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第八章
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天世人の三人が気付けないほど小さく、スパイダマグが「謝罪の意」を表明したのは、上下関係が明確な天世における立場ゆえか。
ドロプウォート達もラディッシュと同じ懸念を持ったのを感じさせる、複雑な表情をする中、気付く事なく思いの丈を笑顔で披露するリンドウであったが、何の前触れも無く、
ぐぅううぅぅうぅうぅぅ~
愛らしい快音を腹から鳴らし、
『ちょぉっ!?』
恥じらいを含んだ驚きの赤面顔で即座に腹を押さえ、
「こっ、この音ぉ何なんしぃ!?」
興味深げに見つめるゴゼンとヒレンに慌てた様子で問うと、中世の暮らしの先輩と言えるスパイダマグが「ははは」と軽やかに笑い、
「二位(リンドウ)様の、腹の虫が鳴いたのでございますな」
虫と聞かされ、
『『ムシぃ?!』』
ゴゼンとヒレンは反射的に飛び退いた。
まるで「バイ菌扱い」の反応に、
『アーシのキャワウィイお腹にぃ虫なんてぇ居ないしぃ!』
リンドウは憤慨し、
「何てこと言うしぃ! この筋肉ダルマぁ!」
スパイダマグをキツク睨んで罵倒したが、「先人の彼」は「後人の彼女たち」の反応を中世に降りたばかりの自分たちとダブらせ、「懐かしい」とでも言いたげな余裕で以て、
「「物の例え」でありますよぉ、二位さま」
見せつけられた大人な反応に、
(元老院の「元飼い犬」のクセにしぃ!)
百人の天世人としてのプライドから、
『わっ、分かってたしぃそんなことぉ!』
逆ギレした上で、
「そぉ、それが分かっててぇ、この音が何なのぉか、(お腹の)この感じが何のぉかを、訊いてるのしぃ!」
責めるように問い、
「「「「「「「へ?!」」」」」」」
彼女の言っている意味が理解できないラディッシュ達がキョトン顔。
すると察したスパイダマグは、
「失礼致しました勇者様方」
説明不足を反省した様子で勇者組に一礼し、
「天世において天世人は「常に恩恵で守られている」が故に、腹が鳴るほどの飢餓状態を感じる事が無く、自分たちも中世を初めて訪れた時には驚いたものです」
「そ、そうなの?」
「はい、勇者殿。知らぬ病を、もしや患ったのではないかと思うほどに」
懐かし気に虚空を見つめる彼と親衛隊に、
『なんでぇそっち(勇者組)にばっかり説明するんしぃ!』
リンドウは再び憤慨。
「クウフクって言うのが原因ならぁアーシらのお腹を満たす何かを用意するしぃ!』
しかし彼や親衛隊は、上司にあたる「百人の天世人」である彼女の命令に、
「嫌です」
『『『はぁ?』』』
「謹んで御断り申し上げます」
「「「なぁ?!」」」
「自分たちは「元老院の兵」であって、「貴方がたの私兵」ではありませんので」
「「「!」」」
現実を踏まえて言えば「元老院」と「百人の天世人」の関係は良好とは言えず、その「元老院の守護」を任とする親衛隊に命令を下すは筋違い。
彼の言い分は最もであったが、下位の組織の親衛隊にすげなく命令を拒否され、足蹴に扱われたと感じたリンドウは、
『ぬぅわにぃソレぇえぇ!!!』
ゴゼン、ヒレン共々怒りをあらわ、
「その元老院に「見限られた」のがアータらっしょ!」
「キュミたち言うに事を欠いてぇ『親衛隊ごとき』が俺達にぃ、ちょ~と許せないよねぇ」
「ほんとウザイわぁ!」
その見下した物言いに、
「「「「「ッ!」」」」」
無言で前に出る親衛隊。
隊長への暴言は「許さぬ」とばかり。
狭い一室で一触即発の空気を醸し出す、
「「「…………」」」
「「「「「…………」」」」」
百人の天世人と、親衛隊。
元より「水と油の関係」であるのが分かるラディッシュは、
(大人げないなぁ~)
困惑笑いを浮かべながら、
「何か作ってあげてよスパイダさん♪ まぁ僕が作っても良いけどぉ♪」
両陣の間を取り持つと、スパイダマグは「憂いの無い笑顔」を感じさせる声色で、
「分かりましてございます、勇者殿♪」
その二言返事に、
『ちょっ! 待つしぃ!!!』
リンドウは即でツッコミ。
「なんで「アーシの命令」は聞けなくてぇ、そこの「末席の命令」は聞けるしぃ!」
余計に不満を露。
ゴゼンとヒレンも不満を露にしたが、スパイダマグはさも当たり前の事のように、
「自分の「料理の師」は勇者殿であり、弟子が師匠の命に従うは「自然なこと」と考えますが?」
平然と答えつつ、
「それより」
「「「?」」」
声色が「怒りが滲んだ物」に変わり、
「師でもある勇者殿を「末席呼ばわり」するのは止めて頂きたい。寛大な勇者殿は許して下さろうが、我らの癪には、甚だ障ります故に」
同席して居た隊員たちも、一枚布で素顔が隠れて心情が読めないとは思えない程の怒りのオーラを纏った。
ドロプウォート達もラディッシュと同じ懸念を持ったのを感じさせる、複雑な表情をする中、気付く事なく思いの丈を笑顔で披露するリンドウであったが、何の前触れも無く、
ぐぅううぅぅうぅうぅぅ~
愛らしい快音を腹から鳴らし、
『ちょぉっ!?』
恥じらいを含んだ驚きの赤面顔で即座に腹を押さえ、
「こっ、この音ぉ何なんしぃ!?」
興味深げに見つめるゴゼンとヒレンに慌てた様子で問うと、中世の暮らしの先輩と言えるスパイダマグが「ははは」と軽やかに笑い、
「二位(リンドウ)様の、腹の虫が鳴いたのでございますな」
虫と聞かされ、
『『ムシぃ?!』』
ゴゼンとヒレンは反射的に飛び退いた。
まるで「バイ菌扱い」の反応に、
『アーシのキャワウィイお腹にぃ虫なんてぇ居ないしぃ!』
リンドウは憤慨し、
「何てこと言うしぃ! この筋肉ダルマぁ!」
スパイダマグをキツク睨んで罵倒したが、「先人の彼」は「後人の彼女たち」の反応を中世に降りたばかりの自分たちとダブらせ、「懐かしい」とでも言いたげな余裕で以て、
「「物の例え」でありますよぉ、二位さま」
見せつけられた大人な反応に、
(元老院の「元飼い犬」のクセにしぃ!)
百人の天世人としてのプライドから、
『わっ、分かってたしぃそんなことぉ!』
逆ギレした上で、
「そぉ、それが分かっててぇ、この音が何なのぉか、(お腹の)この感じが何のぉかを、訊いてるのしぃ!」
責めるように問い、
「「「「「「「へ?!」」」」」」」
彼女の言っている意味が理解できないラディッシュ達がキョトン顔。
すると察したスパイダマグは、
「失礼致しました勇者様方」
説明不足を反省した様子で勇者組に一礼し、
「天世において天世人は「常に恩恵で守られている」が故に、腹が鳴るほどの飢餓状態を感じる事が無く、自分たちも中世を初めて訪れた時には驚いたものです」
「そ、そうなの?」
「はい、勇者殿。知らぬ病を、もしや患ったのではないかと思うほどに」
懐かし気に虚空を見つめる彼と親衛隊に、
『なんでぇそっち(勇者組)にばっかり説明するんしぃ!』
リンドウは再び憤慨。
「クウフクって言うのが原因ならぁアーシらのお腹を満たす何かを用意するしぃ!』
しかし彼や親衛隊は、上司にあたる「百人の天世人」である彼女の命令に、
「嫌です」
『『『はぁ?』』』
「謹んで御断り申し上げます」
「「「なぁ?!」」」
「自分たちは「元老院の兵」であって、「貴方がたの私兵」ではありませんので」
「「「!」」」
現実を踏まえて言えば「元老院」と「百人の天世人」の関係は良好とは言えず、その「元老院の守護」を任とする親衛隊に命令を下すは筋違い。
彼の言い分は最もであったが、下位の組織の親衛隊にすげなく命令を拒否され、足蹴に扱われたと感じたリンドウは、
『ぬぅわにぃソレぇえぇ!!!』
ゴゼン、ヒレン共々怒りをあらわ、
「その元老院に「見限られた」のがアータらっしょ!」
「キュミたち言うに事を欠いてぇ『親衛隊ごとき』が俺達にぃ、ちょ~と許せないよねぇ」
「ほんとウザイわぁ!」
その見下した物言いに、
「「「「「ッ!」」」」」
無言で前に出る親衛隊。
隊長への暴言は「許さぬ」とばかり。
狭い一室で一触即発の空気を醸し出す、
「「「…………」」」
「「「「「…………」」」」」
百人の天世人と、親衛隊。
元より「水と油の関係」であるのが分かるラディッシュは、
(大人げないなぁ~)
困惑笑いを浮かべながら、
「何か作ってあげてよスパイダさん♪ まぁ僕が作っても良いけどぉ♪」
両陣の間を取り持つと、スパイダマグは「憂いの無い笑顔」を感じさせる声色で、
「分かりましてございます、勇者殿♪」
その二言返事に、
『ちょっ! 待つしぃ!!!』
リンドウは即でツッコミ。
「なんで「アーシの命令」は聞けなくてぇ、そこの「末席の命令」は聞けるしぃ!」
余計に不満を露。
ゴゼンとヒレンも不満を露にしたが、スパイダマグはさも当たり前の事のように、
「自分の「料理の師」は勇者殿であり、弟子が師匠の命に従うは「自然なこと」と考えますが?」
平然と答えつつ、
「それより」
「「「?」」」
声色が「怒りが滲んだ物」に変わり、
「師でもある勇者殿を「末席呼ばわり」するのは止めて頂きたい。寛大な勇者殿は許して下さろうが、我らの癪には、甚だ障ります故に」
同席して居た隊員たちも、一枚布で素顔が隠れて心情が読めないとは思えない程の怒りのオーラを纏った。
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