ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第六章

6-85

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 馬車で街道を進むラディッシュ達――
 
 目指すはついに、アルブル国。
 集めた情報から改善すべき点は数々見えたものの、四国同盟の助力を得なければならない程の「重篤な案件」は認められず、入国する判断に至ったのであった。

 良く晴れた青空の下、今日も御者台で手綱を引くラディッシュは陽気に当てられてか、緩んだ笑顔で空を見上げ、
「今日も良い天気で何よりだねぇ~」
 その横顔に、

((呑気(ですわねぇ・なモンさぁ)~))

 小さく呆れ笑う、御者台に並び座るドロプウォートとニプルウォート。
 アルブル国に入ってからの大仕事が控えているだけに。
 すると三人の背後の荷台から、

『イリィおねぇちゃん、ダイジョウブなぉ?』

 チィックウィードの声が。
 いつも明るい天使な彼女の、珍しくも不安げな声に御者台の三人は不安を煽られ、

「「「?」」」

 顔を見合わせ、いったん馬車を止め、
「どうかしたのイリィ?」
 振り返ると、イリスは少し辛そうに額を押さえながら、

「たぁ、大した事じゃないさねぇ……キッシッシッ……女性特有のアレさぁねぇ……♪」
『『!!!』』

 即応する男子二人。
 ターナップはサッと顔を背け、ラディッシュは慌てに慌て、

「ごっ、ごめんねぇごめんねぇ! 配慮が足りない質問だったよねぇ!」

 狼狽を露わにすると、ドロプウォートとニプルウォートがヤレヤレ笑いを浮かべながら、

「でしたら何故に貴方は額を押さえてますわのぉ、イリィ?」
「押さえるのは腹だろうさぁ?」

『『!?』』

 からかわれたと知る男子二人。

「ヒドイよイリィ!」
「俺らの気遣いを返しやがれぇ!」

 羞恥交じりに憤慨する「ウブな二人」に女子達が苦笑すると、イリスは辛そうな顔をしながらも「キィシッシッ」と再び笑い、
「だからさぁ、最近ちょいちょい来るそんな感じのモンだからさぁ、気に病む事でもないのさぁねぇ」
「「「「「「「…………」」」」」」」
 本人に言い切られてしまっては、仲間たちも納得するより他になく、

「う、うん。分かったよ……」

 ラディッシュは後ろ髪を引かれる思いを残しつつ、

「で、でも本当に調子が悪くなったら遠慮せずに言ってよね?」
「はいはい、ハイよぉ♪」
「…………」

 辟易笑う彼女から視線を外すと、
(イリィが辛さを顔に出すなんて……)
 一抹の不安を抱いたまま正面に向き直り、パシッと手綱を一振り、馬車を再び走らせた。
 
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