ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第七章

7-15

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 日付は変わって次の日の早朝――

 食事と着替えを終え、
『あっ、あのぉ、ボク、どこかヘンな所はナイのでぇす?!』
 戸惑いを隠せない、照れ顔のパストリス。

 そんな彼女を取り囲む女子組は、
「可愛いですわよぉパスト♪」
「だなぁ♪ 可愛さ増し増しさぁ♪」
 ドロプウォートとニプルウォートが笑顔で褒めると、

「今すぐ床へ連れて行きたきぃ所にぃありんすぇ♪」

 カドウィードの「笑顔と褒め言葉」に、

「「「…………」」」

 少し引く女子三人。
 しかし気にする風もない、妖艶な笑みのカドウィード。
 すると彼女の「言わんとすること」の意味が分かっていない幼きチィックウィードは満面の笑顔で、

「パスおねぇちゃんカワイイなぉ♪」

 一部にキモイ発言も見受けられたが、総じて絶賛に、
『ほぉっ、褒め過ぎなのでぇすぅうぅ!』
 両手で顔を覆い隠した彼女は、いつもと違った装い。

 格闘少女らしい上下セパレートの動きやすい服装から一転し、今日は愛らしい髪留めをアクセントに、白いワンピースを身に纏い、足元も服に合わせたカワイイ系を強調したミュールを履いていた。

 昨日の騒ぎの後、女子組が彼女の可愛さを余す所なく引き出す為に、持てる知識を総動員してコーディネートした集大成である。
パストリスはそれが分かっているだけに、照れ顔を両手で覆い隠しながらも、

「み、みんな、ありがと、なのでぇす……」

 消えそうな声で感謝を伝え、
「こ、これでラディが気に入ってくれなかったら……それはボクのせいなので……」
 震える肩に、

『気に入らない筈がありませんのですわ♪』

 優しく手を添えたのは、ドロプウォート。
 その優しさに心打たれ、
「ドロプぅ……」
 パストリスが潤んだ瞳で顔を上げると、

「自信を持ちなぁさ、パストぉ♪」
「カディはぁむしろ「襲われたり」しぃせぇんかぁ、心配にぃありぃんすぇ♪」
「とってもカワイイなぉ♪ カワイイなぉ♪」

 仲間であると同時に「恋敵」である女子たちからの笑顔に背中を押され、

『ハイなのでぇす♪』

 パストリスは愛らしい笑顔を見せて小さく駆け出すと、女子部屋の扉に手を掛け、
「行って来るのでぇす♪」
 ラディッシュが待つ階下へ駆けて行った。

 彼女の軽やかな足音の遠ざかりと共に、パタリと静かに閉まる部屋の扉。
 すると一拍置いてから、

「「さぁてぇ」」

 ニヤリと笑い合う、ニプルウォートとカドウィードは、

「行きますかぁ♪」
「ありぃんすなぁ♪」

 悪い顔して部屋の扉に手を掛け、パストリスの追跡を開始しようとしたが、
『私は遠慮しておきますですわ』
 背後から、ヤレヤレ声が。

「「?」」

 意外に思った二人が振り返ると、
「私が後を追っては公平でありませんもの。ねぇ、チィちゃん♪」
「ハイ、なぉ♪」
 ドロプウォートは、話をどこまで理解できているか分からないチィックウィードと笑い合った。
 すると追跡組の二人はからかいを交え、

「それはウチ達の中で、頭一つ抜けてる余裕かいドロプさぁん♪」
「良きにありぃんすかぇ? 余裕はぁ足下をすくいんすぇ♪」

 あからさまな揺さぶりをかけたが、

「何とでも仰るが良いのですわ♪」

 彼女は挑発を軽やかに笑い飛ばし、
「これが私、なのですわ♪」
((…………))
 少し「負けた気」がするニプルウォートとカドウィード。

 しかし、その気持ちを受け入れてしまっては「恋敵に敗北を認める」と同意に感じ、二人は表面上こそ平静に、いつも通りのからかいを装いながら、

「ま、まぁドロプは好きにするとイイさぁ♪」
「か、カディもぉ行って来るにぃありぃんすぅ♪」

 出て行く背を、

「お好きにすると良いのですわ♪」

 平然とした笑顔で見送るドロプウォート。
 やがて扉が閉まり、
「…………」
 一瞬の静寂。
 その後、

「……?」

 異変を察する幼きチィックウィード。
 無言の顔を見上げ、

「ママ……?」

 不安げな声をかけると、
「!」
 ドロプウォートはスグさま彼女の不安を取り払うが如く笑顔で、

「どうかしましてチィちゃん♪ そうですわ♪ おやつの時間にしましょうですわ♪」

 頭を優しく撫でた。
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