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第三章
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跪いたままのスパイダマグは、ハクサンの中に「底の見えない闇」を見た気がし、
(いったい、この方は……いったい何を考えていらっしゃるのだ……)
息を呑んだが、元老院に至誠な彼は、
(然るに今は!)
思い新たに、
「でしたら尚の事ぉ! 其方の御人(ラディッシュ)と共に元老院へ御出でいただかねば!」
しかしハクサンはいつも通りの「普通レベルのイケメンスマイル」で、
「無用だよぉ♪」
「ですが地世の影響を!」
「その為に、ぼくぁ同行して「聖具集め」に回っているだろぅ?」
「「「「「「…………」」」」」」
黙るしかない白装束の一団。
彼の言っている事は、表の意味で全て正論であったから。
裏の意味で、元老院への忖度を欠いている物ではあるが。
反撃の一手さえなく無言で跪く彼らを前に、ハクサンは特段勝ち誇った様子もなく、
「じゃあ、ぼくぁは行くねぇ。御歴歴によろしくね」
先陣切って歩き始め、
「それじゃ、みんな行こうかぁ♪」
未だ剣を構えたままであったドロプウォートも、
「…………」
残心しつつ、中型マッチョの首元から静かに刃を引いたが、
『まだ終わってないよぉ!』
ラディッシュが声を荒げた。
日頃は争いを好まぬ彼が、怒りを以てスパイダマグを見下ろし、
「謝って!」
「「「「「「?」」」」」」
理解出来ていない様子に苛立ちを露わ、
「何を謝るべきかも分からないの!」
それでも彼らは「百人の天世人候補様に怒られている」といった認識らしく、何を謝れば良いのか戸惑いを見せ合っていると、ラディッシュの怒りは堰を切り、
『彼女は「兵器」なんかじゃなァい!』
「「「「「「!」」」」」」
気弱そうに見えた少年の「怒り処」にマッチョ集団は驚きを隠せず、「兵器と言われる自分」を受け入れてしまっていた感が少なからずあったドロプウォートが、
(ラディ……)
感動し、心を震わせ、彼の熱い言葉にパストリス達も笑顔を見せ合うと、マッチョの一人が逆ギレするが如くに、
「事実を言って何が悪いぃ!」
それは「自分たちに否がある」と知った上でなお、隊長を庇っての発言であるのは明らかであった。
しかし、その様な気遣いは押し付けでしかなく、それを受け入れてしまっては、武人として、リーダーとして、恥の上塗りにしかならないのをスパイダマグも重々承知し、
「構わぬ」
「!」
彼の二の句を制すると、跪いたままドロプウォートに向き直り、
「不穏当な発言、大変失礼した。改めて発言を撤回させていただく」
深々と頭を下げると、後ろに控える隊員たちも苦渋を以て頭を下げ、ラディッシュはその姿を黙って見ていたが、当のドロプウォートはよほど照れ臭かったのか、
「もっ、もぅ結構ですわぁ! 十分ですわぁ!」
羞恥の赤面顔で、
「いっ、行きましょうでぇすでぇすわぁ!」
促されたラディッシュも、気持ちを切り替える様に小さく息を吐き、
「うん!」
笑顔で頷き、顔を上げたスパイダマグ達に、
「僕は元老院って人達の所に行く気も無いし、「百人の天世人」になる気も無いから、新しい人を募集して」
笑顔をだけ残し、ドロプウォート達と共に去って行った。
次第に遠ざかって行く六つの背を、立ち上がり、静かに見つめるスパイダマグ。
そんな彼の下に、隊員の一人が歩み寄り、
「百人の天世人は、百人のみ。チカラの受け渡しでしかなれない事を、彼は知らないのでしょうか?」
「…………」
返らぬ返事に、
「隊長?」
不思議に思い、見上げた隊員は恐怖で顔を引きつらせた。
一枚布の隙間から見えた彼の顔は、堪えた憤怒で、血の様に赤黒く染まっていたのであった。
(いったい、この方は……いったい何を考えていらっしゃるのだ……)
息を呑んだが、元老院に至誠な彼は、
(然るに今は!)
思い新たに、
「でしたら尚の事ぉ! 其方の御人(ラディッシュ)と共に元老院へ御出でいただかねば!」
しかしハクサンはいつも通りの「普通レベルのイケメンスマイル」で、
「無用だよぉ♪」
「ですが地世の影響を!」
「その為に、ぼくぁ同行して「聖具集め」に回っているだろぅ?」
「「「「「「…………」」」」」」
黙るしかない白装束の一団。
彼の言っている事は、表の意味で全て正論であったから。
裏の意味で、元老院への忖度を欠いている物ではあるが。
反撃の一手さえなく無言で跪く彼らを前に、ハクサンは特段勝ち誇った様子もなく、
「じゃあ、ぼくぁは行くねぇ。御歴歴によろしくね」
先陣切って歩き始め、
「それじゃ、みんな行こうかぁ♪」
未だ剣を構えたままであったドロプウォートも、
「…………」
残心しつつ、中型マッチョの首元から静かに刃を引いたが、
『まだ終わってないよぉ!』
ラディッシュが声を荒げた。
日頃は争いを好まぬ彼が、怒りを以てスパイダマグを見下ろし、
「謝って!」
「「「「「「?」」」」」」
理解出来ていない様子に苛立ちを露わ、
「何を謝るべきかも分からないの!」
それでも彼らは「百人の天世人候補様に怒られている」といった認識らしく、何を謝れば良いのか戸惑いを見せ合っていると、ラディッシュの怒りは堰を切り、
『彼女は「兵器」なんかじゃなァい!』
「「「「「「!」」」」」」
気弱そうに見えた少年の「怒り処」にマッチョ集団は驚きを隠せず、「兵器と言われる自分」を受け入れてしまっていた感が少なからずあったドロプウォートが、
(ラディ……)
感動し、心を震わせ、彼の熱い言葉にパストリス達も笑顔を見せ合うと、マッチョの一人が逆ギレするが如くに、
「事実を言って何が悪いぃ!」
それは「自分たちに否がある」と知った上でなお、隊長を庇っての発言であるのは明らかであった。
しかし、その様な気遣いは押し付けでしかなく、それを受け入れてしまっては、武人として、リーダーとして、恥の上塗りにしかならないのをスパイダマグも重々承知し、
「構わぬ」
「!」
彼の二の句を制すると、跪いたままドロプウォートに向き直り、
「不穏当な発言、大変失礼した。改めて発言を撤回させていただく」
深々と頭を下げると、後ろに控える隊員たちも苦渋を以て頭を下げ、ラディッシュはその姿を黙って見ていたが、当のドロプウォートはよほど照れ臭かったのか、
「もっ、もぅ結構ですわぁ! 十分ですわぁ!」
羞恥の赤面顔で、
「いっ、行きましょうでぇすでぇすわぁ!」
促されたラディッシュも、気持ちを切り替える様に小さく息を吐き、
「うん!」
笑顔で頷き、顔を上げたスパイダマグ達に、
「僕は元老院って人達の所に行く気も無いし、「百人の天世人」になる気も無いから、新しい人を募集して」
笑顔をだけ残し、ドロプウォート達と共に去って行った。
次第に遠ざかって行く六つの背を、立ち上がり、静かに見つめるスパイダマグ。
そんな彼の下に、隊員の一人が歩み寄り、
「百人の天世人は、百人のみ。チカラの受け渡しでしかなれない事を、彼は知らないのでしょうか?」
「…………」
返らぬ返事に、
「隊長?」
不思議に思い、見上げた隊員は恐怖で顔を引きつらせた。
一枚布の隙間から見えた彼の顔は、堪えた憤怒で、血の様に赤黒く染まっていたのであった。
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