いに引き下がる訳にはいかない。
引き下がる事、それすなわち「自身の推し作家の負けを認める」と同意であったから。
「「!」」
毅然と対峙する二人。推し作家の名前を胸に。
得も言われぬ緊張感が漂う中、
(だ、大丈夫なのでぇすぅ?!)
(と、取っ組み合いになったりしないよねぇ?!)
ハラハラしながら見守るラディッシュとパストリス。
すると女子二人は、
((ッ!))
何かを以心伝心、声を揃えて、
『『マツムシソウ先生ぇ!』』
「「・・・・・・へ?」」
キョトン顔のラディッシュとパストリス。
何が起きたのか理解出ない。
そんな二人を尻目に、
『『…………』』
無言で睨み合ったドロプウォートとニプルウォートは、
ガシリッ!
熱く、そして固い握手を交わした。
それは二人の関係が「同類」から、「同志」に変わった瞬間であった。
恋愛脳女子二人の茶番劇を見せつけられ、
「なぁ、俺ぁもぅ行って良いスかぁ~?」
呆れ交じりのターナップ。
「ソレっぽい店の場所は紙に書いといたスから、俺はもぅ行くっスよぉ」
テーブルの上にメモ紙を一枚残すと辟易顔で部屋から出て行き、置かれたメモ紙をおもむろに取り上げたニプルは、
「神(作家)の創りたもぅ経典(小説)と出会い(買い)に、行くか「同志ドロプ」よ!」
両目を星の様に輝かせ、
「信者(ファン)として無論ですわ「同志ニプル」よ!」
正気を疑うような物言いで、女子二人は部屋から出て行った。
日頃の彼女たちからは、想像も出来ない変わり様に、
「「…………」」
しばし呆気にとられる二人であったが、
「ぼ、ボク、心配だから付き添ってくるでぇすぅ」
苦笑するパストリスに、
「う、うん、お願い。僕は、まだ家事が残ってるから」
困惑笑いを返すラディッシュであった。
テーブルを囲み一息つく、ラディッシュ、ドロプウォート、パストリス、ターナップ、ニプルの五人。
お茶をすする「まったりモード」の中、
『さぁてぇ』
ターナップが、のそりと立ち上がり、
「俺ぁ、そろそろ行きあすぁ」
「お勤め、ですの?」
「そんな所でさぁあ、ドロプの姉さん。信者が待ってるんで」
笑みを残してダイニングから出て行こうとすると、
「なぁター坊ぅ、この村に本屋は無いのかぁ?」
まるで昔馴染みなニプルの物言いに、
「オイ、ちょっと待てぇ」
苦笑のターナップ。
「俺ぁ、オマエより年上なんだがぁ」
呆れ笑いで苦言を呈したが、
「細かいことを気にすんなよぉター坊ぉ、底が知れるよぉ」
「オメェは気にしろ」
困惑笑いですかさずツッコミもしたが、彼女はどこ吹く風で、
「家から本を持って来忘れちまってさぁ~」
「俺の話を聞いちゃいねぇ」
言うだけ無駄の虚脱を感じる中、
『『『読書ぉお?!』』』
驚愕したのはラディッシュ、ドロプウォート、パストリスの三人。
彼女の風貌、言動からは、決して結びつかない趣味なダケに。
自ら話を切り出しておいての、三人の意外そうな反応に、
「う、ウチが読書好きで、な、何が悪いのさぁ!」
ニプルが照れ臭そうに憤慨すると、ドロプウォートが戸惑いを露わに、
「あっ、「暗殺術の指南書」ぉとかぁ、でぇすのぉ?」
パストリスも動揺を隠せず、
「たっ、食べ物のぉが、「画集」ぅとかぁでぇすぅ?」
ラディッシュも何か言おうとしたが、怒られそうだったので口にしかけた言葉を呑むと、
「オマエ達が、ウチを「どう言う目で見てたか」よぉ~く分かったさ」
訝し気なジト目を返すニプル。
しかしすぐさま、困惑顔したドロプウォート達を小馬鹿にした笑みで見下ろし、
「まぁ「お子ちゃま」なオマエ達には、良さが分からない部類の本だろぅけどねぇ~」
「「「「?」」」」
疑問形の四人を前に、ニプルはドヤ顔で、
「「大人の恋愛小説」ってヤツさぁ」
真っ先に反応したのは「むっつりパストリス」。
『おっ、大人な恋愛小説ぅう!』
鼻息荒く、脳内に「良からぬ妄想(十八禁)」を描きながら、
「すっ、スゴイでぇす!!!」
何が「スゴイ」なのかは分からなかったが、凄いと言われたニプルも、
「だろぅ?」
自慢げな笑みを見せた。
しかし、
(本当は「乙女な恋愛小説(※白馬に乗った王子様的な内容)」なんだけど……)
後ろめたさも感じていた。
その場の勢いで嘘をついてしまった以上に「好きなジャンルを(若干)偽った」のが、愛読書たちに対する「裏切り行為」に思えて。
するとここで、
『ワタクシを差し置いて「愛読書が恋愛小説」などと聞き捨てなりませんわ!』
強い意志を持った眼差しで一歩前にドンと歩み出たのは、ドロプウォート。
その言動から、
『!』
とある事実に気付くニプルウォート。
向けられたライバル的眼差しに、
「へぇ~ウチと同類だったとは意外だねぇ~」
より強い「意志を持った眼差し」で以て跳ね返すと、返されたドロプウォートも負けじと、
「貴方の「荒い言動」を見ていれば、大した作家先生を贔屓にしていると思えませんでぇすわ♪」
「ほぉ~言ってくれるじゃない……ウチがァ崇敬する先生をつかまえてぇ!」
互いに引き下がる訳にはいかない。
引き下がる事、それすなわち「自身の推し作家の負けを認める」と同意であったから。
「「!」」
毅然と対峙する二人。推し作家の名前を胸に。
得も言われぬ緊張感が漂う中、
(だ、大丈夫なのでぇすぅ?!)
(と、取っ組み合いになったりしないよねぇ?!)
ハラハラしながら見守るラディッシュとパストリス。
すると女子二人は、
((ッ!))
何かを以心伝心、声を揃えて、
『『マツムシソウ先生ぇ!』』
「「・・・・・・へ?」」
キョトン顔のラディッシュとパストリス。
何が起きたのか理解出ない。
そんな二人を尻目に、
『『…………』』
無言で睨み合ったドロプウォートとニプルウォートは、
ガシリッ!
熱く、そして固い握手を交わした。
それは二人の関係が「同類」から、「同志」に変わった瞬間であった。
恋愛脳女子二人の茶番劇を見せつけられ、
「なぁ、俺ぁもぅ行って良いスかぁ~?」
呆れ交じりのターナップ。
「ソレっぽい店の場所は紙に書いといたスから、俺はもぅ行くっスよぉ」
テーブルの上にメモ紙を一枚残すと辟易顔で部屋から出て行き、置かれたメモ紙をおもむろに取り上げたニプルは、
「神(作家)の創りたもぅ経典(小説)と出会い(買い)に、行くか「同志ドロプ」よ!」
両目を星の様に輝かせ、
「信者(ファン)として無論ですわ「同志ニプル」よ!」
正気を疑うような物言いで、女子二人は部屋から出て行った。
日頃の彼女たちからは、想像も出来ない変わり様に、
「「…………」」
しばし呆気にとられる二人であったが、
「ぼ、ボク、心配だから付き添ってくるでぇすぅ」
苦笑するパストリスに、
「う、うん、お願い。僕は、まだ家事が残ってるから」
困惑笑いを返すラディッシュであった。
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