猫舌ということ。

結愛

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旅の始まり、旅の終わり

第161話

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怖い話といっても滅多に実体験などなく
音成や鹿島は聞いたことのある話、妃馬さんや森本さんはネットで検索した話を
僕はクイズ形式で意味のわかると怖い話のアプリの中の1話を読んでみんなで考えてもらった。
「まあ、実体験なんて滅多にないよねぇ~。じゃ次匠ちゃんね」
と鹿島が匠に振った。
「まあ、たしかに実体験ってなかなかないよね。
これもオレが体験した話ではないんだけど、でも知り合いの人が実際に体験した話なんだ」
と匠自身の実体験ではないものの、匠の知り合いの実体験だという。その話をし始めた。
「これね、知り合いの「青空」って書いて「そら」っていう人が体験した話。
ある日その青空さんが友達と待ち合わせしてたんだって。仮に友達をAくんBちゃんとするね。
Aくんが男の人、Bちゃんが女の人ね?でその2人と待ち合わせしてたんだけど
待ち合わせ場所についてもAくんもBちゃんもいなくて
3人のグループLIMEに「ついたよー」ってLIMEしたんだって。
そしたらAくんから「ごめん!どこどこに変更で!すまん!」ってLIMEが来て
青空さんもBちゃんも「おいマジかよ~」的な返信をして
変更された場所に向かおうとしたとき、どこからともなく着信音が聞こえてきたんだって。
「どこぞの誰か、電話ですよ~」って思って周りを見渡したら
道路を挟んで反対の歩道には人は歩いてたけど、青空さんの周辺に人はいなかったんだって。
でもその着信音は青空さんの近く、植木の辺りから聞こえたらしいの。
んで青空さんはその着信音のするほうへ歩いて行ったら
植木の低木の葉っぱの隙間から光る画面が見えたんだって。
「あ、誰かの落とし物だ」って思って
青空さん優しいから「持ち主困ってるだろうな」って思って
スマホを拾って電話に出たんだって。
細かいことだけど、誰のスマホかわかんないから耳にはつけずにスピーカーにしたらしい。
そしたら
「あ、もしもし~?」
って女性の声がしたらしいの。
「あ、もしもしぃ~。このスマホ落としました?」
って聞いたら
「すいません。父が私に届けようとしてくれたらしいんですけど、落としてしまったらしくて」
「あ、そうだったんですね。どこどこに落ちてましたよ」
って言ったら
「申し訳ないんですけど、私今動けなくて、届けていただくことは可能でしょうか?」
って言われたらしいの。
内心「え、マジか。あいつらとの待ち合わせもあるしな」って思ったのと同時に
「待ち合わせ場所急遽変更になったし、少しくらい遅れてもなにも言われないだろ」って思って
「いいですよ」って了承したんだって。そこから
「どこどこからだと○○コンビニのほうの横断歩道を渡ってもらって」
とか道案内が始まったんだって。その案内通りに進んでいったんだって。
そしたらね、○○墓地の入り口に着いたらしいんだ。
なんかその時点で怖かったらしいんだけど、お昼ってこともあったし
「お墓参りに行った人が落としたんだ」と思って墓地内に入っていったんだって。
お盆の時期じゃないし、見渡す限り、墓地内に人はいなかったらしい。
でもその電話してる女性の指示通り進んでいったら
お墓に花を供えてお線香に火をつけてる男性がいたんだって。
「あ、今お線香に火をつけてるのが私の父です。
父にこのスマホ渡してください。わざわざ届けてくれてありがとうございます」
って言って電話が切れちゃったんだって。
「え?」って思いながらも目を瞑りお墓に向かって手を合わせている男性に
「すみませーん」って声をかけたんだって。
そしたらお盆でもないのにお墓にいる人が珍しかったんだろうね。少しビクッってした後に
「はい?どうしましたか?」
って言われたから
「このスマホ、落とされたと」
ってスマホを差し出したんだって。そしたら
「あ、このスマホ!ありがとうございます!大事なもので。どこに落ちてましたか?」
って言われたから
「あぁ、そうだったんですね。どこどこに落ちてましたよ」
って言ったら、少し不思議そうな怪訝そうな顔をして
「…失礼ですけど、どうして私が落としたと?」
って聞かれたから
「あ、いや、娘さんが電話してきて、私の父が落としたので届けていただけませんか?
って頼まれて、娘さんの案内で」
って説明したらハッってした顔をした後に怒ったような表情になって
「失礼だけどキミ、からかっているのか?」
って言われたから「は?届けてやったのに」って思ったけど、その気持ちをグッっと堪えて
「いえ」
とだけ言ったんだって。そしたら
「うちの娘、○○とは知り合いかい?」
って聞かれたから
「いえ、知りません」
と答えたら、そのお父さんが急に泣き出して
「っ…ごめんね…。失礼なことを…」
って言うから「いや、泣くほどのことではないだろ」って思ったらしいの。
そしたらそのお父さんが続けて
「っ…。実はね…。うちの娘2週間前に亡くなってね」
って言うの。青空さん理解できなかったんだって。「え?」って言うと
「事故でね…。スマホを忘れて大学に向かって…。
もしあのとき私がスマホ忘れてるぞーって一言かけてたら
あの子は死なずに済んだのかななんて…ずっと後悔してるんだ…」
流れる涙がポタポタとスマホに落ちてたんだって。まぁそこでスマホが光って
「お父さんのせいじゃないよ。気にしないで」とかそんなのがあれば綺麗な話なんだろうけどね。
その青空さんは綺麗事を言ってもどうしようもないだろうから
なにも言わずにいたら、そのお父さんが
「これもなにかの縁だと思うので、よければ手だけでも合わせていってあげてください」
って言われたから、断る理由もないし、目を閉じてお墓に向かって手を合わせて
心の中で「お父さんのせいじゃないと思ってるなら
ぜひお父さんにそう伝えてあげてください。どうか安らかにお眠りください」って言って
そのお父さんに頭を下げてその場を後にしたんだって」
途中まで怖かったが予想外の良い話、重い話に
全員の目にキラリと光が反射し、目が潤んでいるのがわかった。
僕も薄っすら目が潤う。涙が出ないように眉間に力を入れながら
視線を上げ、鼻から深呼吸する。
「でね。ここで終われば良い話?だったなぁ~で終わるんだけど」
と匠が話を続ける。
「その青空さん、少し離れた墓地まで行っちゃったもんだからAくんにLIME電話したんだって。
でも話し中なのか電話できなくてBちゃんに電話したらしいの。そしたらBちゃんも出ない。
「なんだ?あ、もしかしたらBちゃんもAくんに電話してんのか」って思って
少ししてからまたAくんに電話したらしいの。そしたら出てさ
「あ、もしもし?ごめんごめん電話中だった?」
って聞いたら
「いや、マジなんなん?」
って。声でわかったらしいんだけど、なんか不機嫌そうだったんだって。
「え?どした?」
って聞いたら
「マジであれなに?」
ってBちゃんの声もするの。
「え?AとB話してたんじゃないの?」
そしたらAくんもBちゃんも「え?」って。で詳しく話を聞いてみたら
実はAくんとBちゃんは青空さんが待ち合わせ場所に来る前にすでに着いてたらしくて
青空さんにドッキリしようって話になって、Bちゃんのスマホを植木の低木のところに隠して
AくんがBちゃんのスマホに電話をかけて、新しい待ち合わせ場所に届けてもらって
「テッテレー!」ってしようと思って隠れてたらしいの。
でいざ青空さんが来てAくんがBちゃんのスマホにかけたの。
そしたら思った通り青空さんがスマホを探し始めたから
探し始めたらスマホすぐ見つかるだろうって思って
AくんとBちゃんは新しい待ち合わせ場所に向かったんだって。
しばらく歩いても青空さんが電話に出てくれなくて
「まだ見つけてねぇのか?」って思って、1回切ってもう1回かけ直したんだって。
そしたら2コール目くらいで出たんだって。
AくんもBちゃんもニヤニヤしてスピーカーボタンを押して
AくんがBちゃんに「話して」ってジェスチャーして
Bちゃんが「あ、すいませーん。スマホ落としちゃったみたいでぇ~」って
Aくんは声を押し殺して笑ってて
Bちゃんも言い終わった後、Aくんみたいに声押し殺して笑ったんだって。
でも待てど暮らせど青空さんからの返答がないの。
「もしもし?もしもーし?」
って言うとボソボソッ。ボソボソッってなにかが聞こえてきて
「なに言ってんのコイツ」って感じでAくんとBちゃん顔を見合わせて
スマホのスピーカー部分に耳近づけたんだって。そしたら
「木…上…おい…で…こっち…こっち…」
ってボソボソ言ってんだって。ずっとそう言ってて
気持ち悪いから1回切ってまたかけ直しても
また「木…のう…こっ…きて…こっち…」
って言うばっかで青空さんがドッキリに気づいて揶揄ってんだと思ってキレてたんだって。
で結局Bちゃんのスマホ回収するために最初の待ち合わせ場所に3人で集まったらしいんだ。
で、Bちゃんのスマホを回収しに植木の低木のところに行ったら
木の根元のところに開いてないコンビニで買えるお酒が置いてあったんだって。
そのお酒ってよくお墓とか事故があったところに
お供えされてるイメージのあるお酒だったから
なにかあったのかと思ってその場所をネットで検索したら
その木で首吊りしたサラリーマンが朝発見されたんだって。
で、ここからはネットにも書いてなかったから、青空さんの想像らしいんだけど
そのサラリーマンのスマホが落ちたのが
ちょうどBちゃんのスマホを隠したところだったんじゃないかなって。
それで楽しそうにしてたAくんとBちゃんを
あっちの世界に引き込もうとしてたんじゃないかって話を直接青空さんから聞きました」
少し重いが良い話で終わると思っていたら
ちゃんと背筋が凍るくらい怖い話でみんな表情が引きつっていた。
涼しい顔をしてるのは匠だけだった。部屋を暗くして怖い話をしていたが
今はとにかく明るくしたいと思っていると鹿島がバッっと動いてみんなビクッっとなる。
鹿島がスイッチのほうへ急いで行って電気をつけた。部屋が明るくなった。
みんな一安心と言わんばかりに表情が少し崩れたが
みんな、太ももの上や自分の座ってる近くに置いてあるスマホが少し怖くなる。
鳴ったらどうしよう。なんて思ってるとテテトテテトテテトテテトン。
部屋の中にLIME特有の着信音が鳴り響く。全員凍りついた。音の発信源を見ると音成。
凍りついた音成がゆっくりと画面を見る。
すると凍りつき、引きつっていた顔がムッっと変わる。
「もおっ!」
と言いながら匠のほうへ枕を投げつける。どうやら匠が音成にLIME通話をかけたらしい。
その瞬間みんな凍りつき、引きつっていた表情が解けていった。
そしてみんなで匠に枕を投げつけた。一通り盛り上がったところでお風呂に行った。
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