猫舌ということ。

結愛

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動き

第55話

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自分の家が見え扉の前でバッグから鍵を取り出そうとし
一旦やめドアノブに手をかけ扉を引く。するとガッチャンと扉が開いた。
僕が靴を脱いでいると奥から母が顔を出し
「おかえり~」
と言ってくれた。
「ただいま」
そう言って靴の向きを整える。イヤホンを耳から出し肩にかける。
ポケットからスマホを出し電源を入れ、ロック画面で音楽を停止する。
僕はシューズボックスの上にバッグとスマホ、イヤホンを置き
洗面所に向かい、手を洗い、うがいを済ませる。
シューズボックスに置いた荷物一式を持ち、階段を上る。
母と父の部屋を過ぎ、妹の部屋に差し掛かったところで妹の部屋の扉が開いた。
中から部屋着姿の妹が出てきた。
「あ、お兄ちゃんおかえり」
「おん。ただいま」
と妹を先に行かせるように避ける。
「お、悪いねぇ~」
「可愛い妹だからな」
「ふっ、キモッ」
と笑いながら過ぎる。僕は自分の部屋のドアノブに手をかけ、扉を押して中に入る。
アクセサリーケースの置いてあるテーブルにバッグとスマホ、イヤホンを置き
手先の感覚だけでピアスを外す。そしてアクセサリーケースを取り
今つけていたピアスを入れ、ファーストピアスを取り出し
これまた手先の感覚だけで耳につける。パーカーを脱ぎ、ベッドに投げる。
パーカーの下に着ていたTシャツも脱ぎ丸めてベッドに投げる。
テキトーなTシャツを着て、その上に部屋着のパーカーを着る。
ジーンズを脱ぎ、足でつまみ手に渡す。
パーカーに下は下着のパンツ姿でジーンズを畳み、パンツをしまっている引き出しにしまう。
ベッドにくしゃくしゃにしていたグレーのスウェットパンツを履き
背中からベッドにダイブする。真っ白な天井が視界一杯に広がる。
「天井の染みを数えて…」なんてよく聞くけど
染みがない場合の決まり文句はなんなんだろう。なんて思ったりしていると
ドアが勢いよく開く。やましいことはなにもしていないが
心臓が海外のアニメ、カートゥーンのように
飛び出てしまうんじゃないかと思ってしまうくらい跳ねた。
その飛び跳ねた心臓に釣られて身体も少し浮いたんじゃないかと思ってしまう。
開かれたドアのほうを見る。するとそこに立っていた妹が
「お兄ちゃんなんて顔してんの」
と笑う。
「ビックリしてんだよ。ノックくらいしろ?」
「なに?エロいことでもしてたん?」
「帰ってきてすぐするわけねぇだろ」
「今日お父さん遅いから先ご飯にするって」
「もう行ったほうがいいの?」
「うぅ~ん。まだできてないけど、すぐできるだろうからリビングいれば?」
「オッケー。わかった。行くわ」
そう妹に声をかけると妹は部屋を出ていった。
僕は起き上がりベッドに座る。「よいしょ」と声を出し立ち上がる。
バッグの横に置いていたスマホをスウェットパンツのポケットに入れ、部屋を出る。
階段を下りる。リビングのほうからテレビの音が廊下まで漏れている。
リビングの扉を開けるとその音が少し鮮明に少し大きくなる。
「今日お父さん遅くなるから」
と言う母の言葉を遮るように
「夢香から聞いた」
と言う。すると
「あ、そう?」
と言い料理に専念する母。妹はソファーに座りテレビを見ながらスマホをいじっていた。
妹がいるから
ダイニングテーブルのイスに座ろうかと思ったが
お尻に良い思いをさせてやろうとソファーに座ることにした。
妹は右端で背もたれの角に寄りかかっていたので僕は左端に座り
四角い背もたれのないソファーのようなオットマンともスツールとも呼ばれるものに
足を伸ばし背もたれに寄りかかった。ポケットからスマホを出し電源をつける。
妃馬さんからのLIMEの通知。つい爪先が伸びてしまった。
爪先が伸びてしまったことに気づき、それを指摘されるかと思い妹のほうをチラッっと見る。
妹はスマホをいじっていて全く気づいた様子はなかった。
僕は足首をクルクル回しながら
LIMEのアプリを開き、妃馬さんとのトークルームに足を踏み入れる。

「嫌なわけないですよ!ぜひまた“怜夢さんから”誘ってくださいね!w」
「そんな!悪いですって」

そのメッセージの後に猫が慌てている様子のスタンプが送られていた。
僕は嬉しさをひた隠し、いつもの表情でテレビをチラッと見る。
UFOUMA特集の番組だった。おもしろそうでつい見入ってしまいそうになるが
妃馬さんへの返信を優先させるように脳が働いた。

「嬉しい言葉。ありがとうございます。
まぁ?今回は僕が勇気出して誘ったし?
次はぜひ妃馬さんから誘ってほしいなぁ~(/ω・\)チラッ」
「いえ、お嬢様を送らせていただくのが私の勤めでございますので」

その後にフクロウが紳士のようにお辞儀をしているスタンプを送った。
スマホを目の前のローテーブルに置いて、テレビのUFOUMA特集を見る。
「お兄ちゃんてこーゆーの好きだよねぇ~」
「うん。まぁ好きっていうか興味があるって感じ?」
「お母さんも好きだよね」
「たしかに。思い返せば、こーゆー特集やってるとき
必ずと言っていいほどそのチャンネルになってるし、レコーダーも赤く光ってるわ」
そう言い終わったあと妹と顔を見合わせ、同時にテレビの下のレコーダーを見る。
赤く光っていた。
「撮ってるわ」
「撮ってるな」
妹と顔を見合わせていると
「ご飯できたよー」
と背後から母の声が聞こえた。
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