ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第十一章

11-19

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 天世人であるリンドウが憂いる「中世の最悪の想定」の下、エルブ王は慎重に言葉を選びながら、

「天技の盾が消失した時、天世様は中世に罰(攻撃)を御与えになると思いますかな、リンドウ様は?」

 あえて問うたのは、皆が最も警戒する直近の危機。
 日々の暮らしに困窮するか否かで済まされない、生か死か。

「…………」

 黙るリンドウ。
 口にしたのはあくまで仮定であって、仮定は未定であり、安易に不安を煽り士気が下がるのは彼女の本意でなかったから。
 問いに対する即答は避け、

(何てぇ答えるのが、今の正解なのしぃ……)

 しばし黙考。
 集まる視線の中で重々しく口を開いた彼女は、

「分からないのしぃ」
「「「「「…………」」」」」
「天世が、どれだけの被害を受けたか分からない今だとしぃ……」
「「「「「…………」」」」」

 彼女の答えは「正直である」と思えた。
 まかり「攻撃の心配はナイ」などと気休めを言われていたら、彼女の今後の発言は信憑性を欠き、色眼鏡で見ることになっていたかも知れない。

 分からないものを、分からないと正直答えたリンドウは、
「けど、しぃ……」
 ラディッシュ達の顔色を窺ったりもせずに淡々と、

「アーシの知ってるチョウカイは、天世の民の暮らしを優先に考えるオンナだったしぃ。昔と変わってないならぁ民に被害が出ていると思う現状でぇ、中世に攻撃を仕掛けることは、しないのしぃ」
「「「「「…………」」」」」

 敵視する元老院の一人でありながらチョウカイだけは一目置いていたのか、彼女の言葉には「信じたい」との願いも感じられたが、その願いもクーデターを起こして天世を実効支配した件により揺らぎを覚えたようで、

「でもぉアーシの知ってたチョウカイは「猫を被ってたチョウカイ」しぃ……素を晒した今のチョウカイが本物なら何をするか……正直分からないのしぃ」
「「「「「…………」」」」」

 情報不足が否めなかった。
 ゴゼンが地世に堕ち、元老院に反目する組織との連絡手段も絶たれた現状では、天世の今を知る術(すべ)は皆無。
 詰まる所、今できる事と言えば、未完成である「天技の盾」を展開し続け攻撃に備えつつ、

《天世の出方を窺う》

 受け身で、消極的な戦略のみであった。
 中世の全世界に迫る危機がカウントダウンを始めていると言わざるを得ない状況ではあったが、会議で得た情報を各々持ち帰り精査する時間も必要であり、四大国の中で天世からリーダー格と位置付けされている国の王であるエルブは先陣を切って、

「今は、ここまでとしようぞ」

 会議の終了を促し、促されたラディッシュ達や諸王も同じ思いから静かに頷き、全員は仮想空間から一度ログアウトした。
 
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