ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第八章

8-6

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 思い掛けない人物からのフォローに驚き振り返ると、彼は貪る食事の手を止め、

「あぁ見えてぇあの子は「根が真面目」なぁんだよねぇ。いや「超真面目」かぁなぁ……」

 反目の仲とは思えない優しい眼差しの苦笑を小さく浮かべ、

「あの派手目な身なりも話し方もさ、あの子が戦いの中で身に付けた「武器の一つ」なんだヨぉ」

 彼が口にした言葉は、実際に天世を訪れ、目にして来たラディッシュには違和感を以て受け止められ、
「戦い? 平和な天世で?」
 それは共に天世に渡った仲間たちも抱いた感覚であったが、

『平和に見えてたとしたら、笑いね』
「「「「「「「?!」」」」」」」

 ヒレンまでもが、
「あの世界は、元老院が自分たちに都合の良いように造った、言わば「アイツ等の箱庭」だわ」
「箱庭……」
 自分たちが目にして、抱いていた心象とは、

《隣の芝生は青く見える》

 色眼鏡を通した物であったのに、気付かされた。
 それは逆の立場で中世を見る、天世の三人にも言える事かも知れないが。

「「…………」」
「「「「「「「…………」」」」」」」

 しかし今重要なのは、出て行ってしまった彼女の話であって、
「元老院の話は一先ず置くとしてぇだよねぇ。」
 ゴゼンは「彼女との今の(何でも言い合える)関係性」を気に入っている様子を口振りから窺わせつつ、

「あの世界の現状を打破するには、チカラが要るんだよねぇ~だからアノ子は、元々序列順位の高かった先代からチカラを受け継いだ俺らと違ってぇ、努力に努力を重ねて二位まで登り詰めて……」

 内心で一目置いている物言いを、
「…………」
 急に口籠らせた。
 彼女への称賛を、何故に、彼はいきなり黙ってしまったのか、

「?……」

 ラディッシュが仲間たちに視線で答えを求めたが、

「「「「「「…………」」」」」」

 仲間たちも小さく首を横に振るだけで、答える事は出来なかった。
 その一方で勇者組の戸惑いを、

「「「「「…………」」」」」

 気マズそうに見つめるのはスパイダマグたち親衛隊。
 ゴゼンが黙った理由が分かっているのか。
 すると見かねたヒレンが短く、

『一位になれなくなったからよ。どれだけ努力しても、永遠にねぇ』

 口火を切り、
「どうして?!」
 困惑するラディッシュたち勇者組。

 一位であったハクサンは居なくなったのだから、普通に考えれば、

(二位のリンドウさんが自動的に繰り上げ、なんじゃ?!)

 当然の疑問が湧くと、察したスパイダマグが、
「た、大変申し上げ難いのですが勇者様……」
 おずおずと話に割って入り、

「ハクサン様が消滅すると同時に、その……「一位のチカラ」も消滅してしまい……形ばかり序列一位を受け継いだとしても、チカラを欲したリンドウ様には意味が無いのです」
「そんな……」

 ショックを受けるラディッシュと仲間たち。
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