78 / 88
続章_76
しおりを挟む
「てめぇ……どこまでもフザケやがってぇ!!」
怒り心頭、ハヤテが今にも殴り掛かりそうな憤怒の形相をハヤトに近づけると、廊下の暗がりの奥から、
「いい加減になさい、ハヤト! 豊葦原の名前を何処まで貶めれば気が済むのですか!」
『豊葦原ミズホ』が新たに姿を現した。
「姉さん……」
「貴方も豊葦原家の者ならば潔く縛につき、罪を償いなさァい!」
慕っていた姉からの引導渡しに、チカラなくうなだれるハヤトであったが、
「何が……『豊葦原』だよぉ……」
「?」
「くだらない……」
「何ですってぇ!?」
「全部お姉ちゃんの為じゃないかぁ!」
「ハヤト、貴方何を……ま、まさか情報を漏洩させたのも……」
「あぁ僕さぁ! あのクソ親父が、お姉ちゃんを傷つけたからだぁ!」
ハヤトはうつ伏せにされたまま、苦虫を噛み潰したよう顔してサクラを見上げ、
「それもこれもオマエのせいだァ!」
「わ、私ぃ!?」
いわれのない中傷にギョッとするサクラ。
「写真部が作れないのはクソ親父の意向だったんだよぉ! なのにお姉ちゃんはオマエの安い泣き落としに引っ掛かって、クソ親父の意に反して許可を出そうとして、それがバレて搬送される程のケガを負わされたんだァ!」
「そ、そんな!?」
(私のせいでミズホ先輩がぁ!?)
間接的とはいえ、自分の言動でミズホが傷つけられていた事実に衝撃を受けるサクラであったが、
「お黙りなさいハヤトォ!」
ミズホが即座に一喝。
「全てわたくしの選択ですわぁ! むしろ今まで親の言いなりになっていたわたくしの方がどうかしていたのです! わたくしの一人の人間としての選択を、貴方にとやかく言われる筋合いはありませんわぁ!」
「!」
鈍器で殴られた様なショックを受け、首を垂れるハヤト。
一方的な独り相撲の自覚はあったとはいえ、彼なりに姉の事を真剣に考え、行動していたつもりが、その全てを否定されたのであるから落ち込みも当然と言える。
そんな中、新津屋が「ハッハッハッ」と高笑いを一つ上げ、
「ではナイトボーイ、一連の事件の犯人は彼と言う事で良いのだねぇ」
すかさず加津佐がスマーフォンをポケットから出し、
「では会長、早速警察を呼びます。まったく、本校の生徒でありながらストーカー行為に放火に傷害、あまつさえ殺人未遂とは鬼畜の所業ですね、豊葦原ハヤト」
汚らわしい物でも見る様な眼で見下ろすと、
「さっ、殺人未遂って何の事だよォ! それにストーカー行為ってぇ!?」
ハヤトは血の気の引いた驚き顔で見上げ、その、まるで身に覚えがない他人事の様な顔に、加津佐は不快感に怒りを加え、
「黙れ、豊葦原ハヤトォ! 今しがた東海林ヒカリを、その刃物で襲撃しようとしていたではないかァ!」
「ちっ、違ッ! それは、あくまで脅しであってぇ! 刃物を見せつけて怯んだ隙に逃げようと思ってぇ!」
「何が違うものか! 無防備な山形ツバサを背中から刺した行為も、殺すつもりはなかったとでも言うつもりなのかァーーーッ!」
「僕は山形ツバサを刺してない!」
「何処まで我々をたばかれば気が済むのだ! 戯言はもう沢山だァ!」
警察へ通報しようとすると、サクラは素早くハヤテにアイコンタクト。
意図を察したハヤテが即座に頷き応え、サクラは間髪を入れず加津佐の手を掴み、
「待ってください南先輩ィ!」
強制的にスマートフォンの操作を中断させた。
「何をする九山サクラ!」
「警察が来る前に、どうしても聞きたい事があるんです!」
必死な眼差しを向けるサクラと、その気迫に気圧され、戸惑う加津佐。判断を仰ぐ為、新津屋にチラリと視線を送ると、新津屋は変わらぬ笑い顔で頷いた。
不承不承、スマートフォンの操作を中断する加津佐。
怒り心頭、ハヤテが今にも殴り掛かりそうな憤怒の形相をハヤトに近づけると、廊下の暗がりの奥から、
「いい加減になさい、ハヤト! 豊葦原の名前を何処まで貶めれば気が済むのですか!」
『豊葦原ミズホ』が新たに姿を現した。
「姉さん……」
「貴方も豊葦原家の者ならば潔く縛につき、罪を償いなさァい!」
慕っていた姉からの引導渡しに、チカラなくうなだれるハヤトであったが、
「何が……『豊葦原』だよぉ……」
「?」
「くだらない……」
「何ですってぇ!?」
「全部お姉ちゃんの為じゃないかぁ!」
「ハヤト、貴方何を……ま、まさか情報を漏洩させたのも……」
「あぁ僕さぁ! あのクソ親父が、お姉ちゃんを傷つけたからだぁ!」
ハヤトはうつ伏せにされたまま、苦虫を噛み潰したよう顔してサクラを見上げ、
「それもこれもオマエのせいだァ!」
「わ、私ぃ!?」
いわれのない中傷にギョッとするサクラ。
「写真部が作れないのはクソ親父の意向だったんだよぉ! なのにお姉ちゃんはオマエの安い泣き落としに引っ掛かって、クソ親父の意に反して許可を出そうとして、それがバレて搬送される程のケガを負わされたんだァ!」
「そ、そんな!?」
(私のせいでミズホ先輩がぁ!?)
間接的とはいえ、自分の言動でミズホが傷つけられていた事実に衝撃を受けるサクラであったが、
「お黙りなさいハヤトォ!」
ミズホが即座に一喝。
「全てわたくしの選択ですわぁ! むしろ今まで親の言いなりになっていたわたくしの方がどうかしていたのです! わたくしの一人の人間としての選択を、貴方にとやかく言われる筋合いはありませんわぁ!」
「!」
鈍器で殴られた様なショックを受け、首を垂れるハヤト。
一方的な独り相撲の自覚はあったとはいえ、彼なりに姉の事を真剣に考え、行動していたつもりが、その全てを否定されたのであるから落ち込みも当然と言える。
そんな中、新津屋が「ハッハッハッ」と高笑いを一つ上げ、
「ではナイトボーイ、一連の事件の犯人は彼と言う事で良いのだねぇ」
すかさず加津佐がスマーフォンをポケットから出し、
「では会長、早速警察を呼びます。まったく、本校の生徒でありながらストーカー行為に放火に傷害、あまつさえ殺人未遂とは鬼畜の所業ですね、豊葦原ハヤト」
汚らわしい物でも見る様な眼で見下ろすと、
「さっ、殺人未遂って何の事だよォ! それにストーカー行為ってぇ!?」
ハヤトは血の気の引いた驚き顔で見上げ、その、まるで身に覚えがない他人事の様な顔に、加津佐は不快感に怒りを加え、
「黙れ、豊葦原ハヤトォ! 今しがた東海林ヒカリを、その刃物で襲撃しようとしていたではないかァ!」
「ちっ、違ッ! それは、あくまで脅しであってぇ! 刃物を見せつけて怯んだ隙に逃げようと思ってぇ!」
「何が違うものか! 無防備な山形ツバサを背中から刺した行為も、殺すつもりはなかったとでも言うつもりなのかァーーーッ!」
「僕は山形ツバサを刺してない!」
「何処まで我々をたばかれば気が済むのだ! 戯言はもう沢山だァ!」
警察へ通報しようとすると、サクラは素早くハヤテにアイコンタクト。
意図を察したハヤテが即座に頷き応え、サクラは間髪を入れず加津佐の手を掴み、
「待ってください南先輩ィ!」
強制的にスマートフォンの操作を中断させた。
「何をする九山サクラ!」
「警察が来る前に、どうしても聞きたい事があるんです!」
必死な眼差しを向けるサクラと、その気迫に気圧され、戸惑う加津佐。判断を仰ぐ為、新津屋にチラリと視線を送ると、新津屋は変わらぬ笑い顔で頷いた。
不承不承、スマートフォンの操作を中断する加津佐。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/30:『ねんがじょう』の章を追加。2026/1/6の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/29:『ふるいゆうじん』の章を追加。2026/1/5の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/28:『ふゆやすみ』の章を追加。2026/1/4の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/27:『ことしのえと』の章を追加。2026/1/3の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/26:『はつゆめ』の章を追加。2026/1/2の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/25:『がんじつのおおあめ』の章を追加。2026/1/1の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/24:『おおみそか』の章を追加。2025/12/31の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる