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第三章
3-37
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ターナップがフラれてしばし後――
『ワァ―ハッハッハッ!』
夜空にこだまするのはクルシュの高笑い。
共に焚き火を囲むターナップの背を、満面の笑顔でパシパシ叩き、
「いやぁ~残念だったなぁ、フラレ男くぅん♪」
小馬鹿を含んだ慰めに、
(!)
少々イラッと来るターナップではあったが、何処かスッキリとした笑顔を浮かべ、
「あの返事が返って来るってのは分かってたし、今まであやふやにして来た自分への「俺なりのケジメ」ってヤツをつけたかったんだよぉ。心変わりするまで待つ、とも伝えたしなぁ」
心情を包み隠さず明かしたが、当のクルシュは「ライバルが一人減った」と御満悦。
「大丈夫だぁ大丈夫だ分かってるってぇ♪」
話の内容に聞く耳を持つでもなく、
「何なら知り合いを紹介してやろぅかぁ♪」
余裕の笑顔に、流石にカチンと来たターナップ。
「オマエぇ、俺が「フラれた理由」を分かってて喜んでんのかぁ!?」
「はぇ?」
笑いが一瞬にして固まる彼に、仕返しの意味合いも含めて止めを刺すが如く、
『惚れてる男が居るからなんだぞ!』
『ッ!!!?』
強烈な一撃。
彼は笑顔を引きつらせ、現実を受け止めきれないのか、
「そ、それぁ「俺の事」……なんじゃ」
「んなぁ訳あるかぁ!」
苦笑でツッコミ、ターナップ。
そしてクルシュは思い知った。
自身が、ターナップと同じ土俵に立つどころか、告白するチャンスすらなく「既にフラれている」事実に。
有頂天から一転。
この世の終わりの様な、沈んだ顔して焚き火を見つめ、
「その……パストリスちゃんの「好きな相手」って……」
呟き問う所へ、パストリスがキラキラとした輝く笑顔で、誰かと会話をしながら料理を運んで来た。
(ッ!)
その相手はラディッシュ。
しかも傍らには彼女と同じ「輝きの笑顔」を見せる、ドロプウォートとニプルの姿も。
(ッ!!!)
フラれた事で、期せずして恋愛経験値が上がった今の彼だからこそ分かる、パストリスが「思いを寄せている」のはラディッシュであり、ドロプウォートとニプルが、その恋敵であるのを。
(なんと妬ま、もとい羨ましいィ!)
思い直したところで根が「ひがみである」であるのは変わらないが、気付かぬクルシュは腹立たし気に、
「勇者は、それを知っているのか!?」
「ラディの兄貴?!」
ターナップは一考し、
「正直、それは分からねぇが……ラディの兄貴も兄貴で……」
ラミウムの笑顔を思い浮かべて言葉尻をすぼめると、
「もしか勇者も勇者で、誰か「叶わぬ相手」に想いを寄せているのか!?」
(急に察しが良いなぁ?)
少し驚きながらも、
「まぁ、そんな所だなぁ♪」
苦笑しながら、お茶を濁した。
叶う筈の無い相手と断じてしまっては、「ラミウムの死」を受け入れた事になってしまう気がしたから。
そこへ、
『二人とも、お待たせぇ♪』
((!))
似た者同士がラディッシュの声に振り向けば、いつの間に、テーブルの上には色とりどりの料理たちが所狭しと並んでいて、品数に圧倒されたクルシュが、
(なっ、何なんだぁこの料理の数々はぁあぁ?!)
思わず息を呑むと、
「今手に入る、限られた食材で作ったから、味はちょっとアレかも知れないけどぉ」
ラディッシュは照れ笑い。
(有り物で作ってコレだとぉおぉ!?)
クルシュが内心で更なる衝撃を受ける中、一仕事を終えたヴェズィクローザがやって来て、
「これは凄い。勇者殿がお作りに?」
「まさかぁ♪」
ラディッシュは謙遜気味に笑いながら、
「ドロプさん達と一緒にですよぉ。有り合わせの物で作ったので、味は申し訳ないですけど、」
「いやいや十分過ぎますよ。我が国は料理に少々疎く「腹を壊さず、膨れれば良い」の様な考えでして」
続いてやって来たプルプレアも、
「そうだぞ、ラディ。極端な話し、この国の連中は「火が通っていて、量が多ければそれで良い」と言った感じなんだぞぉ」
どこまで信じて良い話なのかは不明であったが、気遣いが含まれていない訳もなく、
「ありがとうございます」
ラディッシュは一礼し、
「お口に合えば「なお良い」ですけどぉ♪」
社交辞令的な会話が交わされるさ中、彼に対して「僻みに」にも似た感情を持つクルシュは、
(ケッ。モテ夫のぉイケメン勇者様が作った「お料理」なんぞぉ、どれほどのモンかぁ?)
香りだけでも美味しいと分かる料理の一品を、歪んだ感情で無作法に一つまみ、
「あっ! クルシュ失礼ですよ!」
ヴェズィクローザの苦言を歯牙にもかけずに、パクリ。
同胞の非礼をひたすら詫びる彼を横目に、
(うっ、ウマイッだとぉおっ!)
新たな衝撃を受ける。
しかし、イケメンで、勇者で、美女たちに慕われる彼に賛辞を述べるは「こうべを垂れる」敗北宣言に等しく思え、手前勝手にプライドが許さなかったクルシュは、微かに感じた感想を、色を付けて大袈裟に、
「なぁ~んか、味付けが薄っいなぁ~まぁこんなモンなのかねぇ♪」
するとパストリスが申し訳なさげに、
「ごめんなさい、なのでぇす……」
「へ?」
「それ……ボクが作った料理なのでぇす……」
(マジかァ!?)
クルシュは慌てに慌て、大慌てで、
「嘘嘘嘘嘘ぉ冗談だよぉ!!!」
必死に笑って誤魔化し、勢い任せに他の料理を一口パクリ。
途端に、
『ナンジャこりゃーーーっ!? これぇ滅茶苦茶うめぇーーーぞッ!』
両眼が飛び出そうな激しい衝撃を受け、それが彼の嘘偽りのない感想ではあったが、パストリスはそこはかとなく悲し気な笑顔で、
「それ……ラディさぁんの(手料理)なのでぇすぅ……」
(ゲ……)
フリーズするクルシュと、
「「「「「「…………」」」」」」
その場を支配する、何とも言えない冷えた沈黙。
すると、静けさにいたたまれなくなったパストリスが、
『空気を悪くしてゴメンナサイなのでぇすぅーーーーーー!』
半泣きで何処かへ逃げ出してしまい、
((((どっ、どどどどぅしようぅ!?))))
狼狽するだけの男達。弱気、フラれたばかり、原因を作った張本人など、追えない理由はそれぞれであったが、女子三人は共通認識の下、
「「「…………」」」
クルシュを断罪するような眼差しで見下ろし、
「!?」
気付いた彼が振り返ると、
『『『最っ低ぇ!』』』
「!!!?」
短く言い残して彼女の後を追った。
自らの嫉妬が招いた自業自得の結果であったとは言え、女子達からの「総好かん」に、
「…………」
大いに凹むクルシュ。
顔から生気は失われ、うなだれ立ち尽くす姿は、形容するなら「枯れたゾンビ」。
強気であった彼の信じられない程の「しおれ具合」に、苦笑するしかないラディッシュ、ターナップ、ヴェズィクローザの男子三人であった。
『ワァ―ハッハッハッ!』
夜空にこだまするのはクルシュの高笑い。
共に焚き火を囲むターナップの背を、満面の笑顔でパシパシ叩き、
「いやぁ~残念だったなぁ、フラレ男くぅん♪」
小馬鹿を含んだ慰めに、
(!)
少々イラッと来るターナップではあったが、何処かスッキリとした笑顔を浮かべ、
「あの返事が返って来るってのは分かってたし、今まであやふやにして来た自分への「俺なりのケジメ」ってヤツをつけたかったんだよぉ。心変わりするまで待つ、とも伝えたしなぁ」
心情を包み隠さず明かしたが、当のクルシュは「ライバルが一人減った」と御満悦。
「大丈夫だぁ大丈夫だ分かってるってぇ♪」
話の内容に聞く耳を持つでもなく、
「何なら知り合いを紹介してやろぅかぁ♪」
余裕の笑顔に、流石にカチンと来たターナップ。
「オマエぇ、俺が「フラれた理由」を分かってて喜んでんのかぁ!?」
「はぇ?」
笑いが一瞬にして固まる彼に、仕返しの意味合いも含めて止めを刺すが如く、
『惚れてる男が居るからなんだぞ!』
『ッ!!!?』
強烈な一撃。
彼は笑顔を引きつらせ、現実を受け止めきれないのか、
「そ、それぁ「俺の事」……なんじゃ」
「んなぁ訳あるかぁ!」
苦笑でツッコミ、ターナップ。
そしてクルシュは思い知った。
自身が、ターナップと同じ土俵に立つどころか、告白するチャンスすらなく「既にフラれている」事実に。
有頂天から一転。
この世の終わりの様な、沈んだ顔して焚き火を見つめ、
「その……パストリスちゃんの「好きな相手」って……」
呟き問う所へ、パストリスがキラキラとした輝く笑顔で、誰かと会話をしながら料理を運んで来た。
(ッ!)
その相手はラディッシュ。
しかも傍らには彼女と同じ「輝きの笑顔」を見せる、ドロプウォートとニプルの姿も。
(ッ!!!)
フラれた事で、期せずして恋愛経験値が上がった今の彼だからこそ分かる、パストリスが「思いを寄せている」のはラディッシュであり、ドロプウォートとニプルが、その恋敵であるのを。
(なんと妬ま、もとい羨ましいィ!)
思い直したところで根が「ひがみである」であるのは変わらないが、気付かぬクルシュは腹立たし気に、
「勇者は、それを知っているのか!?」
「ラディの兄貴?!」
ターナップは一考し、
「正直、それは分からねぇが……ラディの兄貴も兄貴で……」
ラミウムの笑顔を思い浮かべて言葉尻をすぼめると、
「もしか勇者も勇者で、誰か「叶わぬ相手」に想いを寄せているのか!?」
(急に察しが良いなぁ?)
少し驚きながらも、
「まぁ、そんな所だなぁ♪」
苦笑しながら、お茶を濁した。
叶う筈の無い相手と断じてしまっては、「ラミウムの死」を受け入れた事になってしまう気がしたから。
そこへ、
『二人とも、お待たせぇ♪』
((!))
似た者同士がラディッシュの声に振り向けば、いつの間に、テーブルの上には色とりどりの料理たちが所狭しと並んでいて、品数に圧倒されたクルシュが、
(なっ、何なんだぁこの料理の数々はぁあぁ?!)
思わず息を呑むと、
「今手に入る、限られた食材で作ったから、味はちょっとアレかも知れないけどぉ」
ラディッシュは照れ笑い。
(有り物で作ってコレだとぉおぉ!?)
クルシュが内心で更なる衝撃を受ける中、一仕事を終えたヴェズィクローザがやって来て、
「これは凄い。勇者殿がお作りに?」
「まさかぁ♪」
ラディッシュは謙遜気味に笑いながら、
「ドロプさん達と一緒にですよぉ。有り合わせの物で作ったので、味は申し訳ないですけど、」
「いやいや十分過ぎますよ。我が国は料理に少々疎く「腹を壊さず、膨れれば良い」の様な考えでして」
続いてやって来たプルプレアも、
「そうだぞ、ラディ。極端な話し、この国の連中は「火が通っていて、量が多ければそれで良い」と言った感じなんだぞぉ」
どこまで信じて良い話なのかは不明であったが、気遣いが含まれていない訳もなく、
「ありがとうございます」
ラディッシュは一礼し、
「お口に合えば「なお良い」ですけどぉ♪」
社交辞令的な会話が交わされるさ中、彼に対して「僻みに」にも似た感情を持つクルシュは、
(ケッ。モテ夫のぉイケメン勇者様が作った「お料理」なんぞぉ、どれほどのモンかぁ?)
香りだけでも美味しいと分かる料理の一品を、歪んだ感情で無作法に一つまみ、
「あっ! クルシュ失礼ですよ!」
ヴェズィクローザの苦言を歯牙にもかけずに、パクリ。
同胞の非礼をひたすら詫びる彼を横目に、
(うっ、ウマイッだとぉおっ!)
新たな衝撃を受ける。
しかし、イケメンで、勇者で、美女たちに慕われる彼に賛辞を述べるは「こうべを垂れる」敗北宣言に等しく思え、手前勝手にプライドが許さなかったクルシュは、微かに感じた感想を、色を付けて大袈裟に、
「なぁ~んか、味付けが薄っいなぁ~まぁこんなモンなのかねぇ♪」
するとパストリスが申し訳なさげに、
「ごめんなさい、なのでぇす……」
「へ?」
「それ……ボクが作った料理なのでぇす……」
(マジかァ!?)
クルシュは慌てに慌て、大慌てで、
「嘘嘘嘘嘘ぉ冗談だよぉ!!!」
必死に笑って誤魔化し、勢い任せに他の料理を一口パクリ。
途端に、
『ナンジャこりゃーーーっ!? これぇ滅茶苦茶うめぇーーーぞッ!』
両眼が飛び出そうな激しい衝撃を受け、それが彼の嘘偽りのない感想ではあったが、パストリスはそこはかとなく悲し気な笑顔で、
「それ……ラディさぁんの(手料理)なのでぇすぅ……」
(ゲ……)
フリーズするクルシュと、
「「「「「「…………」」」」」」
その場を支配する、何とも言えない冷えた沈黙。
すると、静けさにいたたまれなくなったパストリスが、
『空気を悪くしてゴメンナサイなのでぇすぅーーーーーー!』
半泣きで何処かへ逃げ出してしまい、
((((どっ、どどどどぅしようぅ!?))))
狼狽するだけの男達。弱気、フラれたばかり、原因を作った張本人など、追えない理由はそれぞれであったが、女子三人は共通認識の下、
「「「…………」」」
クルシュを断罪するような眼差しで見下ろし、
「!?」
気付いた彼が振り返ると、
『『『最っ低ぇ!』』』
「!!!?」
短く言い残して彼女の後を追った。
自らの嫉妬が招いた自業自得の結果であったとは言え、女子達からの「総好かん」に、
「…………」
大いに凹むクルシュ。
顔から生気は失われ、うなだれ立ち尽くす姿は、形容するなら「枯れたゾンビ」。
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