ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第八章

8-44

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 馬車の外に、どれ程の荒廃が広がっているのか、
「「「…………」」」
 息を呑む天世の三人。

 薄暗い荷台の世界から恐る恐る、光の差す外へ。
 そこで目にしたのは、

『『『!?』』』

 町の復興に尽力する人々の姿。
 明るく、前向きに、暗さの一切を感じさせず。

 親から子へ、子から孫へ、長い時間をかけて代々積み上げて来た全てが破壊されたにも関わらず。
 さぞや「落ち込んでいる事だろう」と思い込んでいた三人にとって、
「「「…………」」」
 それは意想外の光景であった。

 目の当たりにした現実に気持ちの整理が追い付かず、
(((…………)))
 ただただ茫然と見つめていると、

『みんな「逞しい」でしょ♪』

 背後から声が。
(((たくましい?)))
 振り返り、ラディッシュ達の笑顔に、

(((…………)))

 促されるよう視線を町に改めて戻し、
「「「…………」」」
 悲嘆を感じさせず額に汗する人々の姿に、

(((確かにぃ♪)))

 天世の三人は、久々となる陰りの無い笑顔を見せた。
 しかし、

「素晴らしいのしぃ~♪」

 いたく感動した様子を見せるリンドウに、
((!))
 不穏を抱くゴゼンとヒレン。
 長年の付き合いから生じた直感から、

((厄介ごとの気配ぃ!))

 足音を忍ばせ、密かに立ち去ろうとしたが、

『何処に行くのしぃ♪』
「「!?」」

 二人の肩を背後からガシリと掴むリンドウ。
 怖いくらいの笑顔で。
 指先が肩に食い込む笑顔の圧に、

「い、いやぁ~ちょっとそこまでぇ野暮用がぁ~♪」
「そ、そぅよ、ちょっとそこまでぇよ♪」

 二人が困惑の交じった笑顔で振り返ると、彼女は満面の、有無を言わせぬ笑顔で、

『それは良かったしぃ~♪』
「「?!」」
「大した用じゃ無いならぁアーシからぁ提案があるのしぃ~♪」
((ぅう……))

 不安しかない二人に彼女は容赦なく、屈託なく見える笑顔で、

『アーシ達もぉ(復興を)手伝うのしぃ♪』
((ヤッパリかぁい!))

 顔で笑って心で泣く、ゴゼンとヒレン。
 本音が透けて見える二人の笑顔に勇者組が苦笑している間にも、御構い無しのリンドウは二人の首根っこを掴んだまま、

『おじさぁ~ん♪』

 作業員の一人に、
「アーシたちも、何かぁ手伝うしぃ♪」
 笑顔で駆け出し、チカラ任せに引きずられる二人は彼女の背後で、

《何で手伝わないと!》

 埃まみれの作業を目の当たりに「面倒臭いことこの上ない」とでも言いたげな顔。
 町の人々の悲愴を感じさせない姿に、よろしくない意味で「自責の念を弱めた」が、黙々と、額に汗して懸命に働く人々の姿に、
((うぅっ……))

 同胞の暴挙を止められなかった後ろめたさに、
((うっ……))

 率先して復興作業を手伝い始める勇者組の姿に、幼子の姿に、
((っ……))

 流石に「観念した」と言うより「良心の呵責」から、

「「ナニかテツダワセテぇクダサイ……」」

 深々と首(こうべ)を垂れた。
 口では色々と言っても、やはり「根はイイ奴ら」なのである。

 そんな人間でもなければ「天世の民の為に蜂起」など企てないのである。
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