奇跡と言う名のフォトグラファー

青木 森

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続章_16

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 放課後―――
 生徒会室と教室札が掲げられている引き戸の前に立つ、ヒカリ、ハヤテ、サクラの三人。
 サクラは昼休み、自分も写真部に入りたかったと、強気な事を言っていたが、いざ上級生たちが待ち構える生徒会室を前にすると、どんな叱りが待っているかと思うと、内心ドキドキであった。
 ヒカリの取った行動は生徒会の意に反し、サクラは書類上、その企みに加担した形になっていたのだから、緊張するのも無理からぬ話である。
 しかしヒカリは、そんなサクラの不安な胸の内を知ってか、知らずか、不安を抱いた様子を微塵も見せず、平然とした顔で扉をノック。返事も待たずにガラッと扉を開けると、
「一年A組、東海林ヒカリと以下二名、入りまぁ~す!」
 先陣切って室内へ入って行った。
 後に続くハヤテと、緊張した面持ちでおずおずとハヤテの後に続くサクラ。
 生徒会室は八畳程のスペースに、コの字形に配した長テーブルがあり、その長テーブルの中央部分である窓際のテーブルには、差し 込む西日を背にして座る女子生徒と、傍らに脇侍の様に立つ男子生徒が一人。
 ボリュームのある黒髪を持つ、生徒会会長と思わる女子生徒はクラスの男子が言っていた通り、高校生らしからぬ胸を持ち、長テーブルの上に乗ってしまっていたが、豊かな胸を隠すかの様に両肘を長テーブルの上に立て、両手を口元で、感情を隠す様に結び、品定めでもするかの様にヒカリ達をジッと見ていた。
 女子生徒の傍らに立ち、ヒカリ達を睨む様に見つめる男子生徒は神経質そうな顔立ちをし、同年代男子の中では小柄であるが、何かしらスポーツをしているのか、体幹が定まっている様に見え、体が引き締まっている印象を受ける。
 すると座って居る女子生徒がおもむろに、
「お初の方もおりますので、先ずは自己紹介から。わたくしは生徒会会長の「豊葦原ミズホ(とよあしはらみずほ)」。隣は副会長の「豊葦原ハヤト(とよあしはらはやと)です」
 二人は形式的な会釈だけすると、
「さて、本題ですが東海林ヒカリさん。わたくし、あなたに「最低四名集めなさい」と申しましたわよね?」
「いやぁ~アハハハハハハ……」
「「…………」」
 笑って誤魔化すヒカリを、ジト目で見つめるハヤテとサクラ。
 ミズホはそんなヒカリに追い打ちをかける様に、
「一名足りずに部活申請を出した事も問題ですが、何ですのコレは」
 ヒカリが書いた部活申請用紙を三人に見える様にテーブルの上に置き、サクラの署名部分を指差し、
「明らかに貴方の名前と同じ筆跡ではありませんか!」
 怒りを露わ、用紙を上からバシッと叩いて見せた。
 テーブルの上で大きく揺れるミズホの胸。
 怒っているのは分かるのだが、揺れる胸が気になり、話しに集中できないヒカリ達。
 何気に副会長も横目でチラリと見ていた。
 ミズホは集まる視線の先を多少気にしつつ、凛然とした表情は崩さず、
「状況から見てサクラさん。あなたは単に巻き込まれただけの様ですが、いかがです?」
 するとヒカリがすかさず話に割って入り、
「そうなんですよぅ~中々人が集まらなくてぇ! 勝手に名前を使っても怒らなそうな、九山さんを選んでぇ~!」
「やはりそうでしたの。流石は問題児カップルですわ」
 ミズホはニヤリと笑うと、
「九山サクラさん、貴方はお帰りいただいてよろしくてよ。それと老婆心ながら言わせていただくなら、御学友は相手をキチンと見て選ばれた方が良いですわよぉ」
 見下した様なミズホの言葉に、隣に立つ副会長と、いつからそこに居たのか同席していた他の生徒会役員から嘲笑が湧いた。
(な、何なの……この人達……)
 権力欲にまみれた大人達が持っていた色と、同じ色を持つ生徒会役員達に、言い知れぬ不快感を抱くサクラ。
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