478 / 895
第七章
7-13
しおりを挟む
一夜明け――
村長や、鍛冶ギルドなど、村での挨拶回りに改めて奔走するラディッシュ達。
王都エルブレスより、むしろ関わりが深い村での挨拶回り。
しかしそんな中にあって一人、姿の無い人物が。
それは勇者組の中で「この村との関わり」が最も深い筈の、ターナップである。
彼はラディッシュ達の挨拶回りに同行せず、一人で別行動をしていた。
その彼が居たのは、
「うぉへぇ~埃がスゲェ……」
生家の、薄暗い屋根裏部屋であった。
積もるに任せ、荷物に雪のように堆積した埃を手で掃い除けながら、
「無ぇなぁ……」
何かを家探(やさが)し。
(ジジィもインディカも「朝の御勤め」で教会に行ってる今が、本探しの絶好の時宜だってぇのによぉ)
探していたのは父親が遺した「例の本」であった。
埃だらけの屋根裏部屋で一人、ゴソゴソとしばし探してみても見つからず、
(これだけ探して無ぇとなると……ジジィの部屋か? しっかし流石にそれぁちょっとなぁ……)
肉親相手にコソ泥でもするような行為には流石に良心が痛み、また司祭としての倫理観からも躊躇いを覚えていると、
『何をしておる馬鹿孫が!』
「ッ!?」
不意に祖父の不機嫌声が背後から。
思わずギョッと振り返る。
頭に思い描いていた相手からの「前触れなき呼び声」に虚を突かれ。
すると梯子を使い登って来ていた大司祭が、床から不機嫌顔だけ出した状態で、
「朝の御勤めに顔も出さず、あまつさえ勇者様の挨拶回りにも同行もせぬとは何を考えておるのじゃこの戯け!」
頭ごなしに怒鳴る生首に、そこはかとない「後ろめたさ」も手伝いターナップは、
「う、うっせぇなぁ」
手に付いた埃をバツが悪そうに払いながら捜索を諦め、
「ら、ラディの兄貴たちから許可は取ってある」
「だからと言って、」
「下りられねぇから早くそこをドケやジジィ!」
「…………」
何か言いたげな表情で、梯子を下り始める大司祭。
続いてターナップも下りて床に足を着くと、彼は梯子を天井から外しながら、祖父の苦言に腹を立てたが如くの仏頂面を装い、
「明日からの「御勤め」にぁ顔を出す。んなら文句ねぇだろぉ」
ぶっきら棒な物言いで、置き場の壁に戻し掛けると、
「…………」
無言のまま家から出て行き、真意を何も語らぬ孫の背を、
「…………」
憂いた表情で見送る祖父であった。
村長や、鍛冶ギルドなど、村での挨拶回りに改めて奔走するラディッシュ達。
王都エルブレスより、むしろ関わりが深い村での挨拶回り。
しかしそんな中にあって一人、姿の無い人物が。
それは勇者組の中で「この村との関わり」が最も深い筈の、ターナップである。
彼はラディッシュ達の挨拶回りに同行せず、一人で別行動をしていた。
その彼が居たのは、
「うぉへぇ~埃がスゲェ……」
生家の、薄暗い屋根裏部屋であった。
積もるに任せ、荷物に雪のように堆積した埃を手で掃い除けながら、
「無ぇなぁ……」
何かを家探(やさが)し。
(ジジィもインディカも「朝の御勤め」で教会に行ってる今が、本探しの絶好の時宜だってぇのによぉ)
探していたのは父親が遺した「例の本」であった。
埃だらけの屋根裏部屋で一人、ゴソゴソとしばし探してみても見つからず、
(これだけ探して無ぇとなると……ジジィの部屋か? しっかし流石にそれぁちょっとなぁ……)
肉親相手にコソ泥でもするような行為には流石に良心が痛み、また司祭としての倫理観からも躊躇いを覚えていると、
『何をしておる馬鹿孫が!』
「ッ!?」
不意に祖父の不機嫌声が背後から。
思わずギョッと振り返る。
頭に思い描いていた相手からの「前触れなき呼び声」に虚を突かれ。
すると梯子を使い登って来ていた大司祭が、床から不機嫌顔だけ出した状態で、
「朝の御勤めに顔も出さず、あまつさえ勇者様の挨拶回りにも同行もせぬとは何を考えておるのじゃこの戯け!」
頭ごなしに怒鳴る生首に、そこはかとない「後ろめたさ」も手伝いターナップは、
「う、うっせぇなぁ」
手に付いた埃をバツが悪そうに払いながら捜索を諦め、
「ら、ラディの兄貴たちから許可は取ってある」
「だからと言って、」
「下りられねぇから早くそこをドケやジジィ!」
「…………」
何か言いたげな表情で、梯子を下り始める大司祭。
続いてターナップも下りて床に足を着くと、彼は梯子を天井から外しながら、祖父の苦言に腹を立てたが如くの仏頂面を装い、
「明日からの「御勤め」にぁ顔を出す。んなら文句ねぇだろぉ」
ぶっきら棒な物言いで、置き場の壁に戻し掛けると、
「…………」
無言のまま家から出て行き、真意を何も語らぬ孫の背を、
「…………」
憂いた表情で見送る祖父であった。
0
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
冤罪で断罪されたら、魔王の娘に生まれ変わりました〜今度はやりたい放題します
みおな
ファンタジー
王国の公爵令嬢として、王太子殿下の婚約者として、私なりに頑張っていたつもりでした。
それなのに、聖女とやらに公爵令嬢の座も婚約者の座も奪われて、冤罪で処刑されました。
死んだはずの私が目覚めたのは・・・
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい
木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。
下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。
キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。
家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。
隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。
一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。
ハッピーエンドです。
最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる