ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第四章

4-21

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 話は現在に戻り――
 
 怪しい気配の追撃は無く、

『ここまで来れば大丈夫かな?』

 不安げに振り返るラディッシュ。
 ドロプウォートとの間に幼子二人を挟み、後ろからの攻撃も懸念して、パストリスやターナップ達の前を歩いていたのだが、隊列の最後尾、しんがりを務めていたニプルが過剰とも思える固い表情で、
「追撃の気配は無い。大丈夫だと思う」
 言った途端、
 
『腹も減ったし飯にしようぜぇ♪』

 一転した緩んだ笑顔の表情で冗談めかした。
 場を和ませようとの、彼女の計らい。
 思惑通り、気持ちが軽くなったラディッシュ達が笑顔を返した一方で、元より明るく、元気であった幼子二人はニプルの口を真似、

『『ハラへったぁ♪ ハラへったぁ♪』』
「こらぁ」

 すかさず優しくたしなめる、ドロプウォート。
 穏やかな笑顔で、

「その様な「品の無い言葉遣い」をしてはいけません、ですわ♪」

 諭すと、ちょっとムッとした顔に変わったニプルにも、
「常々思っておりましたが、ニプルの言葉遣いは二人の教育上、よろしくありませんですわぁ」
 飛び火。
「ぅえぇ!?」
 露骨にイヤそうな顔した上で、

「んなぁ「的外れなお嬢様言葉」をウチにも使えってぇ?! んな痒い物言い出来るかよぉ~」

 品が無いと言われた分の嫌味も添えて、ジンマシンでも出たかのように体をポリポリ。
 その反応に、エルブ国四大貴族令嬢としての品格を常々忘れないように心掛けていたドロプウォートも、それを「的外れ」と悪し様に言われては黙っておれず、

『ぬわぁんでぇすってぇ?!』

 眼の色を変えたが、ニプルも「売られたケンカは買う」と言わんばかり、

『やろぅってのかぁい!』

 角突き合わせ、一触即発の途端、

『『めぇ!』』

 幼子二人が間に割って入り、それぞれに愛らしい憤慨顔での、
「「ケンカはめぇ! なのでぇすぅ!」」
 パストリスの口真似。

 改めて「普段の自分」を不意に見せられた彼女は赤面顔して縮こまり、

「ひぃう! ボク、そんな言い方はしてないのでぇすぅ!」

 恥ずかしさから頭を抱え、そんな彼女をターナップが苦笑交じりに宥めていると、発端を作ったドロプウォートとニプルは幼子二人の「あまりに可愛すぎる怒り」に緩みきった表情で、

「「反省します♪♪♪」」

 了承の手を挙げた。
 すると似た者同士の二人がもめているのを横目に、カドウィードがここぞとばかり、

「ラディ♪」

 背中でしな垂れかかりながら、艶のある声色で、
「みんなは忙しそうだから自分ら、もとい「アタシら」は二人きりで食事にしよ、しましょうよ♪」
 未だ定まらない言葉遣いの上目遣いで誘ったが、ラディッシュは圧の強さに、少々引き気味の笑みを浮かべながら、

「あははは、ウィードさんは、その、無理して言葉遣いを治さなくても、大丈夫だと思うよぉ」

 体の良い「逃げ口上」で誤魔化した。
 すると異変に気付いたドロプウォート、ニプル、パストリスがすかさず、

『『『抜け駆け禁止ぃ!』』』

 ツッコミを入れ、
「チッ」
 カドウィードが思わず舌打ち。
 間髪入れずドロプウォートは、

「貴方の破廉恥な言動も、二人の教育上よろしくありませんですわ!」

 ニプルも、
「まったく油断も隙もねぇ!」
「でぇすでぇす!」
 パストリスも不平を口にし、幼子二人は、

「「おなかすいた、なぉ!」」

 それぞれが言いたい放題で場が混沌と化す中、トラブルメーカーハクサンが日頃の自身を棚に上げ、

『ヤレヤレ、本当に困った人達だねぇ~』

 辟易顔に、

『『『『『『『オマエがいうなぁ!』』』』』』』

 仲間たちからの、総ツッコミ。
「ちょ、酷くなぁい! ぼくぉ扱い酷くなぁい! キーメちゃんとスプライツちゃんまで酷いよぉ~」
 半泣きで憤慨するハクサンに、笑いが起こった。
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