ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第七章

7-26

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 凶暴な汚染獣の襲撃を退けて後――
 
 馬車を背にして体を休めるのは、何故か少し赤い顔したラディッシュとターナップ。
 背にした馬車の向こう側、有り合わせの布で簡素に作った仕切りの先では女子組が、川で入浴の真っ最中であり、体や服に付いた返り血を洗い流していたのだが、覗こうと思えばいとも容易く覗けてしまう現状に、ウブな男子二人は水音が跳ねるたび、

「「…………」」

 ドギマギするのであった。
 和気あいあいと、水浴びを楽しむ女子たち。
 そんな中、異様に静かで「行儀の良い男子二人」にニプルウォートが悪い顔してニヤリ。
 すっかり元気を取り戻した様子で体を洗いながら、

「なぁラディ♪ ちょっとウチの背中を流してくれないさぁ♪」

 からかいを多分に含んだお誘いに、

『!!!』

 ラディッシュは赤い顔を更に赤らめ、

「そっ、そんな事ぉ出来る訳ナイデショぉおぉ!!!」

 冷静を欠いた上擦った声で、即答の拒否。
 すると味を占めた彼女は愉快げに「シッシッシッ」と笑って、今度はニヤケ顔してパストリスの裸体をしげしげ眺め、
「なっ、な、な、な、なんでぇすぅ……ニプルぅ……」
 警戒心露わに両腕で胸を隠し後退る、羞恥のパストリスを尻目に、

「なぁターーープぅ♪」
「?!」
「パストってば小さい体に、意外と豊満を詰め込んでるさぁ~♪」

『んなぁ!?』

 動揺あらわにおののくターナップが、まるで見えているかのようなからかい口調で、

「いつの間にしっかり育ってぇ見に来るかぁ~い♪」
『ぅにゃぁーーー!』

 絶叫のパストリス。
 耳まで真っ赤に憤慨し、

「にゃにぃを言いだすでぇすニプルぅーーーーーーっ!」

 思わず猫語。
 一方で迂闊にも、
「・・・」
 ほんの一瞬、彼女の裸体を想像してしまう司祭ターナップ。

『だぁーーーッ!』

 慌てて振って邪念を払い、赤面顔を更に赤らめ、

『アホかぁテメェはぁ! 坊主の俺が行く訳ネェだろォオ!!!』

 貧弱な仕切り布の向こうに叫ぶと、ニプルウォートの「シッシッシッ」と愉快げな笑い声が返って来た。
 抱いてしまった邪(よこしま)な妄想を誤魔化すが如く、

「ったく、アイツぁよぉ!」

 羞恥の滲んだ赤面顔で憤慨したが、
(だがよ……)
 彼女の本意の全てが「からかいにあった訳ではない」と理解する彼は、

「心配させまいと「カラ元気」を出しやがってぇ。ってぇか、他にやりようがぁあんだろぅがぁよぉ」

 辟易顔で苦笑しながらボヤいた。
 その笑いに、ラディッシュもクスクス笑い、

「ニプルらしいカラ元気だし、カラ元気も元気の内だよ」
「まぁ、そうなんスけどねぇ」

 男子二人は笑い合い、女子組の後に入浴を済ませると、七人は交替で見張りをしながら一夜を過ごした。
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