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第五章
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特別扱いの新人に嫌がらせのつもりで、「研修先」としての受け入れを承諾した筈のキャシート・フィリィフォーム。
しかし、その浅はかとしか言えない短慮は、ミトラを精神的に成長させ、密かに子供たちを守ろうと画策する彼の前で「思うままの実験」がやり辛くなり、自らの首を絞める結果となった。
両者は事ある毎に意見を衝突。
対立の構図は日増しに深まったそんな折、青天の霹靂が。
A四サイズ程の紙を手に、
「そ、そんな……」
わななくのは、ミトラ。
そんな彼の姿を目にしたキャシート・フィリィフォームは「グシッシッシッシッ」と下卑た笑いを一つすると、
「軍上層部からの「直々の命」では、流石のチュウイも逆らえまぁい?」
あえての疑問形の質問に、彼は苛立ちを以て睨んだが、キャシート・フィリィフォームは「日頃のうっぷん晴らし」とでも言わんばかりの余裕の笑みで、
「さぁどうするねぇ、チュウイ殿ぉ?」
「クッ!」
堪え切れぬ怒りが、声となって短く漏れ出、
「こんな「無謀な作戦」に二人を推薦したのは、所長なのかァ!」
「さぁ~てぇ?」
卑しい笑みを睨み付けたが、キャシート・フィリィフォームは変わらぬ余裕の半笑いで、
「口を慎みなさぁい、チュウイ」
苦言を呈し、
「新人如きが、上層部が立てた作戦を「こんなモノ」呼ばわりして、タダで済むと思うのかねぇ~?」
(!)
軍属の身、故に反論できず、悔し気に視線を落とすと彼は満足げに、
「まぁ心優しき吾が輩は「聞かなかった事」にしてやるがぁ、」
皮肉を多分に含んだ前置きをしてから、
「この二体の使用を許可したのは吾が輩だが……逆に問うが中尉」
「…………」
「この作戦を成功させ、無事に帰還を果たせる可能性のある実験体二体が、他に居ると思うのかねぇ?」
(ッ!)
即答の否定は出来なかった。
キャシート・フィリィフォームが使用を許可した二人とは、厳しい訓練を受ける幼子たちの中にあって、歴戦の兵士並みの突出した戦闘センスを見せる双子であり、現時点においての成績順位、不動の一位と二位の二人であったから。
(他の子供たちを守る為に、二人を犠牲にするのか?!)
幼い命の天秤に眉をひそめつつ、
(だからと言って上層部の意に逆らい異動させられたら、いったい誰があの子達を守ると言うんだ!)
そのジレンマは苦悶に満ちた表情以上に、指令書を裂けんばかりに握り震える手からも窺え、ミトラは声を絞り出す様に、
(じ……自分も……了承……します……)
返答に、勝ち誇った笑みを浮かべるキャシート・フィリィフォームであったが、優位に立ったダケでは飽き足らず、
「はぁ? 聞こえませんなぁチュウイ殿ぉ?!」
底意地の悪い、嫌味なダメ押しで答えを迫ったが、自身の無力さに打ちひしがれるミトラは反骨を見せる事無く、
「…………」
手の中でシワくちゃになった指令書を、机の上で整え直す様に伸ばし広げながら、
「……了承します……」
『グゥシッシッシッシィ!!!』
満足気な下卑た高笑いを背に、彼は部屋から出て行った。
机に残された指令書に書かれた作戦名、それは、
≪カデュフィーユ暗殺計画≫
カリスマ的国王が病に急逝して国全体が浮足立つアルブル国の、精神的支柱で、国民的英雄である彼の暗殺計画は、それによって生じる混乱に乗じて攻め入ろうとする「国盗りの企て」の初手である。
しかし、その浅はかとしか言えない短慮は、ミトラを精神的に成長させ、密かに子供たちを守ろうと画策する彼の前で「思うままの実験」がやり辛くなり、自らの首を絞める結果となった。
両者は事ある毎に意見を衝突。
対立の構図は日増しに深まったそんな折、青天の霹靂が。
A四サイズ程の紙を手に、
「そ、そんな……」
わななくのは、ミトラ。
そんな彼の姿を目にしたキャシート・フィリィフォームは「グシッシッシッシッ」と下卑た笑いを一つすると、
「軍上層部からの「直々の命」では、流石のチュウイも逆らえまぁい?」
あえての疑問形の質問に、彼は苛立ちを以て睨んだが、キャシート・フィリィフォームは「日頃のうっぷん晴らし」とでも言わんばかりの余裕の笑みで、
「さぁどうするねぇ、チュウイ殿ぉ?」
「クッ!」
堪え切れぬ怒りが、声となって短く漏れ出、
「こんな「無謀な作戦」に二人を推薦したのは、所長なのかァ!」
「さぁ~てぇ?」
卑しい笑みを睨み付けたが、キャシート・フィリィフォームは変わらぬ余裕の半笑いで、
「口を慎みなさぁい、チュウイ」
苦言を呈し、
「新人如きが、上層部が立てた作戦を「こんなモノ」呼ばわりして、タダで済むと思うのかねぇ~?」
(!)
軍属の身、故に反論できず、悔し気に視線を落とすと彼は満足げに、
「まぁ心優しき吾が輩は「聞かなかった事」にしてやるがぁ、」
皮肉を多分に含んだ前置きをしてから、
「この二体の使用を許可したのは吾が輩だが……逆に問うが中尉」
「…………」
「この作戦を成功させ、無事に帰還を果たせる可能性のある実験体二体が、他に居ると思うのかねぇ?」
(ッ!)
即答の否定は出来なかった。
キャシート・フィリィフォームが使用を許可した二人とは、厳しい訓練を受ける幼子たちの中にあって、歴戦の兵士並みの突出した戦闘センスを見せる双子であり、現時点においての成績順位、不動の一位と二位の二人であったから。
(他の子供たちを守る為に、二人を犠牲にするのか?!)
幼い命の天秤に眉をひそめつつ、
(だからと言って上層部の意に逆らい異動させられたら、いったい誰があの子達を守ると言うんだ!)
そのジレンマは苦悶に満ちた表情以上に、指令書を裂けんばかりに握り震える手からも窺え、ミトラは声を絞り出す様に、
(じ……自分も……了承……します……)
返答に、勝ち誇った笑みを浮かべるキャシート・フィリィフォームであったが、優位に立ったダケでは飽き足らず、
「はぁ? 聞こえませんなぁチュウイ殿ぉ?!」
底意地の悪い、嫌味なダメ押しで答えを迫ったが、自身の無力さに打ちひしがれるミトラは反骨を見せる事無く、
「…………」
手の中でシワくちゃになった指令書を、机の上で整え直す様に伸ばし広げながら、
「……了承します……」
『グゥシッシッシッシィ!!!』
満足気な下卑た高笑いを背に、彼は部屋から出て行った。
机に残された指令書に書かれた作戦名、それは、
≪カデュフィーユ暗殺計画≫
カリスマ的国王が病に急逝して国全体が浮足立つアルブル国の、精神的支柱で、国民的英雄である彼の暗殺計画は、それによって生じる混乱に乗じて攻め入ろうとする「国盗りの企て」の初手である。
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