ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第三章

3-24

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 真面目な話で凝り固まっていた二人は、苦笑を見合わせ、
「お風呂に行ってるよ♪」
「女同士、裸の付き合いってヤツさ♪」
 向かった先をチラ見して、笑顔で答えた。
 するとプルプレアは、

「なるほどぉ」

 普通に頷き、普通に女性陣が入浴中である方へ歩き出し、

『『えっ!?』』

 ギョッとするラディッシュとターナップ。

「「ちょっ、ちょっと(待って・待て)ぇえぇ!!!」」

 慌てて呼び止め、
「何処へ行く気なのぉ!?」
「オメェ! 堂々と何考えてやがるゥ!?」
 血相を変えたが、プルプレアは「何故に血相を変えてまで呼び止められたのか」むしろ不思議そうな顔して、
「何って、」
 逆に問い返そうとした途端、

『ナニナニのぞきぃ!』

 寝落ち寸前であったハクサンが飛び起き、

「ぼくぉ一人で行くのは流石に怖かったんだけどぉ! みんなで行けば怖くなぁい!!!」

 女性陣が柔肌を露わにしているであろう森の奥へ、先陣切って駆け出そうとした。
 しかし、素っ裸のパストリスを想像したターナップ。

『テメェ、ざぁけんなァ!』

 怒り心頭にハクサンを羽交い締め。
 そんな彼にハクサンは、
「自分だって見たいクセにぃ♪」
 笑顔でツッコムと、そんな思いが完全に無い訳でもない彼が、見透かされた思いを否定するかの様に、

「黙れ黙れぇ! 俺は坊主だぁ!」

 赤面顔でツッコミ、
「…………」
 その間にもプルプレアは、何食わぬ顔で入浴場へ向かおうとして、

『ぷっ、プルプレアさぁん、ダメだよぉ!』

 ラディッシュは「自ら望んで死へ向かうプルプレア」を背後から必死に抱き止め、
(…………)
 ついに、うつむき加減で足を止めるプルプレア。

 そんな「命懸けの覗き」の敢行に、ターナップはハクサンを羽交い締めにしたまま、

「坊主である俺の目の前でぇ、んなぁ破廉恥行為は絶対ぇ許さねぇ!」
(お嬢の裸はぁ俺が守るゥ!)

 少々邪な想いを含みつつ、高らかに宣言したが、

『タープさぁあぁぁん!!!』

 それを上回る声を上げるラディッシュ。
 プルプレアを背後から抱き止めながらの、今にも泣き出しそうな顔に、
「なっ、何スかぁ?」
 ターナップが困惑顔を見せると、彼は怯え声でポツリと、

「あ、あるよぉ……」

「ある?」

 首を傾げるターナップ。
 すると、うつむき黙していたプルプレアが、
「いつまで……」
 羞恥を交えた怒りの涙顔で、

『いつまで自分のムネを掴んでるぁかぁ、ラディ! 自分は「オンナ」ダァーーーッ!』

 激昂し、

「ごめんなぁあぁあぁぁあぁあいぃ!」

 慌てて離れるラディッシュと、

『『ぅえぇーーーーーーッ!』』

 驚愕するターナップとハクサン。
 そんな彼らを前にプルプレアは、初めて見せる「恥じらう乙女」な表情で、

「今まで自分が「オトコ」だと言った事があるかぁあぁぁ!」

「「「!!!」」」

 衝撃を受ける男達。

(((たっ、確かにぃ!)))

 そうは思いつつ、
(((でも……)))
 三人の目は、つい、自然と、他意無く、引き寄せられるように、「彼」ではなく「彼女」であった(ささやかな)胸に。

『ッ!』

 咄嗟に胸を両腕で隠すプルプレア。
 集まる「物言いたげな視線」に、

「小さくてぇ悪いかぁあぁ!」

「い、いやぁ、あのぉ、そ、それは、」
「そ、そぅっス、そう言う意味じゃなく、」
「そ、そぅそぅ、そのぉなんて言うかぁ、」

 男達はしどろもどろの中、
「「「…………」」」
 互いに顔を見合わせたの後、

「「「ごめんなさい……」」」

 深々と頭を下げ、次の瞬間、

『『『ッ!』』』

 顔色を、緊張感を纏った物に急変させ、周囲の様子を窺い始めた。
 怒り収まらぬプルプレア。

『誤魔化そうってのか!』

 そんな彼女の思いを無視する様に、ラディッシュは明後日の方向を見回し、

『武器を手にしてプルプレアさぁん!』

「え?」

 その思いがけぬ強い口調に気圧され、
「…………」
 不承不承、剣を手にし、促された意味が理解出来ない彼女であったが、剣を手にした途端、三人から遅れた形で、

「なっ、何なんだぁ! この異様な汚染獣の気配はァ!」

 声を荒げた。
 姿は未だ見えずとも、周囲は既に、通常とは異なる気配を放つ「無数の汚染獣」に取り囲まれていたのであった。

(何て事だ……)

 経験した事の無い圧倒的存在感に取り囲まれ、プルプレアが言葉を失う中、

(クソッ!)

 反射的に駆け出したのはターナップ。
 考えるより、体が勝手に向かった先は、入浴中のパストリスの下。
 その背を、ラディッシュは周辺警戒しつつ見送り、
(それがタープさんの「本心の全て」なのになぁ)
 緊迫感の中にありながら苦笑いを浮かべると、木々の間から姿を現し、降り注ぐ月明りに照らし出されたのは、

『合成獣だとぉ!?』

 プルプレアは驚愕の声を上げた。
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