神眼のシンボロジア【Symbol Logia】

カマゾーマ

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酒の街「ヘイヨータウン」

商店街の冒険

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朝日が差し込み、ヘイヨータウンの一日は活気と共に始まった。宿を出た天斗と陽は、街を歩きながら目的を探し始める。

「さて、今日はどうする?また適当に歩き回るか?」
天斗が楽しそうに言うと、陽は小さくため息をつきながら答えた。
「適当ってお前な……。森の主の皮を売りに行くのが先だろ?手持ちの金が心もとないんだから」
「そうだった!皮を売って、その金で何かカッコいい装備を買おうぜ!」
天斗の目が輝く。陽は呆れつつも頷いた。

*商店街と武器屋*

ヘイヨータウンの商店街は、狭い通りに店がひしめき合い、朝から人々の活気に溢れていた。道の両脇には果物や魚介、衣料品や雑貨を売る露店がずらりと並んでいる。天斗はキョロキョロと周囲を見渡しながら歩く。

「なあ陽、なんかすげえ剣とか売ってそうな店、探そうぜ!」
「お前、まず金を手に入れるのが先だろ」
そう言いつつも、陽も少し興味が湧いてきたのか、目を細めて看板を見つめている。やがて、一際大きな建物に辿り着いた。その看板には「オルデン武具店」と書かれている。

「ここだ!絶対にここだ!」
天斗は勢いよく扉を開けて中に入る。

天斗と「ファントムサーベル」

店内には大小さまざまな武器や防具が並んでいる。その一つ一つが手入れされており、見るだけで職人の腕の良さが伝わってくる。天斗は目を輝かせて店内を歩き回った。

「見ろよ、陽!この剣!それにあっちの盾もすげえ!」
「落ち着けって。金がないのに見ても意味ないだろ」
陽が苦笑いする中、天斗は壁に掛けられた一本の剣に目を奪われた。それは黒い刃と紫色の柄が特徴的な剣だった。その下に書かれた札には「ファントムサーベル」とある。

「うおお、これだ!この剣、絶対俺に似合うだろ!」
天斗が興奮気味に指を指すと、店主がにこやかに近づいてきた。
「ああ、それはうちの自慢の一品だ。価格は25ギラだが、性能は保証するよ」

天斗の顔が一瞬で曇った。
「に、25ギラ……」
「お前の手持ち、残り9ギラだぞ?」
陽が冷静に指摘する。天斗はしばらく悩んだ後、肩を落として呟いた。
「しょうがねえ、また今度だな……」

*森の主の皮を売る*

気を取り直した二人は武器屋を後にし、商店街を歩きながら森の主の皮を売れる店を探した。やがて見つけたのは小さな革細工店だった。

「これ、売れるかな?」
天斗が店主に皮を見せると、店主は驚いたように目を見開いた。
「ほう、これは珍しい……。森の主の皮とはな。しかも、こんなに綺麗に剥いである」
「すごいだろ?俺たちが倒したんだぜ!」
天斗が得意げに言うと、陽が咳払いをして冷静に戻させる。

「これはいい革だ。8ギラでどうだ?」
「8ギラ!?マジで?」
天斗は喜び、すぐに承諾した。取引を終え、二人は新たに得たお金を慎重に分けた。

「7ギラは貯金。残りの1ギラで何か食おうぜ!」
「お前にしてはまともな判断だな」
陽が呆れつつも同意し、二人は近くの屋台で焼き串を買って食べた。

*スイレンとの再会*

食事を終えて商店街を歩いていると、目の前に大きな樽を抱えたスイレンが現れた。その小柄な体に比べ、樽は明らかに大きすぎる。彼女はよろめきながら、一生懸命に樽を運んでいた。

「おい、あれスイレンじゃねえか?」
天斗が指さすと、陽もすぐに気づいた。二人は駆け寄り、声をかけた。

「スイレン、大丈夫か?」
スイレンは驚いたように顔を上げたが、すぐに恥ずかしそうに目を伏せた。
「だ、大丈夫……です。でも、この樽……ちょっと重くて……」

陽が樽を覗き込み、軽く頷いた。
「分かった、少し軽くしてやるよ」
陽は神眼を使い、樽に反重力の力を与えた。すると、樽がふわりと浮くように軽くなった。スイレンは驚いた顔で陽を見つめた。

「すごい……ありがとうございます」
「いいってことさ。次からは無理するなよ」
陽が軽く微笑むと、スイレンは小さく頷いた。

*レンジ酒造までの道*

樽を軽くしたことで、スイレンの足取りは格段に楽になった。天斗と陽は彼女を手伝いながら、レンジ酒造までの道を歩いた。途中、天斗はスイレンにいろいろ話しかけたが、スイレンは相変わらずシャイな様子で短く答えるだけだった。

「お前、もうちょっと陽気になれよ!俺たち、そんな怖くないだろ?」
天斗が笑いながら言うと、スイレンは小さく笑みを浮かべた。

やがて店に到着すると、レンジが店の外で二人を待っていた。
「おお、スイレンを助けてくれたのか!ありがとな!」
レンジは二人に感謝し、スイレンも小声で「ありがとうございました」と頭を下げた。

*小さな優しさと次への期待*

その日の夜、天斗と陽は宿に戻り、一日の出来事を振り返った。天斗は満足げに笑いながら言った。
「スイレン、もっと仲良くなれそうだよな。次に会うのが楽しみだ!」
陽も静かに頷いた。彼らの旅はまだ始まったばかりだが、出会いと小さな優しさが、これからの冒険をより楽しいものにしてくれる予感がしていた。

こうして、ヘイヨータウンでの一日がまた終わった。明日には新たな冒険が待っているに違いない。
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