ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第六章

6-80

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 復興作業に加わり数日が経過し――

 酒場でテーブルを囲むラディッシュ達八人。
 集めた情報を持ち寄り、

「おおむね……町で耳にした話と一緒だね」

 ラディッシュが苦笑すると、労働に見合った程の情報が得られなかったドロプウォートは、

「ですわねぇ~」
「「「「………」」」」

 潜入(出稼ぎ)組のメンバーと辟易顔を見合わせたが、
「ですが」
 前置きした上で、

「作業員が多国籍な故に、一部で「わだかまり」があるようでしたわ」
「確かにさぁ」

 ニプルウォートは頷きながらも、

「でもまぁ、ソレは仕方ないさ。何せ、少し前まで開戦目前まで関係が冷え込んでたんだぁ」
「げにぃ、各々色々思う処もありんしょぉ~」
「でぇすでぇすねぇ~」

 諦め口調のカドウィードとパストリスが頷くと、
「しっかし一番の問題は「アレ」なんスよ、兄貴ぃ」
 ターナップが満を持して声を上げ、

「「「あれ?」」」

 留守番組が小首を傾げると、五人は声を揃え、

『『『『『食事が激マズっ!!!』』』』』

 苦悶に満ちた顔。
 その渋すぎる表情に、

「あははは……よっぽど美味しくなかったんだね……」

 ラディッシュが心中を察すると、ターナップが訴えるように、
「マズイなぁんてぇモンじゃねぇっスよ、ラディの兄貴ぃ!」
 続けてドロプウォート達が、

「まったくですわ! エルブ国の囚人だってぇもっとキチンとした食事を頂けてましてですわ! (たぶん……)」
「アレぁ腹を膨らませる為ダケの作業さ!」
「げにぃ拷問時間にぃありぃんしたぁ」
「でぇすでぇす、なのでぇすぅ」

 食事時間を思い起こして、青い顔。
 そんな顔を見せられたラディッシュは、
(あははは……これは流石に、アルブル国の担当者に伝えないとなぁ~作業効率が下がるどころか、本当に人が集まらなくなっちゃいそぉ……)
 困惑笑いを浮かべつつ、

「それと……」

 少し離れたテーブル席から、やたらと此方の様子を窺う男女数人を、ほんの一瞬チラリと見てから、声のトーンを抑え、
(えぇ~とぉ……あそこに居る、気配を隠したつもりになってる「見覚えのある人達」は……何?)
 そこ居たのは、イリスを連れ去ろうとしたアクア国の冒険者の一部。
 既に気付かれているとも知らぬ素振りで、ラディッシュ達の様子をチラチラチラチラと窺い、

(やったっスねぇリーダー! 地道にバイトして「食い繋いでた甲斐」があったっスねぇ!)
(食い繋いでたワケじゃねぇ! アレぁ、潜入だ! 情報収集の為の!)
(物は言いようなのねぇ~)
(うっせぇ辛気女ぁ! 現にアノ女の尻尾を掴んだじゃねぇか!)
(たまたまなのよねぇ~)
(リーダーは計画性が足りねぇっスからぁ~)
(うるせぇな! 他の連中にも声は掛けたんだろうな!)
(抜かりなしっスぅ)
(続々集まってる筈なのよねぇ~)
(ならぁ今度は逃げられないように、オメェ等もしっかり見張っとけぇ!)

 ヒソヒソと漏れ聞こえて来た会話に、イラッとしたロプウォートはラディッシュの問いに対し、

『アレは「モブ」ですわァ!』

 苛立ち露わに、つれなく斬って捨て、ニプルウォートはそんな彼女に苦笑しながら補足するように、

「作業現場で作業員として遭遇しちまってさ、でもまぁ、ちょっかい出して来る様子もないから素知らぬフリしてシカトしてたらぁ」
「監視と尾行に気付かれていないとぉ勘違いしぃんしてぇ」
「ずっとぉこの有り様なのでぇすぅ」

 ゲンナリ顔の女子四人。
 するとストーカー行為に曇らせるパストリスを目にしたターナップは改めて、
(ヤッパぁお嬢に、こんな顔をさせてちゃぁイケねぇ……)
 テーブルに、やおら手をつき、

「俺が、ちょいと脅して追っ払って来やしょうかぁ」

 立ち上がろうとすると、荒事を嫌ったラディッシュが「まぁまぁ」と制し、

「今、大きな騒ぎになっちゃうと身元が周りに知れて、元も子もなくなっちゃうからね。それに……」
「それに?」
「ちょっかいを出されたとしても「この顔ぶれ」なら何の問題も無いでしょ♪」
「「「「「「「!」」」」」」」

 信頼の笑顔に、仲間たちも笑顔を見合わせた。
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