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第五章
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木々に囲まれた街道をニ十分ほど歩いて後――
波打つ畑の畝(うね)の連なりが見え始めると、その奥に小さながらも、町と同様に白い外壁を持った家屋が点々と見え始め、
((((((天世人の村……))))))
ラディッシュ達は初対面となる「天世の村」を前に、天世に初めて足を踏み入れた時の様な興奮を覚えていた。
ターナップの背で疲れて眠る、チィックウィードは別として。
しかし着いた村には、
((((((誰も居ない……))))))
ひと気が無く、
「「「「「「…………」」」」」」
言葉でうまく表現できない違和感も。
人の気配が感じられないにも関わらず、家も、庭も、畑も、あぜ道や用水路にいたるまで綺麗に整い、ゴミどころか雑草の一本もなく、畑の畝に崩れなども皆無で、徹底して管理されている様子が窺え、言うならば「異様に綺麗」すぎ。
生活感が感じられず、模型かモデルハウスの様であり、揚げ足取り的に言うならば、模範のサンプル画像をコピーペーストで貼り付けて作ったように見える村で、人の手による温もりが感じられぬ、非現実的な光景に見えたのであった。
とは言え、それは一方的な「偏見」とも取れる見方。
手入れが行き届いているのは事実であり、ラディッシュは失礼に当たらないよう言葉を慎重に選びながら、
「む、村の人達は、凄く、丁寧に手入れしてるんでぇすね♪」
慎重になり過ぎて多少引きつり気味の笑顔で褒めると、スパイダマグは一枚布で隠した素顔に、意外そうな空気を漂わせ、
「手入れ?」
「え? あ、だ、だって畑に雑草の一つも生えてないし、用水路に落ち葉とかの汚れも無くて……」
すると彼は何ごとか察した様に「なるほど」と頷きを一つ見せてから、
「天世の農家の者は、何の作業もしておりませんぞ」
「「「「「「えぇ!?」」」」」」
ラディッシュ達の「信じ難い」と言った驚きを前に、
「作業は全て「プリズニア」が定期的に行っております」
((((((ぷ、プリズニア?))))))
初耳の名称。
疑問形の顔を見せる六人に、スパイダマグは言葉足らずに気付き、
「プリズニアとは天世における、「終身刑を受けた者」たちのことです」
「「「「「「終身刑ぇえ?!」」」」」」
それほどの「重刑を受けた者」たちに作業を任せきりにしている行為に、他人事ながら不安がよぎったが、察した彼は慌てる事も無く、
「大丈夫なのです。理由は……まぁ、おいおい……」
お茶を濁し、
((((((?))))))
「勇者様方は、何故に天世が「春のように気候が穏やか」であるか分かりますか?」
体よく話を逸らされた。
((((((…………))))))
そこに何があるのか気にはなったが、
(言いたくない事を無理に言わせるのは、なんかイヤだなぁ)
ラディッシュは思い改め、同意の仲間たちも「問いただし」はせず、問われに対して、
(((((「なんで」って?)))))
首を傾げると、スパイダマグは気遣いに密やかな感謝を抱きつつ、
(少々難し過ぎましたね……)
自省し、
「中世の人々の「祈り」から得られるチカラによって「天技を発動」し、天候や気候を安定させているからなのです」
「「「「「「え?」」」」」」
「加えて、野菜の生育の妨げとなる病気や害虫なども、中世の人々の「祈り」から得られるチカラによって、自動的に排除されているのです」
「「「「「えぇ?!」」」」」
驚きを隠せない中世の人々、ドロプウォート達。
自分たちが幼い頃より捧げて来た「祈り」の、意外な使われ方の真実に。
それと同時、
(((((全てがぁ他力本願?!)))))
呆気にとられる中、異世界人ラディッシュは、
(天候は穏やかで、手入れもされている? それなら野菜が美味しくならないのは……?)
引き算的に、原因となりうる「とある可能性」に至り、
「肥料も、天技であげるか、プリズニアの人が与えてるんですか?」
するとスパイダマグは、
「ヒリョウ?」
「え? あ、はい……いやぁですから野菜を育てるのに必要な栄養を、」
「普通に育つのでしたら、あえて「何か」を追加で与える必要など無いのでは?」
「「「「「「へ?」」」」」」
「ん?」
互いの認識のズレに、
「「「「「「…………」」」」」」
「…………」
一瞬黙り合い、そしてラディッシュ達は理解する。
天世の野菜や果物たちは見た目が綺麗であるのに、味が極度に薄い理由を。
農作は肥料を大地に与えるなど土壌を改良し、土づくりから始め、収穫した後も「連作障害」を防ぐ為に「同じ作物を同じ場所で何度も作らない」など、土地を休ませ地力(ちりょく)を回復させ、土地を痩せさせず、病気を防いだりするのだが、天世ではその作業が一切行われていなかったのである。
通常であれば土地が地力を失いやせ細り、作物が育たなかったり、病気になったりと、収穫量が激減する。
しかし天法により天候は十分で、病気は浄化され、障害さえも祓われ、成長の妨げとなる全てが天技により補完されていたのであった。
言うなれば「土を使って栽培」はしてはいるが、大地から何の恵みも得られておらず、何の栄養も無い「水分だけで栽培」しているのと変わらない状況で、形ばかりの収量を得られているとは言え、味が薄いのも当然。
栽培されている農作物は、水しか摂取していないのだから。
その様な物を口にしている、海や陸の動物達も言わずもがな。
波打つ畑の畝(うね)の連なりが見え始めると、その奥に小さながらも、町と同様に白い外壁を持った家屋が点々と見え始め、
((((((天世人の村……))))))
ラディッシュ達は初対面となる「天世の村」を前に、天世に初めて足を踏み入れた時の様な興奮を覚えていた。
ターナップの背で疲れて眠る、チィックウィードは別として。
しかし着いた村には、
((((((誰も居ない……))))))
ひと気が無く、
「「「「「「…………」」」」」」
言葉でうまく表現できない違和感も。
人の気配が感じられないにも関わらず、家も、庭も、畑も、あぜ道や用水路にいたるまで綺麗に整い、ゴミどころか雑草の一本もなく、畑の畝に崩れなども皆無で、徹底して管理されている様子が窺え、言うならば「異様に綺麗」すぎ。
生活感が感じられず、模型かモデルハウスの様であり、揚げ足取り的に言うならば、模範のサンプル画像をコピーペーストで貼り付けて作ったように見える村で、人の手による温もりが感じられぬ、非現実的な光景に見えたのであった。
とは言え、それは一方的な「偏見」とも取れる見方。
手入れが行き届いているのは事実であり、ラディッシュは失礼に当たらないよう言葉を慎重に選びながら、
「む、村の人達は、凄く、丁寧に手入れしてるんでぇすね♪」
慎重になり過ぎて多少引きつり気味の笑顔で褒めると、スパイダマグは一枚布で隠した素顔に、意外そうな空気を漂わせ、
「手入れ?」
「え? あ、だ、だって畑に雑草の一つも生えてないし、用水路に落ち葉とかの汚れも無くて……」
すると彼は何ごとか察した様に「なるほど」と頷きを一つ見せてから、
「天世の農家の者は、何の作業もしておりませんぞ」
「「「「「「えぇ!?」」」」」」
ラディッシュ達の「信じ難い」と言った驚きを前に、
「作業は全て「プリズニア」が定期的に行っております」
((((((ぷ、プリズニア?))))))
初耳の名称。
疑問形の顔を見せる六人に、スパイダマグは言葉足らずに気付き、
「プリズニアとは天世における、「終身刑を受けた者」たちのことです」
「「「「「「終身刑ぇえ?!」」」」」」
それほどの「重刑を受けた者」たちに作業を任せきりにしている行為に、他人事ながら不安がよぎったが、察した彼は慌てる事も無く、
「大丈夫なのです。理由は……まぁ、おいおい……」
お茶を濁し、
((((((?))))))
「勇者様方は、何故に天世が「春のように気候が穏やか」であるか分かりますか?」
体よく話を逸らされた。
((((((…………))))))
そこに何があるのか気にはなったが、
(言いたくない事を無理に言わせるのは、なんかイヤだなぁ)
ラディッシュは思い改め、同意の仲間たちも「問いただし」はせず、問われに対して、
(((((「なんで」って?)))))
首を傾げると、スパイダマグは気遣いに密やかな感謝を抱きつつ、
(少々難し過ぎましたね……)
自省し、
「中世の人々の「祈り」から得られるチカラによって「天技を発動」し、天候や気候を安定させているからなのです」
「「「「「「え?」」」」」」
「加えて、野菜の生育の妨げとなる病気や害虫なども、中世の人々の「祈り」から得られるチカラによって、自動的に排除されているのです」
「「「「「えぇ?!」」」」」
驚きを隠せない中世の人々、ドロプウォート達。
自分たちが幼い頃より捧げて来た「祈り」の、意外な使われ方の真実に。
それと同時、
(((((全てがぁ他力本願?!)))))
呆気にとられる中、異世界人ラディッシュは、
(天候は穏やかで、手入れもされている? それなら野菜が美味しくならないのは……?)
引き算的に、原因となりうる「とある可能性」に至り、
「肥料も、天技であげるか、プリズニアの人が与えてるんですか?」
するとスパイダマグは、
「ヒリョウ?」
「え? あ、はい……いやぁですから野菜を育てるのに必要な栄養を、」
「普通に育つのでしたら、あえて「何か」を追加で与える必要など無いのでは?」
「「「「「「へ?」」」」」」
「ん?」
互いの認識のズレに、
「「「「「「…………」」」」」」
「…………」
一瞬黙り合い、そしてラディッシュ達は理解する。
天世の野菜や果物たちは見た目が綺麗であるのに、味が極度に薄い理由を。
農作は肥料を大地に与えるなど土壌を改良し、土づくりから始め、収穫した後も「連作障害」を防ぐ為に「同じ作物を同じ場所で何度も作らない」など、土地を休ませ地力(ちりょく)を回復させ、土地を痩せさせず、病気を防いだりするのだが、天世ではその作業が一切行われていなかったのである。
通常であれば土地が地力を失いやせ細り、作物が育たなかったり、病気になったりと、収穫量が激減する。
しかし天法により天候は十分で、病気は浄化され、障害さえも祓われ、成長の妨げとなる全てが天技により補完されていたのであった。
言うなれば「土を使って栽培」はしてはいるが、大地から何の恵みも得られておらず、何の栄養も無い「水分だけで栽培」しているのと変わらない状況で、形ばかりの収量を得られているとは言え、味が薄いのも当然。
栽培されている農作物は、水しか摂取していないのだから。
その様な物を口にしている、海や陸の動物達も言わずもがな。
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