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羽を持つもの
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「ぎゃああああああ!!!」
「おー、よしよし。」
新しく生まれた羽を持つものの子供を連れて守護者のアルが城に来ていた。ラルクはもちろん、全ての従者を謁見の間から離れさせ、城に仕える者達に支障が出ないように、シエルが抑え込んでいた。連れてきたのはこの子供の名前と属性診断のため。王の名前は真名と、通称があり、真名は契約したものが力の暴走を止める力や押さえつける力がある。真名で守護者となる王と契約するのは帝王と、先代である。
だが継承後先代が消えるので、実際はシエルだけが真名を紡ぐ。
「安定しないの。確かにアルと同じ雷を扱うのだが、それに少しだけ氷を纏っておる。だが氷属性は取り上げなければ、短命じゃ。ははは、羽を持つものは皆2つ以上属性を持って生まれるがの。属性を同時に使うのは寿命を縮めるのと一緒だ。守護者が欠けると、世界のバランスが崩れる。」
「陛下」
「分かっておる、真名はカタルフィー。」
魔法陣が赤ん坊を包み、ぽわん、と音が響いた。
「これで先代となったが、どうだ?アル」
「実感はありません。では、その子はフィーと呼びましょう。シエル様の真名を知るものはもうここにはいないのですよね?」
「じゃの。知っておるのはわらわだけ。だが、教えるつもりも言うつもりもないわ。真名は、わらわですら縛りつける。真名を呼ばれたらたまったもんじゃない。」
「...ラルク様ならよろしいのでは?」
「いや、真名は縛りつけると同時にその者の力を奪い、そのものの力になる。器がパンクしかねん。それに真名よりこちらの方がわらわは好きでの。冥途土産に教えてやろうか?真名で縛りつけることが出来るのは自分と同等かそれ以上の存在だけだからの。」
「...そうですね、消える直前に教えて頂けますか?」
「ああ。どちらにせよ最後の継承はここでやるのだからな。フィー。アルをいっぱい困らせてやるといい。」
「あうー。」
シエルがフィーをアルに渡した。
「あと真名には縛りつける以外に緊急で呼び寄せたり、と真名の使い方をまとめた資料をやるから、これを見ながらやるといい。」
「ありがとうございます。」
「フィーも、またあとでの。」
シエルが頭を撫でると雷のブレスの小さいものを出した。これは赤ん坊の嬉しい時にするもので攻撃力などはない。
「よし、氷属性も消えておる。アル、継承中は全ての従者を城からこちら側に引き渡せ。それから、週一でこちらに連れてこい。それで従者との顔合わせなどもさせる。」
「はい」
「では元気での。」
アルが瞬間移動していなくなると、シエルが手を叩いた。すると従者たちがぞろぞろと入ってきた。
「継承中、アルの城のものはこちらに仕えさせる。それゆえ、皆、よろしくの。新たな王となるのはフィー。雷属性を使う。」
「「かしこまりました。陛下」」
「ねえシエル、その子また会えるの?」
「ああ、一週間もすればドラゴンの子は人間の四歳児ぐらいになる。一週間後ここにくる。その時、会えば良い。わらわもアルもいるしの、万が一でも死ぬ事は無い。ちなみに男の子じゃよ。」
「...へえ...」
「シエル様!!大変です!!」
「なんじゃ、慌てて。アレン。」
「よ、四大精霊が、あの、四神がシエル様とラルク様に会いたいと...」
「まさか...皆!すぐに城をでろ!!!いいか!?絶対四神を見てはならん!!!ここからでいい!国のものにも伝えろ!!絶対に外に出るなと!!ラルク!!!わらわとこい!!」
普段とうってかわり、シエルに余裕が無い。
皆慌てて、シエルの指示通りに動き、シエルはぎゅっとラルクの手を握った。
「...ラルク、いいか、こいつらを怒らせてはならん。わらわから絶対離れるな。」
「うん、わかった。」
アレンが指示されたという場所にシエルとラルクが行くと、四大精霊と呼ばれる四神がいた。
「急な呼び出しに応じてくれたこと感謝する。シエル、ラルク。我が名はイフリート。四大精霊のリーダーにして、始まりと終わりを守護するものだ。」
「シエルと申します。こちらがラルク、私の夫です。」
「よろしくお願いします。」
「でねー、僕ノームなんだけどー、その始まりと終わりから一つ伝言があって、シエル、君1回死んでるよね?でも本来戻るところに行けずに再びここに顕現した。」
「えっと、ウンディーネです。実はそれで問題が起こっていて、シエルさんとラルクさんに選択を迫れと。」
「...選択、ですか?」
「ええ、まあ残ったのであれですがシルフですわ。赤い羽を持つものはもう、生まれない。つまり帝王はあなたの代で終わりですの。」
それぞれの属性を象徴するような姿、髪の色をしている四大精霊は、イフリート、シルフは、女性の姿だが、ウンディーネは人魚、ノームは手が変形している。
「で、その、選択っていうのは、今すぐ世界を正常にするために、消えるか、不老不死になって、ずーっとこの世界が終わるまで見続けるか。どちらにしろ、その人間もいっしょにね。」
「っ、その選択とは、今すぐでなければ、駄目ですか?」
「うん、すぐ。ここで。」
「...シエル。俺のことはいい、どっちでもシエルについて行く。」
「...ラルク。」
「いやー、迷うよねえ、そりゃあ。だってたった2400年ですら、本当に辛いのに、それに巻き込むとなると。んで、ただ生きるだけじゃない。生きてるからには代償を支払い続けなければならない。シエルはそれだけの力も補填の仕方も知ってるからいいだろうけど、ラルクにはそれがないからねえ。」
「っ!!」
四大精霊の後ろから出てきた金髪の男性。その力は四大精霊以上のもので気を抜けばシエルですら消されそうになっていた。
「あ、僕が始まり。んで、終わりはまた別にいるんだけど、まあどっちでも使えるからあんまり区別化してないけどね。」
「おい、とーちゃん、出てくんなよ、世界潰れそうじゃん。いくら抑えてきたからって、存在そのものが脅威なんだからさー。」
「その中でもギリギリとはいえ守りながら耐えてるシエル。すごいねえ。」
イフリートが父と呼んだそのものは、絶対的な力。これで抑えているのならば普段の力ではシエルもそれに当てられて消え去るという事だ。
「で、あと終わりの方に追加してこいって、言われたんだけど、赤い羽を持つものがいないと、この世界は崩壊する。だから隠されていたとはいえ、この国を作った初代より前から羽を持つものは存在する。歴代の最強帝王シェルバードルシファー。力を使い、世界樹の中に眠る帝王たちの魂を呼び起こし、自らに宿らせ、この世界に秩序をもたらす神となれ。」
「っ、まっ「ラルク!!」」
ラルクの言葉を遮り、シエルが、その始まりの出した条件をのんだ。するとみんな消え、シエルとラルクが残された。
「なんでシエルばっかりそんなことにならなきゃならないの!?おかしいよ!!!」
「...最後のものを飲まなければわれはもちろん世界はあの場で終焉を迎えていた。...ラルク、最後まで付き合ってくれるか?わらわはそれだけあれば、よい。元々世界のための命だ」
「...シエル。わかった。ずっとシエルが死ぬまで一緒にいる。」
「よし、世界樹へ行くぞ。」
シエルとラルクが飛び立ち、世界樹の幹にシエルが触れた。
「世界樹よ!聞け!!お前を全てわらわの中に封じ込める!!!」
「シエル一人だけにはさせない!!」
ラルクもまた世界樹に触れた。
「...ラルク...」
「暴走したら止められるものが必要でしょ?」
ラルクが微笑んで、二人が世界樹に向き直る。
「「さあ!世界樹よ!我らにその力を明け渡せ!!」」
世界樹の葉が枯れ始め、その力がラルクとシエルに流れ出す。
「ぐっ、」
「っ、」
そして世界樹が崩れ、倒れた。
かわりにシエルとラルクの体が光り、シエルが嬉しそうにラルクに抱きついた。
だがただ抱きついただけではない、不老不死以外の世界樹から与えられた力を吸い取った。
だがそれにラルクは気が付かない。
「ラルク、やったな!」
「うん!!」
「...だがもうあの城には入り切らん。」
「え、どうして?」
「室内に篭ればそれだけ力が行き渡らなくなる。世界樹が無くなった今、新たに世界樹のあった場所に神殿を建てる必要がある。世界樹のあった場所は世界の中心点で、エネルギーの巡回を管理する場であるからだ。わらわは世界樹のところにいよう。器が元々デカい分ラルクよりも吸い取っておるからの。ラルクは城のものに伝えてきてくれ。」
「わかった!!」
ラルクが飛んでいくのを見て、シエルはガクッと崩れた。
「はあはあ...っ、きっついのお...。」
「ほー、あんたすごいな。」
「イフリート様...。」
「ああ、いいよ、起き上がんなくて。力は30分もすれば順応する。あの子が戻って来る頃には大丈夫だろ。本当に守りたいものがあるとまた違うだろう?」
「ええ、私にとって...ラルクは、一番の宝ですから。」
「ふーん、まあ、そういうもんなんだろうな。あたしにとってのあいつらみたいにな。」
「...イフリート様」
「合格だってよ、そのままあっちにも吸わせたままだったら滅んでたがな。世界の理を変えることは各世界の神々にも許されていない。人間が、ってか龍とのハーフが、世界樹の力を手にしたらたまったもんじゃないからな。この世界の秩序を保つのは赤い羽を持つものだ」
「...やはり、ハーフでしたか。ラルクは。じゃないとあの魔力は無理ですよね...。」
「まーな。この世界から龍が消えたのも、人間にあいつの母親の龍が殺されたことが理由の一つとしてある。まあ、その龍は龍王の娘なんだと。喧嘩して飛び出して、人間に捕まって、無理矢理子供を作らされて、子供を守って死んだ。残された子供は母親を生き返らせるために古代魔法に手を出した。だがそれで生き返ることは無い。...母親の魂に会わせてやったらどうだ?」
「...既に輪廻に乗ったものを呼び出すのは禁忌では?」
「いや、その輪廻を管理してんのも始まりと終わりだ。そいつらがいいって言ってんだからいいんじゃね?」
「...ありがとうございます。」
「まー、頑張んな。神になればあたしたち四大精霊は避けられない。色んな意味でな。ま、こうやって出てくんのもそんなにある事じゃないからゆっくりやればいい、じゃあな。」
イフリートが消えて、世界樹のあった所にシエルが座ると、そこから一気に波動が放たれた。
それに気がついた民が出てきて、空から降ってくるマナの花びらを手に取っている。
それを見てシエルは微笑んだ。適応の証なのか身体が何倍かでかくなっていて、遠くからでも色んなものが見渡せる。そしてむこうからも見えるのか手を振る子供もいた。
「シエル!ってでっか!」
「おー、ラルクか。おぬしわらわの足の爪ほどしかないの。わらわがでかくなったのだがな。力に順応するためにでかくなったようだ。よっ、」
ぽふん、と人の姿になると、いつも通り、ラルクの方が少しだけ大きい。
「すごいマナの花びらが降ってるね、シエルの力?」
「うむ。やはりここにいないと駄目なようだ。」
シエルが中心点に手を置くと特大魔法陣が展開され、次々に城よりも何倍も大きい神殿が出来た。不思議な光り方をする鉱石で作られた結晶の神殿だ。その光り方はシエルの鱗や目のように、光があたる方向により、色が変わる。
「ラルク、あの城の主におぬしがなって欲しい。わらわはここを離れられぬ。おぬしなら城のものも納得するじゃろ。もちろんこちらにも来るんだぞ。寂しいからの。だが、ここに従者は置けぬ。」
「...わかった。ここにはみんな言わなくても来るよ、お参りとか遊びにとか。みんなシエルのこと大好きだもん」
「ははは、それは嬉しいの、ここには皆が来れるようにしておく。国のものも人間も。」
「うん、じゃあ俺が第一号ってことで!」
「ああ、そうだラルク。母親に会いたくないか?許可がおりておる。」
「!?...会いたい。」
「うむ、では呼び出そう。」
シエルの隣に光の粒子が集まり、透けた女性が現れた。
「...ラルク、大きくなったわね、母さんよ。って言っても覚えてるかしら?」
「覚えてる、覚えてるよ...。」
「ふふ、立派になって...。嬉しい。母さんね、あなたにいくつか謝らないといけないことがあるの。まずは幼くして、一人にさせてしまったこと、それからあなたに伝えなければならないことを伝えずに先に行ったこと。そして父さんのこと。まず私は人間じゃない。龍なの。だから、あなたは人間と龍のハーフで、人より魔力が高い。それゆえに苦労させてしまった。ごめんなさい」
「ううん、いい、何となく分かってたから。それよりもね、守りたいものが出来たから。男勝りで、どこか抜けてるくせに責任感強くて寂しがり屋で、自分だけで全部解決しようとして...」
「ふふっ」
「...ラルク...。」
「そのくせ甘えんぼでかまってちゃんで、でもみんなのことを思ってて優しい竜神なんだ。」
「そうね、なら支えてあげなさい。その竜神様はきっと素敵な方ですよ。...もう、時間ね。ラルク、どんなに強い力でもどんなに強い魔法でも愛には敵わない。だからいっぱいその竜神様を愛して、幸せになりなさい」
「うん」
「...」
ぽわっと最後の光が上がると、ラルクの涙をシエルが舐めとった。
「あ...泣いてたんだ...」
「ああ...いつか転生した時に会えれば良いな。」
「うん、そうだね...。」
ごしごしと涙を拭い、ラルクが中心点の小さな結晶塔に触れた。
「みんな!聞いて!世界樹があった場所に神様がいる。誰でも来れるようになってるから、来てみて。」
それは世界から響き、全ての場所に響いた。
「ラルク、おぬし何故それが連絡塔だとわかった?」
「シエルの力は自由に使えるから」
ラルクが、腕輪をシエルに見せ、シエルは微笑み、竜になり、中心点に鎮座した。
そして幾年もの年月が流れ、神殿には優しい竜神とそれを支える天使がいて、仲睦まじく、世界を見守ったそうだ。
ーーーENDーーー
「おー、よしよし。」
新しく生まれた羽を持つものの子供を連れて守護者のアルが城に来ていた。ラルクはもちろん、全ての従者を謁見の間から離れさせ、城に仕える者達に支障が出ないように、シエルが抑え込んでいた。連れてきたのはこの子供の名前と属性診断のため。王の名前は真名と、通称があり、真名は契約したものが力の暴走を止める力や押さえつける力がある。真名で守護者となる王と契約するのは帝王と、先代である。
だが継承後先代が消えるので、実際はシエルだけが真名を紡ぐ。
「安定しないの。確かにアルと同じ雷を扱うのだが、それに少しだけ氷を纏っておる。だが氷属性は取り上げなければ、短命じゃ。ははは、羽を持つものは皆2つ以上属性を持って生まれるがの。属性を同時に使うのは寿命を縮めるのと一緒だ。守護者が欠けると、世界のバランスが崩れる。」
「陛下」
「分かっておる、真名はカタルフィー。」
魔法陣が赤ん坊を包み、ぽわん、と音が響いた。
「これで先代となったが、どうだ?アル」
「実感はありません。では、その子はフィーと呼びましょう。シエル様の真名を知るものはもうここにはいないのですよね?」
「じゃの。知っておるのはわらわだけ。だが、教えるつもりも言うつもりもないわ。真名は、わらわですら縛りつける。真名を呼ばれたらたまったもんじゃない。」
「...ラルク様ならよろしいのでは?」
「いや、真名は縛りつけると同時にその者の力を奪い、そのものの力になる。器がパンクしかねん。それに真名よりこちらの方がわらわは好きでの。冥途土産に教えてやろうか?真名で縛りつけることが出来るのは自分と同等かそれ以上の存在だけだからの。」
「...そうですね、消える直前に教えて頂けますか?」
「ああ。どちらにせよ最後の継承はここでやるのだからな。フィー。アルをいっぱい困らせてやるといい。」
「あうー。」
シエルがフィーをアルに渡した。
「あと真名には縛りつける以外に緊急で呼び寄せたり、と真名の使い方をまとめた資料をやるから、これを見ながらやるといい。」
「ありがとうございます。」
「フィーも、またあとでの。」
シエルが頭を撫でると雷のブレスの小さいものを出した。これは赤ん坊の嬉しい時にするもので攻撃力などはない。
「よし、氷属性も消えておる。アル、継承中は全ての従者を城からこちら側に引き渡せ。それから、週一でこちらに連れてこい。それで従者との顔合わせなどもさせる。」
「はい」
「では元気での。」
アルが瞬間移動していなくなると、シエルが手を叩いた。すると従者たちがぞろぞろと入ってきた。
「継承中、アルの城のものはこちらに仕えさせる。それゆえ、皆、よろしくの。新たな王となるのはフィー。雷属性を使う。」
「「かしこまりました。陛下」」
「ねえシエル、その子また会えるの?」
「ああ、一週間もすればドラゴンの子は人間の四歳児ぐらいになる。一週間後ここにくる。その時、会えば良い。わらわもアルもいるしの、万が一でも死ぬ事は無い。ちなみに男の子じゃよ。」
「...へえ...」
「シエル様!!大変です!!」
「なんじゃ、慌てて。アレン。」
「よ、四大精霊が、あの、四神がシエル様とラルク様に会いたいと...」
「まさか...皆!すぐに城をでろ!!!いいか!?絶対四神を見てはならん!!!ここからでいい!国のものにも伝えろ!!絶対に外に出るなと!!ラルク!!!わらわとこい!!」
普段とうってかわり、シエルに余裕が無い。
皆慌てて、シエルの指示通りに動き、シエルはぎゅっとラルクの手を握った。
「...ラルク、いいか、こいつらを怒らせてはならん。わらわから絶対離れるな。」
「うん、わかった。」
アレンが指示されたという場所にシエルとラルクが行くと、四大精霊と呼ばれる四神がいた。
「急な呼び出しに応じてくれたこと感謝する。シエル、ラルク。我が名はイフリート。四大精霊のリーダーにして、始まりと終わりを守護するものだ。」
「シエルと申します。こちらがラルク、私の夫です。」
「よろしくお願いします。」
「でねー、僕ノームなんだけどー、その始まりと終わりから一つ伝言があって、シエル、君1回死んでるよね?でも本来戻るところに行けずに再びここに顕現した。」
「えっと、ウンディーネです。実はそれで問題が起こっていて、シエルさんとラルクさんに選択を迫れと。」
「...選択、ですか?」
「ええ、まあ残ったのであれですがシルフですわ。赤い羽を持つものはもう、生まれない。つまり帝王はあなたの代で終わりですの。」
それぞれの属性を象徴するような姿、髪の色をしている四大精霊は、イフリート、シルフは、女性の姿だが、ウンディーネは人魚、ノームは手が変形している。
「で、その、選択っていうのは、今すぐ世界を正常にするために、消えるか、不老不死になって、ずーっとこの世界が終わるまで見続けるか。どちらにしろ、その人間もいっしょにね。」
「っ、その選択とは、今すぐでなければ、駄目ですか?」
「うん、すぐ。ここで。」
「...シエル。俺のことはいい、どっちでもシエルについて行く。」
「...ラルク。」
「いやー、迷うよねえ、そりゃあ。だってたった2400年ですら、本当に辛いのに、それに巻き込むとなると。んで、ただ生きるだけじゃない。生きてるからには代償を支払い続けなければならない。シエルはそれだけの力も補填の仕方も知ってるからいいだろうけど、ラルクにはそれがないからねえ。」
「っ!!」
四大精霊の後ろから出てきた金髪の男性。その力は四大精霊以上のもので気を抜けばシエルですら消されそうになっていた。
「あ、僕が始まり。んで、終わりはまた別にいるんだけど、まあどっちでも使えるからあんまり区別化してないけどね。」
「おい、とーちゃん、出てくんなよ、世界潰れそうじゃん。いくら抑えてきたからって、存在そのものが脅威なんだからさー。」
「その中でもギリギリとはいえ守りながら耐えてるシエル。すごいねえ。」
イフリートが父と呼んだそのものは、絶対的な力。これで抑えているのならば普段の力ではシエルもそれに当てられて消え去るという事だ。
「で、あと終わりの方に追加してこいって、言われたんだけど、赤い羽を持つものがいないと、この世界は崩壊する。だから隠されていたとはいえ、この国を作った初代より前から羽を持つものは存在する。歴代の最強帝王シェルバードルシファー。力を使い、世界樹の中に眠る帝王たちの魂を呼び起こし、自らに宿らせ、この世界に秩序をもたらす神となれ。」
「っ、まっ「ラルク!!」」
ラルクの言葉を遮り、シエルが、その始まりの出した条件をのんだ。するとみんな消え、シエルとラルクが残された。
「なんでシエルばっかりそんなことにならなきゃならないの!?おかしいよ!!!」
「...最後のものを飲まなければわれはもちろん世界はあの場で終焉を迎えていた。...ラルク、最後まで付き合ってくれるか?わらわはそれだけあれば、よい。元々世界のための命だ」
「...シエル。わかった。ずっとシエルが死ぬまで一緒にいる。」
「よし、世界樹へ行くぞ。」
シエルとラルクが飛び立ち、世界樹の幹にシエルが触れた。
「世界樹よ!聞け!!お前を全てわらわの中に封じ込める!!!」
「シエル一人だけにはさせない!!」
ラルクもまた世界樹に触れた。
「...ラルク...」
「暴走したら止められるものが必要でしょ?」
ラルクが微笑んで、二人が世界樹に向き直る。
「「さあ!世界樹よ!我らにその力を明け渡せ!!」」
世界樹の葉が枯れ始め、その力がラルクとシエルに流れ出す。
「ぐっ、」
「っ、」
そして世界樹が崩れ、倒れた。
かわりにシエルとラルクの体が光り、シエルが嬉しそうにラルクに抱きついた。
だがただ抱きついただけではない、不老不死以外の世界樹から与えられた力を吸い取った。
だがそれにラルクは気が付かない。
「ラルク、やったな!」
「うん!!」
「...だがもうあの城には入り切らん。」
「え、どうして?」
「室内に篭ればそれだけ力が行き渡らなくなる。世界樹が無くなった今、新たに世界樹のあった場所に神殿を建てる必要がある。世界樹のあった場所は世界の中心点で、エネルギーの巡回を管理する場であるからだ。わらわは世界樹のところにいよう。器が元々デカい分ラルクよりも吸い取っておるからの。ラルクは城のものに伝えてきてくれ。」
「わかった!!」
ラルクが飛んでいくのを見て、シエルはガクッと崩れた。
「はあはあ...っ、きっついのお...。」
「ほー、あんたすごいな。」
「イフリート様...。」
「ああ、いいよ、起き上がんなくて。力は30分もすれば順応する。あの子が戻って来る頃には大丈夫だろ。本当に守りたいものがあるとまた違うだろう?」
「ええ、私にとって...ラルクは、一番の宝ですから。」
「ふーん、まあ、そういうもんなんだろうな。あたしにとってのあいつらみたいにな。」
「...イフリート様」
「合格だってよ、そのままあっちにも吸わせたままだったら滅んでたがな。世界の理を変えることは各世界の神々にも許されていない。人間が、ってか龍とのハーフが、世界樹の力を手にしたらたまったもんじゃないからな。この世界の秩序を保つのは赤い羽を持つものだ」
「...やはり、ハーフでしたか。ラルクは。じゃないとあの魔力は無理ですよね...。」
「まーな。この世界から龍が消えたのも、人間にあいつの母親の龍が殺されたことが理由の一つとしてある。まあ、その龍は龍王の娘なんだと。喧嘩して飛び出して、人間に捕まって、無理矢理子供を作らされて、子供を守って死んだ。残された子供は母親を生き返らせるために古代魔法に手を出した。だがそれで生き返ることは無い。...母親の魂に会わせてやったらどうだ?」
「...既に輪廻に乗ったものを呼び出すのは禁忌では?」
「いや、その輪廻を管理してんのも始まりと終わりだ。そいつらがいいって言ってんだからいいんじゃね?」
「...ありがとうございます。」
「まー、頑張んな。神になればあたしたち四大精霊は避けられない。色んな意味でな。ま、こうやって出てくんのもそんなにある事じゃないからゆっくりやればいい、じゃあな。」
イフリートが消えて、世界樹のあった所にシエルが座ると、そこから一気に波動が放たれた。
それに気がついた民が出てきて、空から降ってくるマナの花びらを手に取っている。
それを見てシエルは微笑んだ。適応の証なのか身体が何倍かでかくなっていて、遠くからでも色んなものが見渡せる。そしてむこうからも見えるのか手を振る子供もいた。
「シエル!ってでっか!」
「おー、ラルクか。おぬしわらわの足の爪ほどしかないの。わらわがでかくなったのだがな。力に順応するためにでかくなったようだ。よっ、」
ぽふん、と人の姿になると、いつも通り、ラルクの方が少しだけ大きい。
「すごいマナの花びらが降ってるね、シエルの力?」
「うむ。やはりここにいないと駄目なようだ。」
シエルが中心点に手を置くと特大魔法陣が展開され、次々に城よりも何倍も大きい神殿が出来た。不思議な光り方をする鉱石で作られた結晶の神殿だ。その光り方はシエルの鱗や目のように、光があたる方向により、色が変わる。
「ラルク、あの城の主におぬしがなって欲しい。わらわはここを離れられぬ。おぬしなら城のものも納得するじゃろ。もちろんこちらにも来るんだぞ。寂しいからの。だが、ここに従者は置けぬ。」
「...わかった。ここにはみんな言わなくても来るよ、お参りとか遊びにとか。みんなシエルのこと大好きだもん」
「ははは、それは嬉しいの、ここには皆が来れるようにしておく。国のものも人間も。」
「うん、じゃあ俺が第一号ってことで!」
「ああ、そうだラルク。母親に会いたくないか?許可がおりておる。」
「!?...会いたい。」
「うむ、では呼び出そう。」
シエルの隣に光の粒子が集まり、透けた女性が現れた。
「...ラルク、大きくなったわね、母さんよ。って言っても覚えてるかしら?」
「覚えてる、覚えてるよ...。」
「ふふ、立派になって...。嬉しい。母さんね、あなたにいくつか謝らないといけないことがあるの。まずは幼くして、一人にさせてしまったこと、それからあなたに伝えなければならないことを伝えずに先に行ったこと。そして父さんのこと。まず私は人間じゃない。龍なの。だから、あなたは人間と龍のハーフで、人より魔力が高い。それゆえに苦労させてしまった。ごめんなさい」
「ううん、いい、何となく分かってたから。それよりもね、守りたいものが出来たから。男勝りで、どこか抜けてるくせに責任感強くて寂しがり屋で、自分だけで全部解決しようとして...」
「ふふっ」
「...ラルク...。」
「そのくせ甘えんぼでかまってちゃんで、でもみんなのことを思ってて優しい竜神なんだ。」
「そうね、なら支えてあげなさい。その竜神様はきっと素敵な方ですよ。...もう、時間ね。ラルク、どんなに強い力でもどんなに強い魔法でも愛には敵わない。だからいっぱいその竜神様を愛して、幸せになりなさい」
「うん」
「...」
ぽわっと最後の光が上がると、ラルクの涙をシエルが舐めとった。
「あ...泣いてたんだ...」
「ああ...いつか転生した時に会えれば良いな。」
「うん、そうだね...。」
ごしごしと涙を拭い、ラルクが中心点の小さな結晶塔に触れた。
「みんな!聞いて!世界樹があった場所に神様がいる。誰でも来れるようになってるから、来てみて。」
それは世界から響き、全ての場所に響いた。
「ラルク、おぬし何故それが連絡塔だとわかった?」
「シエルの力は自由に使えるから」
ラルクが、腕輪をシエルに見せ、シエルは微笑み、竜になり、中心点に鎮座した。
そして幾年もの年月が流れ、神殿には優しい竜神とそれを支える天使がいて、仲睦まじく、世界を見守ったそうだ。
ーーーENDーーー
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