奇跡と言う名のフォトグラファー

青木 森

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続章_67

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 一夜が明け―――
 昨夜の出来事を登校早々、黄に報告するハヤテ達。
「そうかい……命に別条がなかったのが幸いだねぇ……」
 言葉とは裏腹、正体が見えない襲撃者に苛立ち、眉間にシワを寄せる黄であったが、
「後は警察の領分だ。余計な真似をしようとするんじゃないよ」
「でも黄先生! このままじゃ、」
「東ァ!」
「!」
「次はオマエかも知れないんだよ。いや、東海林か九山かも……」
「「「…………」」」
「今回はたまたま運が良かったが、次も同じとは限らない」
 黄の話は正論であり、ハヤテが反論出来ずにうつむくと、ヒカリがそっと手を握り、
「ハーくん……悔しいけど、ボクも黄先生と同じ意見だよ。ボクはハーくんにもサクラちゃんにも、怪我をしてもらいたくないんだ」
 サクラもハヤテに静々と歩み寄り、胸元で祈る様に自身の手を握り、
「私もそう思う……ハヤテくん……後は警察に任せよぅ?」
「…………分かった」
 静かに頷くハヤテと共に、教室へ戻るサクラとヒカリであったが、教室の前には新津屋達いた。
 ハヤテ達を待っていたらしく、三人を見るなり、
「ハッハッハッ! 話は聞いたよ、諸君。大事無くて何より!」
「「「!?」」」
(大事無くなんてない! この人、何を言ってるのぉ!)
 いつもの変わらぬ笑顔に、怒りを覚えるサクラであったが、それはハヤテも同様で、
「何を言ってやがるんですか、先輩ィ!」
 あからさまな怒りを露わ、殴り掛かりそうな勢いで新津屋に迫ろうとすると、ヒカリがすぐさま腕を掴んで止め、
「ハーくんダメだよォ!」
「……クッ!」
 悔し気に思いとどまるハヤテ。
 しかしヒカリもハヤテをたしなめはしたが、怒りの眼差しを新津屋に向けた。
 新津屋を守る様に立ち塞がる加津佐と千穂。
 すると新津屋はいつもの作り笑いから一転、真顔になり、加津佐と千穂の肩に手を置きアイコンタクトで後ろに下がらせると、
「公衆の面前なのでオブラートに包んで言ったつもりであったが、逆に不快にさせてしまった様だ。失礼した」
 深々と頭を下げて言葉足らずを陳謝し、後ろに控えていた加津佐と千穂も頭を下げた。
(嘘は言ってない……)
 サクラが怒りの溜飲を下げると、ハヤテも、
「……気持ちは分かったんで、頭を上げて下さい先輩達……上級生三人に頭を下げさせて、悪目立ちしちまってますんで……」
「そうかねぇ?」
 新津屋はいつも通りの笑顔をパッ上げ、
「ハッハッハッ! では山形ツバサ君に、宜しく伝えておいてくれたまえぇ!」
 新津屋がいつも通り、マントでも羽織っているかの様にバサッとブレザーの上着をたなびかせて背を向けると、加津佐と千穂も同じ様に背を向けた。
「?」
(それだけ?)
 やけにあっさり引き下がる三人に、肩透かしを食わされた様な気分になるハヤテ。
 そんな彼の目に、何かが留まった。
「高岡先輩……その右手首どうしたんっスか?」
 立ち止まる新津屋達。
 すると千穂は包帯の巻かれた右手首を見せ、
「昨日痛めた」
(昨日……)
 胸の中がザワつくサクラ。
 それはハヤテも同じだった様で、慎重に言葉を選びながら、
「良ければ痛めた理由を、」
 尋ねるより先、千穂は包帯の巻かれた左手首も見せ、
「コッチも」
「「「?」」」
 すると呆れ顔した加津佐が、
「新作ゲームのやり過ぎよ」
 千穂の後頭部に左手でツッコミ。
「はぅ、イタイ!」
「そんなに強く叩いてないでしょ」
「今日のはイタイ」
 少し申し訳なさげに痛い所を撫でてあげる加津佐。
 言われてみれば千穂からは湿布の香りも漂って来ていて、声の色に嘘も無かった。
「ハッハッハッ! 何事もやり過ぎは良くないと言う事だねぇ! では改めて失礼するよ!」
 新津屋は、じゃれ合う加津佐と千穂を従え去って行った。

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