ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~

結月楓

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第五十一話 後片付けと新召喚

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 ヘルヘイムの刺客は俺に殴られた衝撃で壁まで飛ばされ、壁に頭をぶつけて気絶してしまったようだ。

「やりすぎちゃったかな? いや、でもこんな悪逆非道な事する奴にはこれくらいしなきゃだめだよな」

 ――バタンッ!

 教会のドアが開いてローザが勢いよく俺の元に走ってきて抱きついてきた。

「ユート君! 無事だったのね良かったわ、本当良かった。……もう、お姉さんを心配させないの」

 ローザの胸に顔をうずめる形で抱き寄せられているのでなんだかこそばゆい。ローザの顔を見上げると、彼女の目は真っ赤に充血している。俺が教会に突入してからずっと泣いていたのだろう。

「……ユート。お前、ママのおっぱいで落ち着いてる赤ちゃんみたいだな」

 ミルドレッドが床に倒れたまま俺の事を茶化す。そうだ、今は怪我している人の救助をしないと。

「ローザ、二人で手分けして救護をするぞ!」
「ええ、まかせなさい。わたしのユニコーンが役に立ちそうね」

 俺は倒れている人を教会の裏部屋のベッドのある部屋まで運び込み、ローザはそこでユニコーンによる治療を行うという見事な連係プレイで刺客によりやられた人たちの傷はみるみるうちに治っていった。

 みんなの治療が終わりひと段落つくと、ミルドレッドは治療中のベッドに寝かされたまま手招きをして俺を呼び寄せた。

「どうした、ミルドレッド? 俺をベッドに招くなんてエッチのお誘いか?」

「あほかお前! お説教のために呼んだんだよ」

「……お説教だって? 何でだ?」

「私は逃げろと命令したはずだ、それを無視して教会に入ってきたことは重罪にあたるぞ。だから罰を受けてもらう」

「うっ……、でも俺が来なかったら教会にいる人は全滅してただろ? 結果オーライってことで」

「機関に所属してる以上そういうわけにはいかないんだよ。私だってお前の事を褒めてやりたい気持ちはあるんだけどわかってくれよ」

「機関に属すってめんどくさいのな……。でもそれをいったらさ、間違った命令を出したミルドレッドだって罰を受けなきゃいけないんじゃないの?」

 ミルドレッドは痛いところをつかれたと思ったのか、口の端を釣り上げて顔をしかめる。

「……確かにそうかもな。それじゃあこういうことにしよう、私の命令はお前には届かなかったということで。聞こえたか聞こえなかったかを証明できるのは私かお前くらいだろうからな。……あ、ローザもか。そこはなんとか口裏合わせとくか」

 ミルドレッドは体を起こしてローザのところに向かおうとしたが俺はそれを止める。

「ローザには俺から言っとくよ。ミルドレッドはまだ火傷の治り具合完璧じゃないんだろ? 自分をもっと大事にしろよ」

「ちっ、分かったような口を聞く坊やだ。……でもま、助けてくれてありがとな。ここにいるみんなを代表して私からお礼を言うよ」

 ミルドレッドはばつが悪そうに俯いて言った。彼女は口調が荒かったりすることもあるけど、心根はいい人なんだろうな。

「気にしないでくれよ、俺が助けたいから助けただけだし。怪我が治ったらまたよろしくな、リーダー」

 俺は片手で敬礼のポーズをとってその場を去った。取りあえず罰を逃れることが出来てよかった。


――――――――――――――――――――


 救護室からでていつもの礼拝堂に戻ると、ローザが俺を待っていた。

「遅くなっちゃったけど、ギルド感謝祭予選通過の褒賞の無のオーブよ」

 ローザが手に持っているのは無色透明の小さなオーブだ。教会の窓から差し込む光がオーブに反射して、とても幻想的な色を映し出している。

「やったー! 今度こそ本当にガチャタイムだな! 早速頼んだぜ、ローザ」

「ええ、任せときなさい! ……無より来たるは精霊か神獣か、その姿を現したまえ!」

 ローザが召喚の儀の前口上を唱え終えると、オーブと俺が光で結ばれる。そして現れた召喚は……美しいベールを頭にまとったボン、キュ、ボンのグラマラスな女性だった。

「これが召喚……? すっごい美人の女性に見えるけど」

 俺はいつものようにルーペを覗き込んだ。


『Sランク召喚獣 パールバティー』 ●〇〇〇〇
インド神話における最高神シヴァの最愛の妻。
すべての美の象徴とされるほどの美しさを誇っている。
加護を受けたものは、周囲の異性を魅了状態にすることができる。
【召喚持続時間:三時間】


「ほぉ、へぇ、ふぅむ。これは興味深い。頼むローザ、実験させてくれ」

「――へっ!?」

 ローザの返事を聞く前に俺はパールバティーの効果を発動させた。
 するとローザの目はとろーんとして、妖艶な雰囲気を醸し出し始めた。

「ねえ、ユート君。あなたがこっちの世界に来てから出会った初めての女ってわたしよね? ……これって、運命だと思わない?」

「ん? 急に何言ってるんだ?」

 ローザは俺の両腕をがしっと抑えて体を密着させてくる。長い髪が俺に被さって、香水の良い香りが漂ってくる。いつものローザの匂いだ。

「あのさ、ここ公共の場なんですけど……。公共の場所ってか教会だぞ? 神様がみてるんだぞ!」

 思った以上にパールバティーの効果ってのは凄いものみたいだ。ローザの様子が一瞬にして普段とは変わってしまった。

「教会だからって関係ないわよ。ここにいるみんなにわたし達の愛を見せつけてあげましょう。わたしのユート君への愛はグランノーヴィルで一番……いや、世界で一番。アリサちゃんやエリーにだって負けないわ」

 ローザは俺に唇を近づけ、それと同時に俺の股間に手を伸ばしてくる。

「ちょっと待った! ストップ! ストップ! ――さすがにそれはまずいって!」

 俺はローザを両手で軽く押して突き放すと、彼女はきゃっと短い悲鳴を上げて怯んだ。

「あ、ごめん。驚かせるつもりじゃなかったんだ」

「……大丈夫よ。ユート君が照れ屋さんだなんてことは、わたしが一番よくわかってるんだから。でも今日は照れる必要なんてないわ。わたしとあなたの愛の行為を神様にも見せてあげましょう!」

 ローザの顔は紅潮し、ハァハァと熱っぽい吐息が聞こえてくる。これはやばい、完全にイッちゃってる顔だ。

「ローザ! 俺先に帰ってるから! また後でな!」

 俺はダッシュで教会から逃げ出した。
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