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故郷と森の冒険
新たな力と新たな一歩
しおりを挟む森の中に立ち込める静けさが、天斗と陽の心にじわりと染み込んでいく。山の主との死闘を終えた二人は、地面に座り込んで荒い息を整えていた。
「……やったな」
天斗が手に持つのは、山の主の鋭い牙。その牙をじっと見つめながら、彼は小さく笑った。
「俺たち、こんな戦いしたことねえよ。でも、できるんだな、俺たち」
隣で座り込む陽も、血と汗で汚れた顔をぬぐいながら頷く。
「正直、無理だと思ってたけど……お前が無茶するおかげで、俺もここまでやれるんだって分かったよ」
二人の目の前には、山の主の巨大な亡骸。その皮は硬く、牙は鋭利で輝いている。陽はそれをじっと見つめた後、立ち上がった。
「こいつの素材、使えるな。牙も皮も、しっかり加工すれば強力な武器になるだろう」
「おっ、いいな!じゃあ、頼んだぜ、陽!」
天斗が満面の笑みで言うと、陽は呆れたようにため息をつく。
「おいおい、そんな軽いノリで言うなよ……まあ、やるけどな」
ー 新しい武器の誕生 ー
陽は手際よく山の主の素材を切り分け、加工を始めた。その手は熟練した職人のように器用で、鋭い牙を短剣の形に削り出し、硬い皮を使って握りや装飾を仕上げていく。
「お前、意外とこういうの得意なんだな」
天斗が陽の背後から覗き込むと、陽は軽く肩をすくめる。
「まあな。暇な時に何でも作るのが好きだったんだよ。神眼の力で材料を浮かせたり、重さを調整したりもできるしな」
数時間後、ついに完成した二つの短剣が陽の手に収まった。
「すげえ!この名前、俺が考えてもいいか?」
「どうせ止めても無駄だろ」
陽が呆れたように言うと、天斗は即座に答えた。
「よし!こっちは“ヴェノムファングダガー”、こっちは“ブラッドフレイムダガー”だ!」
陽は短剣を天斗に渡しながら、深いため息をつく。
「まあ、名前はともかく……これで少しはマシな戦いができるだろうな」
ー 次の目的地へ ー
新しい武器を手に入れた天斗と陽は、森の奥へと足を進めた。以前は重い足取りで進んでいた道も、今では武器のおかげで気分が軽い。野生動物や小型の魔物が襲いかかってくることもあったが、二人は短剣を駆使してそれらを難なく退けていく。
「これ、作って正解だったな」
陽が満足そうに言うと、天斗も笑顔で頷く。
「陽がいなかったら、俺一人じゃ無理だったな。ありがとうな」
その時、天斗の視界にちらりと動く影が映った。人のような姿だが、詳しくは分からない。
「おい、あれ……」
天斗が指さすと、陽も目を細めた。
「……気のせいだろ。こんな森の中に誰かがいるわけない」
「いや、今のは絶対に人だって!」
天斗はその影を追おうとするが、陽が腕を掴んで止める。
「やめとけ。こんな場所で知らない奴に近づくのは危険だ」
「……分かったよ」
影の正体は分からないまま、二人は歩き続けた。しかし、天斗の胸には妙な不安と興奮が入り混じっていた。
ー 神眼の使い方を巡る喧嘩 ー
しばらく進むと、森の出口らしき場所が見えてきた。しかし、そこに辿り着く前に二人は言い争いを始める。
「おい陽、もっと神眼を使って楽に進めないのか?」
天斗が言うと、陽は眉をひそめた。
「そんな簡単に言うなよ。俺だって体力を消耗するんだ」
「でもさ、お前の“逆”を使えば、この辺りの重力を変えて簡単に抜けられるだろ?」
「お前な、何でもかんでも神眼に頼るのが正しいわけじゃないんだぞ!」
「何だよ、それ!俺たちには力があるんだから使えばいいだろ!」
二人の声が森に響き渡る。しばらくの間、お互いを睨み合っていたが、陽が深いため息をついて言った。
「……分かったよ。使うから、少し黙ってろ」
陽は不満そうに神眼を発動させると、反重力で真上に飛び上がり、森全体を見渡した。
「……あっちだ。あの先に開けた場所がある。たぶんそこが出口だ」
地面に降り立った陽を見て、天斗は笑顔で言った。
「お前、やればできるじゃん!」
「次からはお前が何とかしろよな」
ー 夜空の下で ー
森を抜け、二人が次の目的地――酒屋で有名なヘイヨータウンへの道を歩き始める頃、日は沈み始めていた。二人は野宿の準備を整え、焚き火を囲む。
「なあ、陽」
天斗が焚き火を見つめながら口を開いた。
「俺たち、こんな冒険をしてるけどさ……どうなるんだろうな、これから」
陽は火にあたる手を止め、天斗を見つめた。
「どうなるかなんて分かんねえよ。でも、俺はお前といるから、安心してればいいんだろ?」
「ははっ、そりゃそうだ。間違いないな」
夜空には無数の星が輝いていた。天斗と陽はその光を見つめながら、旅の続きを夢見た。どこかで見たあの人影の正体も、ヘイヨータウンで待つ新たな出会いも、全てが未知のまま――二人は次の一歩を踏み出す準備を整えていた。
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