猫舌ということ。

結愛

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新鮮な日々

第118話

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改札を通り、帰ろうとする。そのときふと森本さんとの会話を思い出す。

「へぇ~。じゃあ何田川もよく通ります?」
「あぁ、もちろん。駅下りたらすぐですからね」
「あそこ6月頃になると提灯ぶる下がってるじゃないですか」
「あぁ~はいはい。ありますね」
「あれなにか知ってます?」
「え、あぁ~。言われてみると知らないっすね」
「マジですか?知ってるかと」
「森本さんも知らないんすか」
この会話をし出したのに知らないということが少しおかしく半笑いになってしまった。
「いや知ってます」
「え、あぁ知ってんすか」
「あれほたる祭りの提灯だそうですよ」

駅下りてすぐの何田川沿いを歩く。5月。まだ空は明るい。
大通り沿いの車の音。それが気にならなくなる川のせせらぎ。
いつもすぐそこにあったのに気にも留めていなかった。
川のせせらぎといっても水面はすごく下にある。
なのになぜか感じる自然の川ってほどの川の音ではないけど確実に聞こえる川の音。
川の香り。正直川の水は綺麗とは言い難い。しかし、汚くもない。
中学、高校の頃は「亀がいるー」とか「鯉がいるー」だとか言われていたけど
今覗いても生物は見当たらない。ベンチに腰かける。
中学、高校の頃は友達たちとこのベンチに座ったり
このベンチを囲んで学校終わりに駄弁っていた。彼女とも一緒に座っていた。
そんな思い出を脳で投影して、目で追うように思い出す。
大通り沿いで車の音は気にならないが
さすがに電車の音は大きく、気にしないほうが難しかった。
青春の思い出は流れずにその場に留まっているんだと感じ
勝手に感慨深くなってニヤける。スマホを出す。
妃馬さんからの通知がある。グループLIMEの通知はなかった。

「鹿島さんと小野田さんのニャンスタゲットしました!」

そのメッセージの後に猫が綿棒の入っているような円柱を持って
「GETだぜ!」と言っているスタンプが送られていた。
「ポシェモン」
と呟き笑う。通知をタップし、返信を打ち込む。

「ポシェモンですか?wてかそんなアイツらの知りたかったんですか?w」

その後に僕もフクロウが綿棒の入っているような円柱を持って
「GETだぜ!」と言っているスタンプが送った。
ポシェモンは有名すぎて、スタンプにもそれを模して
モンスターポールを持って「GETだぜ!」と言っているものが数多く存在していた。
トーク一覧に戻り、グループLIMEのトーク画面に入る。

「ニャンスタ全然見るのなくてアプリ入れてる意味もわかんなかったですけど
皆さんのお陰で楽しみができました」

と送った。するとすぐに既読が2つつく。学生のクラスLIME以来のこの感じ。
やっぱりどこか好きで、学生の頃を思い出し、どこかで少し寂しさも感じていた。
トーク一覧に戻り、電源を消そうとしたが、すぐに返信が来る。もう一度入る。

「皮肉っすか?暑ノ井さん皮肉っすか?」

「違う違う」
と半笑いで呟きながらも返信を打ち込む。

「違います違いますw」
「たしかに森もっさんの投稿は楽しみなんよなww」
「わかるわかるwフィンちゃんの投稿なんかスカッとするw」
「姫冬様?鹿島さん?」
「はい。すいません」
「さーせんした」

なんかこういう流れができているみたいで笑ってしまった。
スマホの電源を切り、ポケットにしまい、ベンチから立ち上がって帰り道を歩き出す。
家周辺の景色になり、玄関の扉を開ける。
いつも通り手洗いうがいをして、自分の部屋に戻って、部屋着に着替える。
洗濯物を洗濯籠に入れ、リビングへ行く。父が帰ってくるまで母や妹と談笑したり
スマホをいじったり、テレビを見たりして、父が帰ってきて家族全員で夜ご飯を食べる。
各々タイミングでお風呂に入り、各々のタイミングで部屋に戻る。
自分の部屋の電気をつけ、扉を閉める。
ベッドに腰を下ろし、ポケットからスマホを出し、ホームボタンを押す。
妃馬さんからの通知に加え、鹿島、匠、僕、3人のグループLIMEの通知が
複数件来ていた。まずは妃馬さんの通知をタップし、トーク画面へ飛ぶ。

「ポシェモンひさしぶりにやろうかなw
まぁ仲良い皆さんのは知っておきたいじゃないですか」

そのメッセージの後にまたポシェモンのように
猫が「GETだぜ!」って言っているスタンプが送られていた。

「ポシェモンおもろいっすよ。相変わらず可愛いし。まぁ~そういうもんっすかねw」

その後僕もポシェモンのように
フクロウが「GETだぜ!」って言っているスタンプを送った。
「ポシェモンかぁ~オレもやろうかな」
そう呟きながら今度は鹿島、匠、僕、3人のグループLIMEのトーク画面に入る。

「なんで急に妃馬さん、オレらのアカウント知りたがったん?」
「知らん。どうせ怜夢だろ」
「それなー」
「てかさ、姫冬ちゃんイメージで描けるもんなの?」
「まぁ~…。ムズイってか、今までは完全?オリジナルで描いてたから
誰かをモデルにとかはやったことないんよな。
だからまぁ、うまく描けるかはマジでわからん」
「なんで完全に「?」つけてんの?」
「いやオレはオリジナルのつもりだけど、似たキャラがいるかもだから」
「あぁ~なるほどね」
「てかどうすん?姫冬ちゃんの顔知らないんじゃない?」
「こないだテレビ電話で見たし、ニャンスタにも写真ある」
「そっかそっか」
「まぁ先輩がニャンスタの写真見ながら
自分モデルにしてキャラ描いてるってマジキモ案件だけどな」
「まあねwwwwwでもあれじゃない?ただしイケメンに限るってやつだろ」
「じゃあ、オレは平気か」
「自分で言っていくスタイルーw」
今や当たり前の光景になってしまったが
鹿島と匠がずっと友達だったように仲良くやり取りしているのを見ると
自然と口角が上がり、僕も参戦したくなって、スマホのキーボードをタップする。

「誰のせいだって?」

送信ボタンをタップする。すぐ既読が1つつく。

「怜ちゃんよ怜ちゃん。どうせ妃馬さんとニャンスタの話でもしてたんでしょ」

そう鹿島に言われて思い出すがどんな流れでその話になったのかが本当に思い出せない。

「ごめん。なんでそんな話になったのかマジで全然思い出せんw」

既読が1つつき「既読」の横の「1」が時間差で「2」に変わる。

「おいぃ~。なんで忘れんねん」
「ごめんごめんwマジでどんな流れで
鹿島と匠の2人のニャンスタの話になったのかわからんw」
「あれじゃないの?怜夢が森本さんとか音成のアカウント知らないなって話が先で
その話の流れじゃないの?」
「おぉ~匠ちゃん名探偵」
「いや、たぶん違うわ」
「違うんかい」
「そうだったら「あ!そうだったー」ってなるから」
「思い出せないだけだろ」
「そうともゆー」

3人でなんでもない話をしていると鹿島からグループ通話がかかってくる。
匠と僕もすぐに入った。
「明日映画行く人ー!」
鹿島の唐突な提案に匠も僕も無言だった。
「え?おーい。もしもーし」
「あぁごめんごめん。唐突すぎて」
「そうそう。え?映画?」
「そう映画。ロナン見ませんかーって」
「どした?急に」
「あ、森本さん?」
「あぁ~そーゆーこと」
納得してニヤける。
「まぁ~…半分正解?」
「なに半分って」
「いや、半分ってか、まぁそれも正解的な?」
「複数正解がある問題なん?」
「というかあれ。森もっさんたちも3人で見るわけでしょ?」
「だね」
「らしいね」
「みんなロナンの話できたほうがいいでしょ。ってなったらこっちも3人で見ようぜって話」
「あぁ~お前らのためでもあるぞと」
「んん~まぁそうね」
「明日ー?」
「うん。なんか予定あった?」
「ないけどー。何時?」
「何時。そうだな~まぁ昼過ぎは確定でしょ」
「当たり前」
「確定」
「ふふっ」
鹿島が笑う。
「なにわろとんねん」
「いや、2人ともヤベーなって」
「「お前もな」」
匠とハモる。
「んで、まぁどうしようかなって。
ちょっと調べたら4時とかその後だと7時とかからもやってるっぽいよ」
「あぁ~いい時間ね」
「そうね」
「そうなると夜飯も行きますか?って話になるわけよ」
「はいはい」
「なるほどね」
「行けますか?って話」
「オレは行けるよ」
「オレも別に行ける」
「おぉ~。じゃあ行きますか明日」
「いよー」
「いくかー」
「夜はまぁテキトーに居酒屋でも入って食べるか」
「いいんじゃない?別にファミレスでもいいし」
「うん。テキトーでいいと思う。そのとき食べたいもので」
その後流れで金太郎電鉄の実況を撮り、4時に眠りに就いた。

いつも通り9時に妹に起こされ朝ご飯を食べて、部屋に帰って早めの昼寝をする。
またお昼ご飯前に妹に起こされ、リビングで家族とお昼ご飯を食べる。
14時過ぎには鹿島も匠も起きたらしく、鹿島、匠、僕の3人のグループLIMEの通知が来て
結局前日に鹿島が言っていた4時からというのが15時45分からの上映で
急げば間に合いそうだったが3人とも次のでいいよということになり
その次の18時30分からの回に行くことにした。
家族、主に母に夜出掛けること、夜ご飯は外で食べることを伝え
少し早いが部屋に戻って行く準備をする。
ピアスをただのリングピアスに変え、服もテキトーに着替える。
財布にお金を入れて、スマホと財布をジーンズのポケットに入れ、手ぶらで家を出る。
真新宿駅の西口で待ち合わせをして、全員が集まったのが18時前。
キラデリーに移動してチケットを買う。
「劇場版名探偵ロナン 真夏に輝く氷塊」
その後飲み物や映画といえばのポップコーンを買う。僕は自慢げに
「ここSanta(サンタ)のメロンソーダあんねん」
と言ってみせた。匠は「へぇ~」とあまり関心せず
いつも通りソラオーラを頼んだが、鹿島は
「おぉ!マジだ!」
と目を輝かせ悩んでいた。僕はSanta(サンタ)のメロンソーダ
悩んでいた鹿島は結局Goo(グー)のすっきり白ぶどう
匠は相も変わらずソラオーラを頼んだ。ちなみにポップコーンはキャラメル味だ。
匠がポップコーンを抱える。映画が始まる前から3人でパクパクつまむ。
映画を見終えた人たちが出てきて、今度は僕たちが入場する番となる。
ゲートにいる係員さんにチケットを渡し
係員さんがチケットを切り取り線から切り外し、半券を渡してくれて中へ入る。
エスカレーターを何度も乗り継ぎ、僕たちがロナンを見るシアターへ入る。
3人横並びでシートに座る。なんだか不思議な感じがする。
先にシートに座ると奥に座る人が前のシートの背もたれと
僕たちの膝の間を申し訳なさそうに通る。僕たちもなるべく膝を引っ込める。
さすがは国民的アニメ。シアター内は賑わっていた。
「さぁ~て、ここにいる何割がガチ勢でしょうか」
「1割」
「3割」
「意外とロナンはガチが多いからオレは半分とみた」
そんな答えの出ない話し合いをする。
匠がドリンクホルダーに置いてある鹿島の飲み物のストローに口を近づけ
Goo(グー)のすっきり白ぶどうを飲む。
「ちょ!匠ちゃん!そっちオレのやつ」
「うん。知ってる」
「わざとかい」
「うん。うまい」
「そうなのよ!やっぱGoo(グー)ってうまいよね」
「怜夢飲ませて」
僕は匠にSanta(サンタ)のメロンソーダを渡す。匠が僕の飲み物のストローをくわえる。
「んん!んまい!ん。ありがとう」
「はいはーい」
匠から飲み物を受け取った瞬間、鹿島の顔がストローに近づき
鹿島がストローをくわえ、Santa(サンタ)のメロンソーダを飲む。
「おい」
「んん!うまいわ!やっぱみんな違うとシェアできるからいいよね!
あぁ良かったぁ~同じのにしないで」
ドリンクホルダーに飲み物を戻し
「いただきっ」
お返しとばかりにドリンクホルダーに入っている鹿島の飲み物の顔を近づけ
ストローをくわえて、Goo(グー)のすっきり白ぶどうを飲む。
ぶどうより上品な感じのする香りが鼻から抜ける。
甘さも甘すぎることはなく、口に残らない甘さだった。
名前の通り、すっきりした白ぶどうだった。
そんなことをしているとシアター内の照明が少し暗くなり
映画鑑賞時の注意事項の説明の映像が流れ
もう一段階照明が暗くなり、様々な映画の予告が流れ始める。予告が終わり、ロナンが始まる。
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