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第十一章
11-17
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四大大国の三王に心を試される形となったラディッシュではあったが不快を抱く以上に、険しい道を自ら選んだパストリスの身と併せ、
(王様になると色々タイヘンなんだなぁ~)
同情を抱かずには居られなかった。
幾度も中世を救い、救世主のごとき扱いを受けるようになっていても、変わらぬ御人好し。
しかし、それで済まない人物が一人。
ニプルウォートである。
仲間であり、ある意味で上司でもあり、何より想いを寄せる相手の心を「言質を取る為に利用された」とあっては黙っておれず、
「フルール陛下」
「なぁんぞぉ?」
声のトーンは落ち着いてこそいたが、ヒリヒリとした怒りが滲み、
「僭越ながら「言質の取りよう」は、他に幾らでもあったのではありませんか?」
「…………」
眼の奥には怒りがありありと。
その眼を、
「…………」
変わらぬ妖艶な笑みを浮かべつつ見据える女帝フルール。
「「…………」」
両者の間に生じる、声無き緊張。
元主人と元家臣。
勇者組の一人になるに際し解消した主従関係であったが、それ以前に仮初めとは言え母と娘。
親子の間柄なればこそ遠慮の無い譲れぬ、許せぬ想いがそこに。
第三者が「繊細な親子の問題」にズカズカと土足で足を踏み入れるべきではないが、起因となったラディッシュには発言の権利があり、不仲を望まぬ彼は慌てて二人の視線の間に割って入り、
「ふぅっ、フルール陛下やエルブ、カルニヴァの王様はぁ、国民の為を思ってした事なんだからぁ僕は理解してるし全然気にもしてないよぉ♪」
口にするのは野暮、言わぬが花の類と思った言葉を、あえて口に、ニプルウォートをなんとか宥めようと試みたが、
『そんな事は分かってるさぁ!』
(!)
今の彼女に火に油。
不快感をあらわ、続けざま、
「それよりもウチはさ!」
納得いかない理由を口にしようとしたが、
『悪ふざけが少々過ぎんしたなぁ堪忍してぇおくんなぁんしぃや♪』
立ち塞がるラディッシュの背後から、女王がまさかの謝罪。
((?!))
女帝とまで称される彼女からの思いもしなかった反応に二人が驚き振り返ると、エルブ王とカルニヴァ王までも少々バツが悪そうな苦笑を浮かべながら、
「いやはやニプルウォート嬢の指摘通りなのである。言質を取る為とは、言え申し訳なかった勇者よ」
「悪りぃな。確かに「試されて気分がイイ奴」なんてなぁ、居なぇよなぁ」
四大大国の二王までもが頭を下げ、平然としていられる人間が如何ほど居ようか、
『イヤイヤ頭を上げて下さい両陛下ぁ! そもそも僕が不甲斐無いのが原因何でぇあってぇ!』
御多分に洩れずと言うか、元より弱腰勇者のラディッシュは動揺しまくり、しどろもどろの取り繕いで、
「ほぉっ、ほらぁニプルぅ♪ 陛下たちも、こう言って下さってるんだからぁ機嫌を直してよ♪」
間を取り持ち、彼女からの謝罪を促し振り向くと、よもや素直な謝罪が返って来るなどニプルウォートも思っていなかったらしく、怒りの出端(でばな)をくじかれ少々気マズそうに、
「べぇ、別に、ウチは、謝って欲しくて言ったワケじゃないさぁ」
口籠り、振り上げた拳の下ろし処を見付けられずに居るようであった。
それは言い過ぎを後悔し、仲直りしたいのに手立てが見付けられず困っているようにも見え、不器用であり、ムズ痒くも微笑ましく思える関係で、
(親子ケンカって、こんな感じなのかなぁ♪)
自身の地球時代の記憶を久々に辿ってみたが、
(…………)
思い出されるは「冷え切ったすれ違い」ばかり。
決死の想いで抱えた悩みを打ち明けてみても、返って来たのは叱責と失望の声。
温かな場面など微塵も浮かんで来ず、
(…………)
彼の眼に映った二人の関係は、血の繋がりは無くとも親子として互いを想い合う温かなものであり、羨ましく思えるものであり、
(仲違いしたままなんて勿体無いよぉ)
そう感じたラディッシュは、
「ニプルぅ♪」
ソッポを向けた背に優しく謝罪を促すと、向けられた背からはテレの滲んだ声で、
「こぉ、公的な場で、その……軽率な物言いだったさぁ……申し訳……無かったさぁ……」
朴訥な謝罪が。
和解の受け入れに、小さく笑い合うエルブとカルニヴァの両王。
すると女帝フルールがすっと立ち上がり、
「…………」
不器用に向けられたままの背の前に立ち、
「?!」
気配を背で感じたニプルウォートが振り返ると、
『ッ!』
女帝は妖艶な笑みを浮かべたまま、彼女の頭を優しく撫で撫で。
(王様になると色々タイヘンなんだなぁ~)
同情を抱かずには居られなかった。
幾度も中世を救い、救世主のごとき扱いを受けるようになっていても、変わらぬ御人好し。
しかし、それで済まない人物が一人。
ニプルウォートである。
仲間であり、ある意味で上司でもあり、何より想いを寄せる相手の心を「言質を取る為に利用された」とあっては黙っておれず、
「フルール陛下」
「なぁんぞぉ?」
声のトーンは落ち着いてこそいたが、ヒリヒリとした怒りが滲み、
「僭越ながら「言質の取りよう」は、他に幾らでもあったのではありませんか?」
「…………」
眼の奥には怒りがありありと。
その眼を、
「…………」
変わらぬ妖艶な笑みを浮かべつつ見据える女帝フルール。
「「…………」」
両者の間に生じる、声無き緊張。
元主人と元家臣。
勇者組の一人になるに際し解消した主従関係であったが、それ以前に仮初めとは言え母と娘。
親子の間柄なればこそ遠慮の無い譲れぬ、許せぬ想いがそこに。
第三者が「繊細な親子の問題」にズカズカと土足で足を踏み入れるべきではないが、起因となったラディッシュには発言の権利があり、不仲を望まぬ彼は慌てて二人の視線の間に割って入り、
「ふぅっ、フルール陛下やエルブ、カルニヴァの王様はぁ、国民の為を思ってした事なんだからぁ僕は理解してるし全然気にもしてないよぉ♪」
口にするのは野暮、言わぬが花の類と思った言葉を、あえて口に、ニプルウォートをなんとか宥めようと試みたが、
『そんな事は分かってるさぁ!』
(!)
今の彼女に火に油。
不快感をあらわ、続けざま、
「それよりもウチはさ!」
納得いかない理由を口にしようとしたが、
『悪ふざけが少々過ぎんしたなぁ堪忍してぇおくんなぁんしぃや♪』
立ち塞がるラディッシュの背後から、女王がまさかの謝罪。
((?!))
女帝とまで称される彼女からの思いもしなかった反応に二人が驚き振り返ると、エルブ王とカルニヴァ王までも少々バツが悪そうな苦笑を浮かべながら、
「いやはやニプルウォート嬢の指摘通りなのである。言質を取る為とは、言え申し訳なかった勇者よ」
「悪りぃな。確かに「試されて気分がイイ奴」なんてなぁ、居なぇよなぁ」
四大大国の二王までもが頭を下げ、平然としていられる人間が如何ほど居ようか、
『イヤイヤ頭を上げて下さい両陛下ぁ! そもそも僕が不甲斐無いのが原因何でぇあってぇ!』
御多分に洩れずと言うか、元より弱腰勇者のラディッシュは動揺しまくり、しどろもどろの取り繕いで、
「ほぉっ、ほらぁニプルぅ♪ 陛下たちも、こう言って下さってるんだからぁ機嫌を直してよ♪」
間を取り持ち、彼女からの謝罪を促し振り向くと、よもや素直な謝罪が返って来るなどニプルウォートも思っていなかったらしく、怒りの出端(でばな)をくじかれ少々気マズそうに、
「べぇ、別に、ウチは、謝って欲しくて言ったワケじゃないさぁ」
口籠り、振り上げた拳の下ろし処を見付けられずに居るようであった。
それは言い過ぎを後悔し、仲直りしたいのに手立てが見付けられず困っているようにも見え、不器用であり、ムズ痒くも微笑ましく思える関係で、
(親子ケンカって、こんな感じなのかなぁ♪)
自身の地球時代の記憶を久々に辿ってみたが、
(…………)
思い出されるは「冷え切ったすれ違い」ばかり。
決死の想いで抱えた悩みを打ち明けてみても、返って来たのは叱責と失望の声。
温かな場面など微塵も浮かんで来ず、
(…………)
彼の眼に映った二人の関係は、血の繋がりは無くとも親子として互いを想い合う温かなものであり、羨ましく思えるものであり、
(仲違いしたままなんて勿体無いよぉ)
そう感じたラディッシュは、
「ニプルぅ♪」
ソッポを向けた背に優しく謝罪を促すと、向けられた背からはテレの滲んだ声で、
「こぉ、公的な場で、その……軽率な物言いだったさぁ……申し訳……無かったさぁ……」
朴訥な謝罪が。
和解の受け入れに、小さく笑い合うエルブとカルニヴァの両王。
すると女帝フルールがすっと立ち上がり、
「…………」
不器用に向けられたままの背の前に立ち、
「?!」
気配を背で感じたニプルウォートが振り返ると、
『ッ!』
女帝は妖艶な笑みを浮かべたまま、彼女の頭を優しく撫で撫で。
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