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第十章
10-55
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地世王ラミウムの口から語られる真実。
世界は初め一つであった。
人々は願いを具現化させるチカラを有し、その御業を以て暮らしを豊かに、幸福を謳歌していた。
しかして現状に甘んじることなく、暮らしをより豊かにする為の努力を惜しまず、御業の研鑽に努めた。
勤勉なるかな、一つの世界の人々よ。
しかし永きに渡る平穏と安穏は、人々の心に影を落とし始める。
《利便性の追求》
それはいつしか、
《怠惰の追求》
変質は止まらず、平等であった筈の世界は「強い力を持つ者」と「持たざる者」の格差社会に。
歪み行く、世界の歯車。
そこに救いは無く、溝は広がり続け、時が経つに両者の間に増すは、不信と嫌悪ばかり。
決定的衝突を免れていたは皮肉にも、御業のチカラの格差。
やがて格差は更なる悲劇を生む。
強き者たちが御業で創った「理想郷と称する新世界」に強制移住させられる、持たざる者。
抗う術など皆無であったが「全面衝突を未然に回避できるならば」との、弱き立場の思惑もあり。
しかしそこは不毛の地であった。
斯くして強き者たちは偽りの言質を用いて不穏を排除し、再びの安寧を取り戻す。
持たざる者たちの数多(あまた)の犠牲の上に。
懸念の消失により、更なる利便と言う名の怠惰を求める強き者たち。
治まりを知らぬ欲は「御業を用いた人」を創り出し、労働を強い、自由を謳歌。
あくなき欲は「真なる理想郷の創造」に昇華し、ついには御業を用いた具現化を果たす。
古(いにしえ)の母なる世界を去る、新天地を創りし強き者たち。
人々に「祈りのチカラの捧げ」を命じ。
従順なるかな、残されし世界の人々よ。
僅かばかりの恩恵に深謝し、強き者たちの残せし御言に従い日々に祈りを捧げる。
捧げた祈りのチカラのほんの一部が、恩恵として返されていると知らず。
やがて強き者たちが創造せし世界は「上を意味する天世(てんぜ)」と名付けられ、陥れられた弱き者たちが命を落とすに至った世界は「下(げ)を意味する地世(ちぜ)」と名付けられた。
故に、二つの世界の間に存在する古(いにしえ)の世界は「中世(ちゅうぜ)」と呼ばるる。
これが三世(さんぜ)の起こりであり、世界の真なる姿なり。
戦いながら語り終えた地世王ラミウムは不敵な笑みと共にラディッシュの一撃を大きく弾いて距離を取り、
『それでもアンタは天世に肩入れするさぁねぇ~♪』
彼の心変わりに確信を持ってか、天世人時代の「苦い記憶の数々」を反芻しながら、天世を見下す半笑いで、
「手前勝手につけた優劣で自尊心を満足させて他人を嘲笑うゲス共なんぞぉアンタは守って、」
『僕には関係なァい!』
拒絶の意を表す鋭き一刀が。
想定外の虚は衝かれたものの、
「ッ!」
即座にかわす彼女であったが、怒れるラディッシュは休みを与えず連突きを繰り出しながら、
『どの世界にだって悪党は居るし! どの世界にも懸命に生きてる人は居るんだ!』
三つの世界を自分の眼で見て、耳で声を聴いて来たから言えた言葉。
しかし、
「変わらん甘ちゃんさねぇ~♪」
呆れ笑いで連撃をいなし、距離を取るラミウム。
余裕さえ窺わせる彼女を、彼は見据えて剣先を向け構え、
『そこに暮らす人達の平穏を平気で破壊しようとするオマエを僕は許さなァい!』
(!?)
向けられた眼差しは「むき出しの敵意」であり、その眼に、
(なっ、何なのさね……この、胸の奥の曇りは……ざわめきは……)
意図せず湧き上がったのは単なる「怒りと悲しみ」ではなく、理解不能で、制御不能な、複雑な感情。
拒絶に強い怒りを覚えたのは勿論のこと、今の彼女にとって「引き継いだ」と言える過去の記憶の下に悲しみも覚え、一つの体、一つの心である筈なのに「今と昔」が混在し、錯綜し、整理できない想いに苛立ち、
(今のアタシがアタシなのさねぇえ!)
苛立ちは「地世の黒きオーラ」となって光背で燃え上がり、
『皇帝として、夫として、優しく迎えようと思ったが、もぅ止めぇさねえ!』
苛立ちの元凶の全てが「ラディッシュにある」と決め付け、心の晴れ間を求めて彼の排除を決断し、
「心ごと壊してやるさねぇラディ……アンタの「楽しい記憶」を甦らせてぇ」
冷徹な、不敵な笑みを浮かべたが、
「無駄だよ」
無感情に横槍を入れるラディッシュ。
彼女の企てが、彼の「地球時代の辛酸の数々」の呼び覚ましにあると悟った彼は、話の腰を折りつつ一瞬にして距離を詰め、
『ッ!』
ギィキキィーーーン!
咄嗟で一刀を受け止めた彼女に、鍔迫り合いの形で淡々と、
「ドロプが一度壊してくれたよ。自分の心を犠牲にしてまでね」
「!」
間近で見る事になった彼の眼に滲んでいたのは懺悔(ざんげ)であり、まるで「今のラミウムを斬る事」が彼女への贖罪(しょくざい)になると言いたげな。
(!?)
焦りを覚える地世王ラミウム。
怪しく光る刃に、冷淡な彼の眼に。
生まれ変わってから初めて経験する、それは「死の恐怖」。
世界は初め一つであった。
人々は願いを具現化させるチカラを有し、その御業を以て暮らしを豊かに、幸福を謳歌していた。
しかして現状に甘んじることなく、暮らしをより豊かにする為の努力を惜しまず、御業の研鑽に努めた。
勤勉なるかな、一つの世界の人々よ。
しかし永きに渡る平穏と安穏は、人々の心に影を落とし始める。
《利便性の追求》
それはいつしか、
《怠惰の追求》
変質は止まらず、平等であった筈の世界は「強い力を持つ者」と「持たざる者」の格差社会に。
歪み行く、世界の歯車。
そこに救いは無く、溝は広がり続け、時が経つに両者の間に増すは、不信と嫌悪ばかり。
決定的衝突を免れていたは皮肉にも、御業のチカラの格差。
やがて格差は更なる悲劇を生む。
強き者たちが御業で創った「理想郷と称する新世界」に強制移住させられる、持たざる者。
抗う術など皆無であったが「全面衝突を未然に回避できるならば」との、弱き立場の思惑もあり。
しかしそこは不毛の地であった。
斯くして強き者たちは偽りの言質を用いて不穏を排除し、再びの安寧を取り戻す。
持たざる者たちの数多(あまた)の犠牲の上に。
懸念の消失により、更なる利便と言う名の怠惰を求める強き者たち。
治まりを知らぬ欲は「御業を用いた人」を創り出し、労働を強い、自由を謳歌。
あくなき欲は「真なる理想郷の創造」に昇華し、ついには御業を用いた具現化を果たす。
古(いにしえ)の母なる世界を去る、新天地を創りし強き者たち。
人々に「祈りのチカラの捧げ」を命じ。
従順なるかな、残されし世界の人々よ。
僅かばかりの恩恵に深謝し、強き者たちの残せし御言に従い日々に祈りを捧げる。
捧げた祈りのチカラのほんの一部が、恩恵として返されていると知らず。
やがて強き者たちが創造せし世界は「上を意味する天世(てんぜ)」と名付けられ、陥れられた弱き者たちが命を落とすに至った世界は「下(げ)を意味する地世(ちぜ)」と名付けられた。
故に、二つの世界の間に存在する古(いにしえ)の世界は「中世(ちゅうぜ)」と呼ばるる。
これが三世(さんぜ)の起こりであり、世界の真なる姿なり。
戦いながら語り終えた地世王ラミウムは不敵な笑みと共にラディッシュの一撃を大きく弾いて距離を取り、
『それでもアンタは天世に肩入れするさぁねぇ~♪』
彼の心変わりに確信を持ってか、天世人時代の「苦い記憶の数々」を反芻しながら、天世を見下す半笑いで、
「手前勝手につけた優劣で自尊心を満足させて他人を嘲笑うゲス共なんぞぉアンタは守って、」
『僕には関係なァい!』
拒絶の意を表す鋭き一刀が。
想定外の虚は衝かれたものの、
「ッ!」
即座にかわす彼女であったが、怒れるラディッシュは休みを与えず連突きを繰り出しながら、
『どの世界にだって悪党は居るし! どの世界にも懸命に生きてる人は居るんだ!』
三つの世界を自分の眼で見て、耳で声を聴いて来たから言えた言葉。
しかし、
「変わらん甘ちゃんさねぇ~♪」
呆れ笑いで連撃をいなし、距離を取るラミウム。
余裕さえ窺わせる彼女を、彼は見据えて剣先を向け構え、
『そこに暮らす人達の平穏を平気で破壊しようとするオマエを僕は許さなァい!』
(!?)
向けられた眼差しは「むき出しの敵意」であり、その眼に、
(なっ、何なのさね……この、胸の奥の曇りは……ざわめきは……)
意図せず湧き上がったのは単なる「怒りと悲しみ」ではなく、理解不能で、制御不能な、複雑な感情。
拒絶に強い怒りを覚えたのは勿論のこと、今の彼女にとって「引き継いだ」と言える過去の記憶の下に悲しみも覚え、一つの体、一つの心である筈なのに「今と昔」が混在し、錯綜し、整理できない想いに苛立ち、
(今のアタシがアタシなのさねぇえ!)
苛立ちは「地世の黒きオーラ」となって光背で燃え上がり、
『皇帝として、夫として、優しく迎えようと思ったが、もぅ止めぇさねえ!』
苛立ちの元凶の全てが「ラディッシュにある」と決め付け、心の晴れ間を求めて彼の排除を決断し、
「心ごと壊してやるさねぇラディ……アンタの「楽しい記憶」を甦らせてぇ」
冷徹な、不敵な笑みを浮かべたが、
「無駄だよ」
無感情に横槍を入れるラディッシュ。
彼女の企てが、彼の「地球時代の辛酸の数々」の呼び覚ましにあると悟った彼は、話の腰を折りつつ一瞬にして距離を詰め、
『ッ!』
ギィキキィーーーン!
咄嗟で一刀を受け止めた彼女に、鍔迫り合いの形で淡々と、
「ドロプが一度壊してくれたよ。自分の心を犠牲にしてまでね」
「!」
間近で見る事になった彼の眼に滲んでいたのは懺悔(ざんげ)であり、まるで「今のラミウムを斬る事」が彼女への贖罪(しょくざい)になると言いたげな。
(!?)
焦りを覚える地世王ラミウム。
怪しく光る刃に、冷淡な彼の眼に。
生まれ変わってから初めて経験する、それは「死の恐怖」。
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