ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

文字の大きさ
525 / 895
第八章

8-7

しおりを挟む
 中世の世界を守る為であったとは言え、ハクサンを討った行いで生じた弊害を知り。

(で、でも、無くなってしまった物なら、また作れば!)

 思い至ったラディッシュが、
「そっ、それならぁ!」
 安易を口にしようとすると、ゴゼンがそれを見透かしたように、

「ねぇキュミ、ラディッシュちゃん♪」
「?!」

 二の句を遮り、

「どうして天世は「地世を殲滅できる程の天世人」を、百人と言わず、量産しないか分かるくわぁい♪」
「そ、それは……?」

 ラディッシュのみならず、仲間たちも答える事が出来ずに居ると、ヒレンが自虐的な笑みを浮かべ、

『出来ないのよぉ』
「できない?!」

「そうよ。怠惰にまみれた天世の世界を、アンタ達は見たでしょ? 高尚な技術なんて当の昔に失われ、今は先人が遺した遺産を食い潰しているだけの世界よ」
「「「「「「「…………」」」」」」」

 補足するようにゴゼンも、

「まぁもっともぉ天世をそんな風にしたのは、自分たちの「地位と権力」に固執して揺らぎを恐れ、固有技術を秘匿し、隠蔽し、発達を妨げた元老院にあるんだけどね」

 辟易した物言いで、元老院に対する不快感を露にする二人であったが、
「「「「「「「…………」」」」」」」
 ラディッシュたち勇者組は、ハクサンを討ち取ってしまった事に「今更の後悔」を拭う事が出来ずに居た。

 しかしいくら後悔しようとも、彼の命と共に消えてしまった「一位のチカラ」は戻らない。

 天世をより良い世界に導くために序列一位のチカラを欲し、時に権力と戦い、時に上から煙たがれつつ、日々研鑽を積んだリンドウが「前触れ無く味わった失意」とは如何ほどであったでろうか。
 彼女の心中を想うと、

「「「「「「「…………」」」」」」」

 何を言っても「言い訳」にしかならない気がして、言葉が出なかった。
 するとゴゼンが、

『気にする必要はないョおん♪』

 勇者組の苦悩を見透かしたドヤ顔の笑みを浮かべ、ヒレンも、

『その通りよぉ』

 呆れ笑いで以て「何を落ち込んでいるんだ」とでも言いたげに、
「どうせ天世が今のままなら、一位のチカラに限らず消失は時間の問題だわ。それに何より、ハクサンをあの時点で消さなかったら「天世自体が消滅」していたわ」
 当事者(天世人)たちの言葉に、

「「「「「「「…………」」」」」」」

 気持ちが少し救われた笑みを見せる勇者組であったが、その一方で、

「「「「「「「…………」」」」」」」

 物言いたげな表情で一点を見つめ、

(できたら、そう言うイイ話は……)

 詠うように物語る天世の二人の頬に、
 
《ご飯粒を取ってからにして欲しかったなぁ……》

 親子丼を貪り食していたが故の勲章とは言え、話に集中できない勇者組であった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

冤罪で断罪されたら、魔王の娘に生まれ変わりました〜今度はやりたい放題します

みおな
ファンタジー
 王国の公爵令嬢として、王太子殿下の婚約者として、私なりに頑張っていたつもりでした。  それなのに、聖女とやらに公爵令嬢の座も婚約者の座も奪われて、冤罪で処刑されました。  死んだはずの私が目覚めたのは・・・

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい

木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。 下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。 キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。 家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。 隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。 一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。 ハッピーエンドです。 最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。

処理中です...