ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第七章

7-14

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 生家を後にラディッシュ達との合流に向かうターナップ――

 仲間たちから遅れる形で村長や鍛冶ギルドなどに挨拶をして回り、道すがら出会った村人たちとも会話を交わし、元より約束をしていた食堂に着いてテーブルを囲むと、

「遅れてすまねぇっス、ラディの兄貴、みんな。それと……」

 申し訳なさげに身を縮めながら、
「見つからなかったっス……それどころか帰って来る筈のねぇジジィが帰って来て、家探ししてるとこを見られちまって怪しまれちまってぇ……」
 企ての失敗に肩を落とした。
 しかし仲間たちはそんな彼に苦笑を見せ合い、

「仕方がないよ、タープ」

 ラディッシュは気遣いを見せ、

「むしろゴメンね」
「へ? 何がっスか?」
「大司祭さんと、ヘンな空気になっちゃったんじゃない?」
「んまぁ、それぁその、いつもの事っ、スからぁ~」

 苦笑を返したが、結果として「何の成果も得られなかった事」に変わりなく、

「「「「「「「…………」」」」」」」

 手詰まり感に、微妙な沈黙に包まれた。
 するとやおらドロプウォートから、

「少し間を置きませんこと?」
「「「「「「?」」」」」」
「王都で休んだばかりで「またか」とは、思うかも知れませんが」
「まぁ確かにそうさねぇ」

 ニプルウォートが珍しく、彼女の提案に素直な同意を示し、
「真意が何処にあるか分からない「親衛隊の眼」がある今、急いて動いて、天世に動向を知られる危険性を高めるのは「愚の骨頂」だからねぇ。しばし間をおいて、様子を窺うのもアリかも知れないさ」
「「「「「「…………」」」」」」
 ラディッシュ達は頷き合い、村での方針が一先ず定まった。
 そんな中、

『あっ、あのぉ! ちょっとヨイなのですぅ!』
「「「「「「?!」」」」」」

 パストリスが唐突に声を上げ、

『じ、時間が出来たならぁ! ぼっ、ボクはラディとの「デートを要求する」のでぇす!』
「「「「「「・・・・・・え?」」」」」」

 あまりに突拍子もない宣言に、御指名を受けたラディッシュを始めとする仲間たちが驚くと、彼女は羞恥で赤く染まった顔して懸命に、

「だっ、だってぇだっってぇ! 最近ドロプばかり優遇されてる気がしてズルイのでぇす!」
『えぇっ?!』

 慄くラディッシュ。

「いっ、いやぁ、ぼっ、僕はそんなつもりはぁ!」

 慌てて弁明しようとすると、ニプルウォートとカドウィードが悪い顔してニヤリと笑い合い、

(これから暇を持て余しそうだったけどさぁ♪)
(良き「暇つぶしのネタ」が早々見つかったでぇありぃんすぅなぁ♪)

 目線で悪巧みを成立。
 すかさず、

「言われてみれば確かに「パストの言う通り」さぁ~♪」
「釣った魚にぃ「餌を与えぬ」はぁ如何なものにぃありぃんしょうなぁ~♪」

 皮肉を多分に含んだ物言いに、何度も深く頷くパストリスに、

「えぇ?! つ、釣った魚って、そんな、僕なんかぁ、」

 ラディッシュがたじろぎ、しどろもどろになっていると、

『今回ばかりは、そう思われても致し方ありませんですわねぇ』

 ドロプウォートのため息交じりの、ボヤキ声が。
 想定外の方角からの支援攻撃に、

「へ?!」

 思わずギョッと振り返ると、彼女は苦々しい顔して、
「私の両親がしでかした「策略の結果」を鑑みれば、仲間内に遺恨を残さぬ為にも、ラディにも腹を括ってもらいませんと、ですわ」
「そっ……!」
(そんなぁ……「彼女いない歴」と「年齢」が一緒の僕なんかが、こんなに可愛い女子と、同人誌で描いた「デート」なんてしてぇそれは許される行為なのぉ?!)
 彼らしい慄きを隠せずに居たが、彼の意見は尋ねられる事も無く、

「お二人は、それで良いですわの?」

 意外に思ったドロプウォートがニプルウォートとカドウィードに問うと、

「ウチ達は「後で」でイイさぁ♪」
「初回はぁ、パストにぃ譲るでぇありぃんす♪」

 二人は自分達も確約を取り付けた上で、余裕ぶって見せ、
『二人ともぉありがとぉなのでぇす♪』
 素直に感謝するパストリス。

 しかし、
「…………」
 ドロプウォートは見透かしていた。
 二人が「先を譲った」のは、善意からだけではない事を。
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