ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第七章

7-13

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 一夜明け――

 村長や、鍛冶ギルドなど、村での挨拶回りに改めて奔走するラディッシュ達。
 王都エルブレスより、むしろ関わりが深い村での挨拶回り。

 しかしそんな中にあって一人、姿の無い人物が。

 それは勇者組の中で「この村との関わり」が最も深い筈の、ターナップである。
 彼はラディッシュ達の挨拶回りに同行せず、一人で別行動をしていた。

 その彼が居たのは、
「うぉへぇ~埃がスゲェ……」
 生家の、薄暗い屋根裏部屋であった。

 積もるに任せ、荷物に雪のように堆積した埃を手で掃い除けながら、
「無ぇなぁ……」
 何かを家探(やさが)し。

(ジジィもインディカも「朝の御勤め」で教会に行ってる今が、本探しの絶好の時宜だってぇのによぉ)

 探していたのは父親が遺した「例の本」であった。
 埃だらけの屋根裏部屋で一人、ゴソゴソとしばし探してみても見つからず、

(これだけ探して無ぇとなると……ジジィの部屋か? しっかし流石にそれぁちょっとなぁ……)

 肉親相手にコソ泥でもするような行為には流石に良心が痛み、また司祭としての倫理観からも躊躇いを覚えていると、

『何をしておる馬鹿孫が!』
「ッ!?」

 不意に祖父の不機嫌声が背後から。
 思わずギョッと振り返る。
 頭に思い描いていた相手からの「前触れなき呼び声」に虚を突かれ。

 すると梯子を使い登って来ていた大司祭が、床から不機嫌顔だけ出した状態で、
「朝の御勤めに顔も出さず、あまつさえ勇者様の挨拶回りにも同行もせぬとは何を考えておるのじゃこの戯け!」
 頭ごなしに怒鳴る生首に、そこはかとない「後ろめたさ」も手伝いターナップは、

「う、うっせぇなぁ」

 手に付いた埃をバツが悪そうに払いながら捜索を諦め、

「ら、ラディの兄貴たちから許可は取ってある」
「だからと言って、」
「下りられねぇから早くそこをドケやジジィ!」
「…………」

 何か言いたげな表情で、梯子を下り始める大司祭。
 続いてターナップも下りて床に足を着くと、彼は梯子を天井から外しながら、祖父の苦言に腹を立てたが如くの仏頂面を装い、

「明日からの「御勤め」にぁ顔を出す。んなら文句ねぇだろぉ」

 ぶっきら棒な物言いで、置き場の壁に戻し掛けると、
「…………」
 無言のまま家から出て行き、真意を何も語らぬ孫の背を、

「…………」

 憂いた表情で見送る祖父であった。
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