猫舌ということ。

結愛

文字の大きさ
13 / 183
出会い

第13話

しおりを挟む
鹿島は少し戸惑いながら
「お邪魔しまーす」
と言い玄関で靴を脱ぐ。
「どおぞ~」
僕は一足早く靴を脱いで廊下を進む。
「あ、そこ左に折れたら洗面所だから」
「オッケー」
そう言うと僕はリビングへの扉を開き、キッチンへ行く。
鹿島に洗面所を使わせるため僕はキッチンのシンクで手を洗いうがいを済ませる。
手をキッチンの下の棚の扉の側面にかかっているタオルで拭く。
リビングのソファーへ向おうとすると洗面所から
「タオルどれ使えばいいー?」
と少し大きめの声で僕に尋ねてきた。
「青と白のストライプのやつオレのだからそれ使ってー」
僕も少し大きめの声で鹿島に返す。ソファーに鞄を置きポケットからスマホを取り出す。
スマホの電源を入れ、今までは着信音や
バイブレーションも出ないサイレントモードにしていたのを
着信音が出るモードに変える。すると後ろから
「よくわかんなかったから妹ちゃんのタオル使った」
「妹に言っとくわ」
「嘘嘘嘘!冗談やんかぁ~兄貴ぃ~」
「テキトーに寛いどいて」
そう言ってダイニングテーブルにスマホを置きキッチンへ向かう。
「テレビつけて良い?」
「おう。鹿島ー牛乳、四ツ葉サイダーソラオーラココティー、どれがいい?」
そう冷蔵庫の扉を開け中を見たまま鹿島に聞く。
「オーラ!」
テレビから流れるニュースのキャスターさんの声から抜け出るように鹿島が答えた。
僕は返事をせずにソラオーラを取り出し、冷蔵庫の扉を閉じる。
キッチンにソラオーラを置き、食器棚からグラス2つを1つずつ手に取り
1つずつキッチンに置く。
「氷はー?」
「あんま冷たくならない程度でー」
「ムズっ」
考えた挙句、自分のグラスには2つ。
鹿島のグラスには氷を入れずにそれぞれのグラスにソラオーラを注ぐ。
注ぎ終え白のキッチンに置いた一際目立つ赤いキャップを手に取り
ソラオーラのペットボトルの注ぎ口を締める。
冷蔵庫の扉を再び開き、ソラオーラを元の位置に戻す。
そして両手でそれぞれのグラスを持ち、鹿島の元へ移動する。
鹿島はソファーの左の端に座っており、僕は鹿島の背後の右側から腕を伸ばし
「ん。テーブル置いて?」
と鹿島に2つのグラスを渡す。
「あ、あんがと。どっちオレ?」
「氷入ってない方」
「あ、そうなのね」
なにか言いたげな、でもそうでもなさそうな口調だったので
「冷蔵庫で冷えてたから氷入れなかったよ。
「あんま冷たくしないでぇ~」って言ってたから」
とちょっと茶化した口調で言った。
それを聞き鹿島はグラスに口をつけ、ソラオーラを1口飲む。
「んんっ!ちょうど良い!」
振り返り僕の顔を見てそう言うと、グラスをローテーブルに置いた。
僕は右側から回り込み、ソファーの右端に腰を下ろす。
「そういえばここほんとに怜ちゃんち?」
とんでもないことを聞いてきた。
「は?なんで?」
「いや扉前でコソコソしてたし」
「そのあとちゃんと鞄から鍵出したろ」
「あ、そっか」
納得しかけた鹿島が腕を組み、考え込むように前傾姿勢になりさらに続ける。
「いや、どっかで盗んだのかも」
「…」
「怜ちゃん?」
僕は思い詰めた顔を鹿島に見せ、声のトーンを落としこう言った。
「実はな…ここオレの好きな人の家なんだよ。
電車でたまたま見かけて一目惚れして、尾けてきたらこの家でさ。
ある日その子が駅で鍵落としてさ。その鍵拾って鍵屋に行って合鍵作って今に至るんだ」
「怜ちゃん…」
ドン引きしている顔の鹿島と思い詰めた表情で目を合わせる。
2~5秒経ったあと2人同時に笑い合った。
「怜ちゃんよくそんな嘘、詰まることなくスラスラ出てきたね」
「鹿島も引いてる顔わざとらし過ぎ。芸能人になっても演技の仕事は来ないわ」
ニュースの音声がBGMになり2人だけど2人じゃないような
その場がパッっと明るくなったような
もしオーラが見えるならきっと黄色で包まれているだろう。そんな感覚でいた。
リビングは2人の笑い声で包まれていた。
「あ~あ笑う笑う。で?あれなんだったの?」
鹿島が話を戻す。
「いやね、母親がいるかもしれなかったから」
「な る ほ ど ね?」
「そうそう」
そう言い僕はグラスを手に取り、ソラオーラを1口飲み、ローテーブルにグラスを戻す。
「そういや何時からなん?」
「あぁ、飲み?6時半くらいから入れるらしいよ」
「んー…まだ大丈夫か」
そう言いテレビのリモコンを手に取る。録画された番組の一覧を開く。
「百舌鳥の番組多っ!」
鹿島が割と大きな声で指摘する。
「うちの家族百舌鳥大好きなのよ」
「まぁ面白いけどさ?下ネタエグくね?」
「下ネタエグいのは1人で見てる」
そう言いながらリモコンを操作し、テレビ百舌鳥の1つを再生する。
「たとえばこれとかね?」
その回はタイコズキッチンという
百舌鳥の太鼓さんが料理をするというだけの企画なのだが
ちょいちょい下ネタが挟まっている。
「この回見たわぁ~鬼笑ったわ」
そう言いながら2人で見た。終始笑ってあっっという間に25分が過ぎた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

処理中です...