ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第十一章

11-26

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 リンドウの浅知恵の巻き添えで、好奇の視線に晒されるヒレン。
 やけに長く感じる羞恥の時間を経て、

(どぅしぃ? アーシの言った通りになったしぃ♪)

 上品なドヤ顔のリンドウ。
 彼女が言った通り、周りは異物に慣れたのか、害は無いと判断されたのか、二人に寄せていた関心がいつしか自分たちの話に花を咲かせていた。
 少々癇に障るドヤ顔に、

(ハイハイそうね)

 上品に呆れ答えるヒレンであったが、

「それで?」

 改めてリンドウを見据え、

「ただ単に、アタシと茶を飲みに来たワケじゃないんでしょ?」
「…………」

 見透かす半笑いに、一瞬、小さな驚きを見せた御上品リンドウであったが、
(気付かれて当然なのしぃ……昨日今日の付き合いじゃナイのしぃ♪)
 自嘲気味の笑みを小さく浮かべて手にしたティーカップをソサーにそっと置き、

「付き合いが長くなるのも考え物しぃ~」

 そこはかとない、嬉し顔。
 皮肉を口にしながらも、以心伝心を喜ぶ素振りを見せた一方でヒレンは、

(おおかた「天世に帰る方法」の話ね)

 リンドウの真意を直感した。
 天世の民を守るべき、百人の天世人としての本来の務め。
 前地世王ラミウムの企てにより、天世がどれ程の被害を受けたかは今もって知れず、

(先例が無いから危険が伴う可能性はあるけど、先人の英知が詰まった首飾りのチカラを使えばエルブ城の鏡から……)

 帰還の可能性を口にしようとした彼女であったが、リンドウの口から語られた言葉に、

『!?』

 我が耳を疑った。
 感慨深げな笑みと共に、天世での暮らしの懐古を口にした彼女はその口で、

『アーシ、久々にライブをしようと思ってるのしぃ♪』
「…………え?!」

 あまりの想定外に、頭の処理が追い付かないヒレン。
 賛同の言葉も、否定の言葉も、口に出来ないほど驚いていると、単にサプライズが成功したと喜ぶリンドウは、

「中世のみんなは口には出さないけど不安を感じてるのしぃ♪」
「ちょ、」
「その不安の素を作ってるのはアーシたち天世のゴタゴタなのしぃ♪」
「ちょっと、」
「だから天世人のアーシが元気づけるのには意義があると、」

『ちょっと待ちなさいよォ!』
「しぃ?!」

 ヒレンは話を中断させるのに何とか成功し、

「天世に戻る方法を相談しに来たんじゃないの?!」
「しぃ?」
「首を傾げてんじゃナイわよ! アンタは天世の仲間たちが心配じゃないの?! 天世に戻りたいとは思わないの!」
「そんなワケ無いのしぃ。心配だしぃ、戻りたいとも思ってるのしぃ……でも」
「でも?」
「帰り方が分からない今、自分に出来る事を考えた結果、」

『首飾りのチカラを使えば帰れるじゃない!』

 彼女の叫びに、一度は関心を失った周りの客たちが「なんだ、どうした」と関心を戻し始める中、リンドウは毅然と、

「そこに危険はナイのし?」
「そぉっ、それは……」
「危険があるとも分からない事に仲間たちを、中世のみんなを巻き込むの、ヒレンは平気なのし?」
「!」

 痛い所を突かれた。
 彼女の言う通りであった。

 生まれ故郷が心配だからと、先人の失われた英知の塊である首飾りの膨大なチカラを使った結果、その先に何が起きるか、どの様な災いが中世の仲間たちに、中世の人々に降り掛かるか、それは未知数であったから。

 本当の使い方を、真なるリスクを、知らないが故のロストテクノロジ―。

 確証のある使い方以外の使用をした時、何が起きるのか、起きないのか。

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