ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第三章

3-10

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 そこにはプルプレアに負けず劣らず男装女子的、麗しき容姿を持った長髪の人物が、背後に少々ガラの悪そうな取り巻き達を引き連れ立っていた。
 しかし、上から目線の、見た者に不快感を抱かせる半笑を浮かべていて、
((((((…………))))))
 初対面でありながら、小さな不信感を持つラディッシュ達。
 そんな中、

『見苦しい所を御見せし申し訳ございませんでした、ビフィーダ様』

 凛とした言動で跪くプルプレアが。
 いつの間に離席したのか、
((((((え!?))))))
 驚くラディッシュ達を横目に、場酔いして、泣きじゃくっていた人物とは思えない毅然とした振る舞いで、
「この様な場所に御見えになると思いも寄らず、大変失礼を致しました」
 小さく一礼し、
「して此度は、どう言った御用向きで斯様な場所へ?」
 顔を上げると「ビフィーダ」と呼ばれた人物は急に慌てた様子で、

「わっ、私とて酒場に来ることもありゅ!」

 少々噛み気味に、
「べっ、別に、特使として遣わされたキサマが心配で見に来た訳では断じて無ァい!」
 強い口調で言い放ったが、
((((((!))))))
 瞬時に、真実を悟るラディッシュ達。
((((((ツンデレだぁ♪))))))
 不快感を抱かせた人物の「見え透いた意外な一面」に少し溜飲を下げたが、ビフィーダは「内なる思い(※心配で見に来た)」に気付かれているなど、露ほども思っていないらしく、不遜を装った物言いのまま、
 
「い、行くぞオマエ達ぃ!」

 取り巻き達を引き連れ去って行った。

 その背を、
「…………」
 跪いたまま恭しく見送るプルプレア。
 忠義心だけではない「何かも感じさせる姿」に、
「あ、あぉ、プルプレアさん……」
 ラディッシュがおずおずと、
「今の人がもしかして……」
 顔色を窺う様に尋ねると、

(っ!)

 思い耽っていたプルプレアが「彼の一声」で現実に戻り、羞恥を交えた照れ隠しの半笑いと共に自席に戻りながら、
「カルニヴァ王の弟君の、ビフィーダ殿下だ」
 するとターナップがからかい交じりに、
「あぁ~さっき愚痴ってた「幼馴染み」かよぉ」
「なっ!?」
 ギョッとするプルプレア。
 今更のように頭を抱え、

「自分はぁまた「場酔い」してぇそんな事まで口走っていたのかぁあぁぁ~」

((((((酔うと「記憶が無くなる系の人」なんだ……))))))

 ラディッシュ達が思わず苦笑すると、プルプレアが唐突に、

『今スグ町を出よう』

 急な真顔に、
「「「「「「え?!」」」」」」
「今日はこの町で一泊してもらうつもりだったのだが」
 真剣な眼差しは「冗談ではない」のを物語り、
「「「「「「…………」」」」」」
「理由は移動しながら話す」
 驚きを隠せない六人を、急かす様子まで見せた。
 しかし、プルプレアに「急がなければならない理由」があるのと同様に、ラディッシュにも「即座に首を縦に振る訳にはいかない理由」があった。
 急ぎたい気持ちは、緊迫した表情から察しつつ、
「え、えと、」
 すぐには町から出られない理由を説明しようとしたが、

「いきなりの話で戸惑うのは無理ないが、急いだ方が良いのだ」

 すかさず二の句を遮られ、
(そ、そこまでの事情があるなら……僕がなんとかすればイイかぁ……)
 自己犠牲を伴う気遣いで、申し出を受け入れようとした。

 すると彼の表情から、戸惑いの意味を察したドロプウォ―トがスグさま、
「貴方に何か事情があるのは理解しますが、」
 前置きした上で、
「此方にも直ちに旅立てない「消耗品の補充」と言う、長旅における重要な理由があるのですわ!」
(!)
「ありがとう、ドロプさん♪」
 ラディッシュは代弁してくれた彼女に感謝しつつ、
「で、でもね、僕が上手にやり繰りすれば、次の町までくらいなら」
「ラディは何でも「自分で抱えようとし過ぎ」なのでぇすわぁ」
 毅然と苦言を呈し、

「言うべき事はキチンと伝えておかなければ、後々「相手も困る事になりまして」ですわよ!」

 釘まで刺すと、刺されたラディッシュは反省しきり、
「……ごもっともです……」
 頷き、その間に黙考していたプルプレアも「何かしらの考え」を導き出したのか、
「分かった」
 頷くと、
「ならば手分けをして、なるべく早く頼む」
 急かす念を押しに「余程の面倒ごとがある」と悟ったラディッシュ達は、スグさま組み分けをし、三々五々買い出しに散った。
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