ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第三章

3-11

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 パストリスと組になったターナップ――

 彼は目的の品の買い出しに向かう道中、
(ドロプの姉さんとニプルは、何故に俺に「お嬢と行け」と言ったんだ?)
 有無を言わせず組にされた理由が分からず、腑に落ちずにいた。

 しかし未だ無自覚なれど「パストリスと二人きりの時間」が嬉しくない筈が無く、日ごと増していた彼女への疑念も忘れ、保存食や各種薬草などを二人で買い進めながら、
(何ぁんか「こう言う日常」ってヤツも悪くねぇモンだな……)
 少し浮かれた気分になっていた。
 そこへ狙いすましたように、
 
『雰囲気のイイ、そこの「お二人」さん! 二人の記念に、何か買って行ってくんなぁ♪』

 露店の店員から声を掛けられ、
「「!」」
 思わず赤面顔を見合わせる二人。

 初々しい反応を見せ合ったが、ターナップは慌てた素振りで、
「違う違う! 俺ぁソンなんじゃなくてぇ! 何つぅかぁ代理みてぇなモンでぇ! それに彼女には「好きな男」もいてぇ!」
 焦り笑顔で言い訳を並べ立てつつ、
(俺ぁ何を言ってんだ……)
 内心は、憐れな気分に堕ちていた。
 
 一通り買い出しが終わった帰り道、
(みっともねぇ……)
 自省が止まないターナップ。
(何を、誰に、ヘラヘラと言い訳してやがんだか……)
 彼女に想いを寄せる本心に、未だ辿り着いていないが故の、自己解析不能な「原因不明の落ち込み」に悶々としていると、急に元気を失ったように見える彼にパストリスが冗談めかして、
 
「ボクなんかが「彼女」なんてぇ、ゴメンナサイなのでぇすぅ♪」

 笑って見せ、その笑顔に、
「!」
(やべぇ! 俺ぁお嬢に「要らねぇ気遣い」させちまってたぁ!)
 反省に、新たな猛省を重ねると、
 
「ちっ、違うんスよぉ、お嬢ぉ! 何つうかぁ、逆に俺の方が不釣り合いっつうかぁ!」

 その慌て振りに、彼女はニコリと笑い返し、
「タープさぁんはぁ、やっぱり「優しい人」なのぉでぇすぅ♪」
(!)
 思わず立ち止まるターナップ。
 
 前を行く小さな背に、
(違う……違うんスよ、お嬢……俺ぁ……)
 何かの想いに至りかけたが、
 
「…………」
(何が、どぅ違うってんだ?)

 今回も答えには辿り着けず、終わりのない自問自答に悶々と立ち尽くした。

 すると何処からともなく、
 
≪あの子は「悪」……悪魔の子……ゆめゆめ気を付けるんだな……≫

 悩める彼に囁きかける、陰湿を感じさせる男の声が。

「ッ!」

 瞬間的に血相を変え、
「んだとッ!」
 振り返るも、周囲にそれらしい人物は居らず、
「…………」
(今のは何だ……)
 警戒心を露わにするさ中、数メートル先まで行ってしまったパストリスが、ターナップとの距離に気付いて立ち止まり、
 
『どぅかしたでぇすかぁ、タープさぁん♪』

 愛らしい笑顔で振り返ると、ターナップは反射的に、
 
「い、いやぁ、何でもねぇっスぅう!」

 笑顔を見せて彼女の下へ走り出し、
(疲れての「空耳」かぁ? ったく、だらしねぇ)
 自身を小さく嘲笑った。
 
 しかし、
「…………」
 そんな彼を、物陰から半笑いで見つめる何者かの影が。
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