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第十一章
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森の奥から皮肉と共に姿を現した半裸の大男は巨大な斧を肩に担ぎ、柄から繋がる太い黒縄を体に巻き付け、見ろと言わんばかりに張り出す大胸筋に背筋、それに加え岩のような腹筋を携えていた。
スパイダマグと共演を果たせそうな体躯を持った大男。
ラディッシュ達など眼中に入っていないのか、チィックウィードと手を繋ぐアブダを半笑いで見据え、
「死んでねぇなら連絡の一つもよこせやぁ。大将が心配してぇ、御使いで来させられちまったじゃぁねぇかよぉ」
更なる皮肉を口に、
「そんでぇ?」
黙ったままの彼女と、そんな彼女を戸惑いで見つめるラディッシュ達を前に、
「反逆者ヒレンの捜索と捕縛、緊縛を命じられた筈のオメェが……」
眼差しは余談許さぬ色へと変貌し、
「なぁんでソイツ等と、仲良く並んで居やがるんだぁ?」
射貫くように睨んだ。
「…………」
俯き、黙することしかできないアブダ。
ラディッシュ達の顔を窺うことも出来ずに。
やがて彼女は沈黙の中で悟る。
(夢の時間は「ここまで」と言うことじゃな……)
自身の境遇を呪うよう八部衆アブダに戻る覚悟を密かに決めたが、いきなり現れたニラブダは、その僅かな惑いさえ気に入らなかった様子で不機嫌に、
「離反を考えてるなら止めておくんだな」
「!?」
「多勢に無勢でならぁ俺に勝てるとでも思ってかぁ?」
「?!」
「残念だったなぁ」
「ッ!」
無造作に右手を上げると森の中から、
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
合成獣たちと戦っていた私服姿の、無表情な兵たちが次々姿を。
およそ三十人。
その姿に、
(ばっ、馬鹿なぁ! ワシの私兵まで配下にじゃとぉ!)
顔には出さず内心で驚くアブダであったが、ニラブダは見透かした半笑いを浮かべ、
「何を驚いてやがるロリばぁ。オメェより強くて上位の権限を持つ俺が、オメェの私兵を従わせられねぇ筈がねぇだろぅがぁ♪」
嘲笑うと、
「八部衆最弱のオメェを今も「先生」と慕う大将の顔を立てて、十を数えるまで待ってやる」
「!」
「その間に、どちらか選べや。元教え子の集まりの八部衆か、昨日今日知り合ったばかりのソイツ等かぁをよぉ」
「…………」
何処までも強気のニラブダ。
アブダが八部衆最弱であろうとも相手にしているのは彼女だけでなく、対峙しているのは百人の天世人であるリンドウと、ラミウムの後継たるラディッシュ。
それに加え、中世の七草であるニプルウォート、カドウィード、チィックウィードである。
並みの兵ではないのである。
そこには彼なりの、浅はかな皮算用と言える目算が。
(いくらぁ強かろうがぁ弱点を抱えて戦場に来てりゃぁ世話ねぇよなぁ~)
椅子車に蠟人形のように座るドロプウォートと、単なる幼女にしか見えないチィックウィードを、余裕を以てチラ見。
足枷となる戦力外と、一方的にみなしていたのである。
そして、
(数で襲い掛かって人質にでもすりゃ、それで仕舞いだ。それにコイツ等も「ただの一兵卒」じゃぁねぇしなぁ)
背後に控える、三十人の私兵の戦闘力を自信を基に、
「イ~チぃ、ニィ~、サぁ~ン、」
半笑いでカウントはじめ、
(素性も知れてぇ、もはや限界なのじゃ!)
アブダはチィックウィードの手を離そうとしたのだが、
(?!)
彼女は離されそうになった手をしっかり握って離さず、驚いた顔に無言でニコリと笑い答えると、余裕の笑みでカウントを進める大男を睨み、
『アブちゃんは渡さないなぉ!』
幼子の魂の叫びに気圧され、
「!」
思わずカウントが止まるニラブダ。
確かな圧を感じたのだが、幼女を相手に気圧され動じてしまった自身の恥を薄めようと、
『女、子供が相手と思って下手(したて)に出てりゃぁ調子に乗りやがってぇ!』
逆ギレぎみに、過剰な怒りを以て激昂した。
苛立ちで表情を歪め激昂した。
しかし一方的な羞恥から火が出そうなほど頭に昇ったその血は、
(ッ!)
何かを目にして一気に下がった。
その両眼に浮かぶは、恐怖。
椅子車の上で、身動き一つ、瞬き一つ、瞳孔の動きさえないドロプウォートから感じた凄まじい気配に、
(な、何なんだ……このオンナは……)
戦士として積み上げて来た経験が、勘が、命の危機を知らせる。
座ったまま微動だにしない、女戦士に。
スパイダマグと共演を果たせそうな体躯を持った大男。
ラディッシュ達など眼中に入っていないのか、チィックウィードと手を繋ぐアブダを半笑いで見据え、
「死んでねぇなら連絡の一つもよこせやぁ。大将が心配してぇ、御使いで来させられちまったじゃぁねぇかよぉ」
更なる皮肉を口に、
「そんでぇ?」
黙ったままの彼女と、そんな彼女を戸惑いで見つめるラディッシュ達を前に、
「反逆者ヒレンの捜索と捕縛、緊縛を命じられた筈のオメェが……」
眼差しは余談許さぬ色へと変貌し、
「なぁんでソイツ等と、仲良く並んで居やがるんだぁ?」
射貫くように睨んだ。
「…………」
俯き、黙することしかできないアブダ。
ラディッシュ達の顔を窺うことも出来ずに。
やがて彼女は沈黙の中で悟る。
(夢の時間は「ここまで」と言うことじゃな……)
自身の境遇を呪うよう八部衆アブダに戻る覚悟を密かに決めたが、いきなり現れたニラブダは、その僅かな惑いさえ気に入らなかった様子で不機嫌に、
「離反を考えてるなら止めておくんだな」
「!?」
「多勢に無勢でならぁ俺に勝てるとでも思ってかぁ?」
「?!」
「残念だったなぁ」
「ッ!」
無造作に右手を上げると森の中から、
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
合成獣たちと戦っていた私服姿の、無表情な兵たちが次々姿を。
およそ三十人。
その姿に、
(ばっ、馬鹿なぁ! ワシの私兵まで配下にじゃとぉ!)
顔には出さず内心で驚くアブダであったが、ニラブダは見透かした半笑いを浮かべ、
「何を驚いてやがるロリばぁ。オメェより強くて上位の権限を持つ俺が、オメェの私兵を従わせられねぇ筈がねぇだろぅがぁ♪」
嘲笑うと、
「八部衆最弱のオメェを今も「先生」と慕う大将の顔を立てて、十を数えるまで待ってやる」
「!」
「その間に、どちらか選べや。元教え子の集まりの八部衆か、昨日今日知り合ったばかりのソイツ等かぁをよぉ」
「…………」
何処までも強気のニラブダ。
アブダが八部衆最弱であろうとも相手にしているのは彼女だけでなく、対峙しているのは百人の天世人であるリンドウと、ラミウムの後継たるラディッシュ。
それに加え、中世の七草であるニプルウォート、カドウィード、チィックウィードである。
並みの兵ではないのである。
そこには彼なりの、浅はかな皮算用と言える目算が。
(いくらぁ強かろうがぁ弱点を抱えて戦場に来てりゃぁ世話ねぇよなぁ~)
椅子車に蠟人形のように座るドロプウォートと、単なる幼女にしか見えないチィックウィードを、余裕を以てチラ見。
足枷となる戦力外と、一方的にみなしていたのである。
そして、
(数で襲い掛かって人質にでもすりゃ、それで仕舞いだ。それにコイツ等も「ただの一兵卒」じゃぁねぇしなぁ)
背後に控える、三十人の私兵の戦闘力を自信を基に、
「イ~チぃ、ニィ~、サぁ~ン、」
半笑いでカウントはじめ、
(素性も知れてぇ、もはや限界なのじゃ!)
アブダはチィックウィードの手を離そうとしたのだが、
(?!)
彼女は離されそうになった手をしっかり握って離さず、驚いた顔に無言でニコリと笑い答えると、余裕の笑みでカウントを進める大男を睨み、
『アブちゃんは渡さないなぉ!』
幼子の魂の叫びに気圧され、
「!」
思わずカウントが止まるニラブダ。
確かな圧を感じたのだが、幼女を相手に気圧され動じてしまった自身の恥を薄めようと、
『女、子供が相手と思って下手(したて)に出てりゃぁ調子に乗りやがってぇ!』
逆ギレぎみに、過剰な怒りを以て激昂した。
苛立ちで表情を歪め激昂した。
しかし一方的な羞恥から火が出そうなほど頭に昇ったその血は、
(ッ!)
何かを目にして一気に下がった。
その両眼に浮かぶは、恐怖。
椅子車の上で、身動き一つ、瞬き一つ、瞳孔の動きさえないドロプウォートから感じた凄まじい気配に、
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座ったまま微動だにしない、女戦士に。
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