ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第二章

2-22

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 真っ先に異を唱えそうな筈の二人が黙する姿に、
「へぇ~二人には、何か思い当たる節があるようだねぇ~♪」
 言葉とは裏腹に、男の中では想定内であったのかニヤリと笑ったが、共に驚きを示さなかったラディッシュとパストリスには意外だったらしく、
 
「小さなレディ、キミはどうして驚かないんだぁ~い♪」

 ナルシス風に指差すと、
 
「なっ、何となくでぇす! ぼ、ボクの中の「ラミィさんのチカラ」が、そう言ってる気がしてぇ……」

(へぇ~流石は「ぼくぁ目を付けた逸材」の一人なだけあるねぇ)
 心の中で「闇を感じさせる笑み」を浮かべつつ、表面上はウザイ位にキラキラと、
「流石は、ぼくぁ見込んだ「合法ロリ」ぃ! 実に素晴らしい感性だねぇ♪」

「合法ロリじゃないでぇすぅ!」

 憤慨するパストリス。
女子会(同人誌読書会)で学んだ知識を遺憾なく発揮したが、

「それでぇ、ラディ」

 男は華麗にスルーし、
「キミは何故に驚かなかったんだぁ~い?」
「……僕の中のラミウムのチカラも「本当だ」って言ってる気がして……それに……」
「それに?」
「占い師さんの話は「信じられる」そんな気がするんだ」
「おやおや嬉しいけどぉ、それはどうしてぇだぁい?」
「占い師さんと話してると……どうしてか、懐かしい気持ちになるんだ。これって、ラミウムの記憶の欠片、なのかなぁ?」

「!」

 男が初めて見せる驚き顔。
 その表情は、次第に穏やかなモノへと変わり、
「そう……それで、彼女の記憶は……ぼくぉ事を何か言って……」
 するとラディッシュは「彼女の想い」を探るかのように、両手を静かに胸に当て、目をつぶり、
 
「…………」
「「「「「…………」」」」」

 皆が答えを見守り待つ中で、ゆっくりと、
 
『ウザイって』

「ちょ! それぇ酷くなぁい!」

 半泣きで憤慨する占い師。
 
「(ラミィと)付き合い長かったのにヒドくなぁい! それぇキミの感想じゃないよねぇ!」

(((((ウザイ自覚はあるんだ)))))

 ラディッシュ達が苦笑すると、男は両頬を不機嫌にぷっくり膨らませ、
 
「全く以て心外だよぉ!」

 立腹しつつ、
「話は逸れたけど、だからキミにはフルールで天法を、アルブルで聖なる武器を、そしてカルニヴァで聖なる防具を手にしてもらうよ。話はそれからさぁ!」
 一方的に話を打ち切ろうとした。
 しかし、
 
『ちょっと待てや占い師ぃ!』

 声を上げたのはターナップ。
「ラミウム絡み」とあっては、彼も黙ってはおれず、

「さっきから黙って聞いてりゃ、言うだ、言わないだ、命令だ、オメェは何様でぇ何の権限があっての上から目線で、」
『あるさぁ♪』

 男は憤慨から一転、怒れる彼に見せつける様に、ウザイくらいの笑顔で前髪をたなびかせ、
 
『ぼかぁ「天世人」だからねぇ!』

「ばっ!」

 衝撃のあまり、二の句を失うターナップ。
 ラディッシュ達も驚きはしたが「只者ではない気配」は薄々感じていた為、彼ほどの驚きを持たなかった。特にニプルは「男の正体」について、更なる事実を言っていたから。
 
 そんな中、
「マジ……なのかぁ?」
 半信半疑のターナップ。
 疑いを拭えずにはいたが、ラディッシュ達の反応に加え、ニプルが先に見せた「二の句を飲み込んだ異質な言動」も、天世人を崇める「司祭」である彼の立場を考えてくれ、諫めようかと思い惑った行動であったと考えれば得心も行き、
「そうっスか……」
 腑に落ちると同時、とある思いに至った。
 
「兄貴たちは……(村から)出て行っちまうんスね……」
 寂しげな笑み。
 
「司祭」である彼には、気遣った物言いをする村人は居ても、好き勝手言い合える「同年代の仲間」の様な存在はおらず、ラディッシュ達が村を去ると言う事は、孤独を感じる日常に戻るのを意味したから。
 それほど彼にとって「この数ヵ月と言う期間」は、楽しくあり、華やかであり、煌びやかで、愛おしい時間であった。
 
「「「「「…………」」」」」

 誰もがそれぞれの道に、確かな別れの時間の近づきに寂しさを滲ませる中、
 
『はぁ? 何言ってるの? ここに居る全員、一緒に来てもらうよぉ』

 突拍子もなく上がる、天世人と明かした「占い師の男」の声と、
 
『『『『『はぁ?』』』』』

 大きく首を傾げる、ラディッシュ達。
 それが可能であったらと思いつつ。
 
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